「知る事」太陽がほしい 劇場版 taroさんの映画レビュー(感想・評価)
知る事
『主戦場』が慰安婦問題をめぐるアクチュアルな言説の応酬をスリリングに表現しているのなら、こちらは性暴力被害者を20年に亘り丹念に追いかけた映画です。班監督が初めて被害者の元を訪ねるシーンが何度か出てきますが、いずれも衝撃的です。被害者の方が凄まじい差別と貧困と病苦の中で生きてきた(生きている)事がまざまざと映像に刻まれています。日本人が中国大陸で何をやってしまったのかを否応なく知る事になります。
歴史認識も歴史解釈も「事実」を知る事から始まるものでしょう。もちろん性暴力における「事実」とは被害者にとっての「事実」が何よりも重要である事は、今も昔も変わりません。その「事実」は、中国人女性に凄惨な性暴力をはたらいた日本兵も私たち同様に日本人であったという「事実」を日本人はどの様に受け止め考えるのかという歴史的課題をもたらすと思います。
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