「「存在のない子供たち」「ワイルドライフ」との共時性」マイ・エンジェル AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
「存在のない子供たち」「ワイルドライフ」との共時性
またも身勝手な親にネグレクトされた子の視点で描く、胸の痛む映画。本作はフランス映画、「存在のない子供たち」はレバノン、「ワイルドライフ」は米国と、それぞれ自国での公開時期は若干差があるだろうが、日本で7月上旬~8月上旬の1カ月間に立て続けに封切られたのも感慨深い。是枝裕和監督のパルムドール受賞作「万引き家族」も育児放棄や虐待の延長にある話だったが、カンヌ初受賞となった「誰も知らない」(2004)はずばりネグレクトがテーマ。彼の映像作家としての問題意識が世界で共有されてきた、というのは考えすぎか。
監督・脚本のバネッサ・フィロはこれが長編デビューだが、毒親役を引き受けたオスカー女優マリオン・コティヤールのチャレンジ精神に感服。若い女性監督にチャンスを、との思いもあったはず。娘役エイリーヌ・アクソイ=エテックスも素晴らしく、「存在のない~」の主人公の少年と同様に観客の心を射抜く目力がある。
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