ウエスト・サイド・ストーリーのレビュー・感想・評価
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今何故スピルバーグが?見て納得。
オープニングからダイナミックなカメラワークにガッツリ掴まれた感じ。ダンスも街の描き方もダイナミックで迫力がオリジナルを大きく上回っている。そりゃそうだ、スピルバーグだもの!オリジナルの振り付けと変わっていて、あれ好きだったのになーと思った曲もあったが、オリジナルの振り付けを踏襲している曲もあり撮り手がファンと同じ感覚をもっているのかも。そしてマリアとトニー、予告の印象ではちょっと弱い感じかなあ、と思っていたが、実際は二人のシーンの何と美しいことか。Tonightの美しく濃密な演出は若い二人が恋に落ちたことを明確に表現していて、ため息が出るほど素晴らしかった。そして Cool! 大胆で効果的な振り付けに拍手。
結末もわかっているのに、最後に思わず涙してしまうほど、歌と演出が美しくマッチしていて、この作品はオリジナルを越える名作と言えるかもしれない。いや、オリジナルまた見たくなった。忘れてはいけないこの作品の主題でもある、異人種同士のいがみあい、差別偏見、現在でも全く変わらず存在していて、それどころかもっと複雑化しているのでは。我々は学ぶことは出来ないのか?とスピルバーグは言いたいのかもしれない。オリジナルを知らない世代の人達に、ナイフを振り回して俺たちのシマを命がけで守り、出会って1晩しかたっていない人のために命をかける純愛物語はどう写るのだろう。個人的にはスピルバーグの強い熱量を感じ、納得させられた出来映えです。
やっぱストーリーが古いなぁ。命が軽過ぎる。
映画のオリジナルは何度かテレビでやってたけど、ちゃんと観たことはなかった。なので、ストーリー全く知らず着席。
勝手にハッピーエンドになる展開を予想してしてたのに、後半、あらあらあら。
スピルバーグは、何で今この作品をリメイクしたんだろう。1950年代じゃなくて2200年ぐらいの設定にして欲しかったなぁ。
元々好きではない不良グループの対立話なので、自分は共感度が低い。個人的にはマリアとトニーが敵対するリーダーなのに、恋に落ちて仲間を幸せにするみたいなストーリーが好きだな。
全編を通して、歌とダンスはとっても楽しかった。でもそれだけ。警察の緩さも問題だけど、不良の喧嘩でナイフや銃はダメでしょう。
みんなで戦争やってんだから、誰が死んでもしょうがないんだけど、兄貴を殺されたのに、愛があれば許せるのか?人の心ってそんなんだっけ?
事件が起きた決闘場所は塩倉庫でした。ん?この設定。喧嘩を止める為に女教師に来て欲しかったぞ。
思い出補正込みですが、高評価です。
アメリカのエンタメ史に残る大傑作が元作品。
小学生の音楽会だったかで、ウエストサイドストーリーの楽曲「アメリカ」とか「トゥナイト」をメドレーで演奏したし、その後、元作品を中高生ぐらいで一度見てます。なので自分にとっては結構思入れのある作品です。
とはいえ、ストーリーの方はいまいちピンときていなかったこともあり、結末の記憶もあやふやなでした。(誰死ぬんやったっけ?みたいな)
ダンス、楽曲はカッコイイです。流石です。
時間が長い作品ですが、私は短く感じられました。最後まであっという間という感じです。これも知ってる曲ばかりだったことも要因としてあるでしょうね。
「アメリカ」大好きです。アメリカでの生活の光と闇を明るく歌い飛ばすパワーで頭の中でヘビーローテーションになります。この感想書きながら口笛吹いてます(笑)。素敵。
マイケルジャクソンのお手本になったといわれるそのエンタメ性は流石に凄いなと。
ストーリーの部分はみなさんも突っこんでいるように「さすがに一目惚れ過ぎひん?」というのが引っかかる点ですよね。これはもう原作もそうなんで、仕方ない所かなと。自分が思春期に見た時にいまいちピンとこなかった感情移入できなかったところだったなと「あーなるほどなぁ」と納得しました。
今はもうオッサンになってるので、「まぁ、そういうこともあるか」ってあまり重要視しなくなってしまったので気になりませんでした。
あと、字幕版で見たのですが英語がある程度わかる(じゃべれないけど、字幕見ながら単語の聞き取りができる程度)になって、歌の歌詞とか韻を踏んでるのが分かったりすると楽しさは増しますね。これは歌モノの映画なら原語は分かった方が絶対楽しいのは当たり前の話ですが。
リメイク作品としてどうか?というところですが、無難に楽しさそのままに上手くやってくれたという印象です。元作品がレジェンドなので変な追加要素入れて台無しとかも考えられる話ですが、流石はエンタメ映画王のスピルバーグです。外さない。ありがとうスピルバーグと。
総評としては、ある程度年齢重ねて、条件がそろって楽しめる作品になるのだなぁというのが感想です。個人的には星5評価でもよかったのですが、手放しに人に勧められるか?という点では日本人が楽しむにはそれなりの何かが必要かなということで0.5点減点しました。
でも、歌、ダンスは流石に良いので見てない人は見てほしいなぁ。
youtubeなどで歌・ダンスPVが好き(それこそマイケルジャクソンのダンスカッコいいなぁ)だったりする人は特に。元作品は「古いのでちょっとなー」って言う人も凄く良い機会だと思います。
映像の力
ミュージカルを観たあと暗い気持ちになって帰ったのを覚えているので、今回見に行くかかなり迷った作品。
結果、やっぱり悲しかった…
誰も救われない。
悲しい結末を招くだけなのに、今の時代もなくならない人種差別や対立。
今の時代にこそこの映画を見なくてはならないような気がする。
舞台ももちろん凄かったけど、映像だと色々なアングルから見せることによって、奥行きが出てよりダイナミックで、ダンスシーンなんかは本当に圧巻でした。
個人的には今作のMVPはアニータとチノ。
アニータはいなくても物語としては成立しそうだけど、居なくてはならないと思わせるほどの存在感。ダンスもキレキレでとにかくカッコいい!
チノ、健気で優しくて仲間思いでいいやつじゃないか…
マリア…チノでいいじゃないか…
と、感情は抜きにして、チノ役のジョシュさんチノの心情を印象深く演じていたと思います。
(チノ、好きな人にはスルーされ、終いにゃ捕まるなんていいとこ無さすぎて哀れだろ……と思っていたら、実生活では、マリア役の子と交際してるそう!お幸せに!)
お金かけてますね。歌もいいです。でもね・・
50年代の衣装、車、風景とお金いっぱいかけてますね。
主役のレイチェル・ゼグラーの歌もいいです。
でもね・・
ダンスパーティー会場で、主役の男女がお互いを一目見ただけで恋に落ちるのですが、あり得なくないですか?軽すぎませんか?
その後、大切な家族を殺された〇〇の行動が??になります。
他にもいろいろ違和感ある描写があります。
そもそも、スピルバーグ監督は60年も前の作品を何故今頃リメイクしたんでしょ?
現在の分断されているアメリカ社会に何か投影しようとしたのかと思いきや、特段そのようなものは無かったですし。
あまりに器用すぎるかもスピルバーグ先生
スピルバーグ先生が練りに練ってためにためてのの初ミュージカル映画である。ミュージカルが苦手だという人もいるが私は好物だ。ぶっ飛んでいてこれぞ非日常だと実感できるし有無を言わさすいきなり巻き込むところが好きだ。今作のちょっと残念だったところは既存のミュージカル映画とあまりにも違っていたこと、ちょっと作りすぎていてカット割りもかなり細かくてもはやMTVなのだ。もちろんそこも好物なのだがミュージカルとしてはあのレミゼのごとくマリアの歌唱をもうちょっとじっくり見せてくれても良かったと思う。裏返しなのだがプロローグシーンで2台の車が突っ込んでくるとことか洗濯物がロープを滑る滑車の音とそれに合わせて演者を割って見せる手法などやってくれて楽しい。そしてスピルバーグを好きなのは終始一貫して人種差別問題に真っ向かから挑み続けているところである。大学生の頃ETを観てやられたのだけれどその後にカラーパープルを撮った。今作のテーマも人種の違いを個々は受け入れられてもそれがグループ化されると争いが止められないという理である。しょうがないね人間だもの。
元々は 1961年のミュージカル映画。 スピルバーグバージョンを観...
元々は 1961年のミュージカル映画。
スピルバーグバージョンを観ると、ロバート・ワイズが1961年にこんな素晴らしい映画を制作していたのだと、バースタインの天才ぶりと合わせて、改めて感心。
ロバート ・ワイズ版を観ないで、初めて観る人には、どんな印象を残すのだろう?
私の初見は、リバイバルで、高校生だったっけ・・柔らかい感受性の時代に強烈な印象を残しました。それから何度観たことか・・・。ですから、どうしても比較してしまう。ジョージ・チャキリス、ナタリーウッド、リタ ・モレノ、リチャード・ベイマー・・。トニー役が、ミスキャストのような・・リフ役の方があってたんじゃ??本質は優しい人には見えない・・。
スピルバーグも独自性、個性を出すために敢えて難しい課題に挑んだのでしょうね。カメラワーク、映像演出はさすがスピルバーグです。
エンドロールでの、For DAD・・・、幸せな、スピルバーグのお父さん。
トニーのホクロがセクシー☆
昔のは見ていません。見てみたくなりました。
マリアの歌声が口パクかと思うくらいに高くてキレイな歌声でした。とってもかわいいで女優さんですね。
ミュージカル映画は久しぶりでしたが、好きです。今月公開される『シラノ』も楽しみです。
結末は明るくないのに、見終わった後はどんよりとした気持ちにはならなかったです。
これもスピルバーグ監督だからなのでしょうか。
あんた、嘘つきだね
恥ずかしながらウエスト・サイド・ストーリー(物語)という存在をこの作品で初めて知りました。ミュージカルはものすご〜く苦手だし、恋愛映画は好きだけど禁断の恋みたいなストーリーの映画は好きじゃない。見ようか迷っていたけど、予告が面白そうだったので見ることに。結果、ものすご〜く良かったです!!
序盤はかなりつまらない。
前日の寝不足もあって眠気との戦い。スタートの引き込み方が弱い。会話に面白味を見出させず、原作の舞台は60年前ということもあって展開も古臭く、かなり不安が募る。大丈夫かな?と思っていたけど....
マンボ!から勢いが増してようやく本編が始まった感。一気に眠気も覚め、テンションも上がりなかなかいい感じに。そこからは最後まで上り坂で、面白さがどんどん増していく構成。流石、スティーブン・スピルバーグ。カメラワークやキレが最高に気持ちよかった。
どれも耳に残り、何度も聴きたくなるような音楽。
予告で散々流れていた「トゥナイト」も、実際映画館でフルで聴いてみると思ってた何倍もオシャレで美しく、アメリカを褒めたり貶したりする街中でのダンスシーンだったり、銃をめぐるアクションダンスシーンだったりもテンションぶち上げ。ミュージカルあんなに嫌いだったのに、この作品は最高にいい。滑らかかつキレッキレで、全くしつこくない。特に密室尋問ダンスシーンはめっちゃ笑えたし、すっげぇ楽しかった。
主人公とヒロイン、お兄ちゃん、お兄ちゃんの彼女、おばあちゃん、アメリカ軍リーダーとどのキャラクターもたまらなく良くて、役者全員イキイキとしていて、こりゃアカデミー賞でいっぱいノミネートされる訳だなと。体当たりな演技を繰り広げ、会話もかなり胸に響くものがあり、お見事だった。踊りながら、歌いながら演技出来るの凄いや。ダンスもアクションのよう。
このまま純愛ミュージカルが繰り広げられるかと思っていたら、騙された。ネタバレになるのであまり深いことは言えませんが、「純愛ミュージカル映画だなんて見たくねぇよ」って人にこそ見て欲しい映画だなと思いました。ラストに至るまでツッコミどころが所々であったり、なんでそうなるんだと言いたくなる場面もあるのだけど、余韻がすごくて心臓がバックバク。言葉では伝えられない魅力がこの映画にはありました。
ミュージカル苦手克服!とまではいきませんが、間違いなく今まで見てきたミュージカル映画の中で1番好きでした。重くてキツイけど、軽くて突拍子のないミュージカルが好きじゃない私にはとても良かったです。映画館でぜひ。
悲しくて辛い話だった。
とてもやり切れない辛い話だった。
どのシーンも迫力があって、美しくて、かっこよくて、スリルがあって、最高でした。
どうしたらリフを止められたのか、トニーはどうしたらああならなかったのか…考えても考えてもわからない。
自分が周りの大人だった場合、どうしたらいいんだろうと考えてしまった。
子供の頃に60年代のをテレビ放送で観たけど、ダンスが滑稽にみえてしまって退屈だった。トゥナイトゥナイ♪の歌の所だけ好きだった。何も知らないって幸せなのか不幸なのか。
大人になってから観たら全く違った。一瞬も目を離せないスリル満点の映画だった。そしてもう一度観たい。スクリーンで!
リフはマキューシオなのかな?
この人なんでもできるな
オリジナルの方は見たことないし、ミュージカル映画はあまり好みじゃないけど、スピルバーグとならどんなジャンルでも見に行かないと思いいきました。
おそらくオリジナルを尊重してストーリーが古臭く感じて眠気がきましたが、映像表現が所々凄すぎて見入ってしまいました。特にダンスシーンは圧巻です。
色褪せない名作
昔の作品は見ておらず、こちらの作品が初見でした。ろくに話の内容もわかっていなかったので、シンプルに話に没入できました。
パワフルでキレッキレのダンスと熱量のある歌声で、ちっとも古さを感じることもなく、これが名作と言われてたきた理由を垣間見ることができた気がした。
これがスティーブンスピルバーグ監督の凄さなのかと改めて偉大だなと思いました。
とりあえず、昔の作品を観ようと思います。
そして、やっぱりミュージカル好きだぁ!!
初めて拝見
前半は、寝てしまったけど、
途中から知ってる曲が出てきて
あ、これは、
ウエストサイドの楽曲だったのか!!
と驚き‼️
ラストに向けておもしろくなるほど
有名な映画のはずだゎ。
ラストが、意外すぎて
そんなぁ!!!
そうなんだ。。。。
カラーギャングとかの走りかな??
人種問題もあるし、車も風景も
再開発前のNEW YORK
時代を感じます。
3000円のパンフレット...高すぎ。
スピルバーグ初のミュージカルと言うことで観てみた。昔の「ウエスト・サイド物語」は観たことがなく、有名なシーンとかギャング団が争うくらいしかしらなかったので、色々と新鮮ではあった。
「Mambo」は僕の知っている「ウーマンボ!」ってやつではなかったし、「TONIGHT」はディズニー作品の曲だと思ってたし。
1番驚いたのは、約24時間のお話なんですね。
ただ、長い。いや、長さは気にならないが、間延び感が気になった。歌部分もそんなに多くない気もした。約24時間の話ならもっとテンポ良くも出きるし、曲も追加できるのでは...これで2時間30分は長かった。
1961年版「ウエスト・サイド物語」の良さを活かしつつ「現在の私たちが見たい作品」に昇華させることに成功していた的な評価が多いが、この作品が初めての「ウエスト・サイド・ストーリー」の人にとってはそんなに響かなかった。
この作品はアカデミー賞の作品賞にもノミネートされているけど、それ程かなと疑問に思った。
あと、パンフが高い!通常版と豪華版で分けてほしかったな。残念。
MUSIC BY LEONARD BERNSTEIN
このクレジットにシビれた!いやぁしかし、めちゃくちゃよかったぞ‼️どうしてもロバート・ワイズ版が頭にあるから、なんでスピルバーグがこれ撮んねん?という穿った想いがあった。はじまりは、うーんいまひとつだなー、ってな感じだったけどマリアとトニーの出会いのシーンから変わった。なんかツーっと涙がでるのよ🥲。あの2人の表情、とくに目が心に刺さった。そこからは無我夢中😆。映画や劇団四季でもさんざん観てきたミュージカルだけど完全に新鮮な体験となった😁👌。ダンスシーンのキレと充実度がすごい。圧巻は「アメリカ」。これぞミュージカル映画の醍醐味‼️音楽・ダンス・撮影・演技の何もかもがピタッと一致して素晴らしすぎーる❗️おもえばスピルバーグがいちばん撮りかったのはここなんじゃないか?と勝手に断定😁。それくらいすごい。俳優さんたちのダンスはもちろん演技も相当なもの。スクリーンの隅にいる俳優さんすべてにスピルバーグの演出が行き届いているのもさすが。撮影はお馴染みのカミンスキー。ジョン・ウィリアムズと同じく彼抜きではスピルバーグ映画は成り立たない存在。今回も独創的な良い仕事をしている。そして音楽。レニーのお馴染みのナンバーが全編に流れるこの幸福感😊😆😄。あのメロディーとノリの良いリズムだけでなくオペラ的な要素もあるからコンサート形式の演奏を聴いてみたくなる。レニーは生前、ミュージカルの作曲者で有名になったことを多少残念がっていた。でも改めてこのナンバーを聴くと名曲中の名曲であることに疑う余地はない。このミュージカルを現代に蘇えらせたスピルバーグには感謝する(上から目線)。そしてドゥダメル指揮ニューヨーク・フィルのビックバンド的な軽妙なサウンドは適している。この映像にはフルオーケストラは合わない。あと、終盤の筋を忘れていたからか余計にシェイクスピアのメッセージが直に伝わってきて感動した。えー、ミュージカル?と思っている人たちにもぜひとも劇場で観てもらいたい名作だ😄
リメイクとしてはこれ以上ないくらいの出来
物語の大筋はオリジナル版をほぼ踏襲しており、数々の楽曲もそのまま再現されていて、スピルバーグの原作愛がひしひしと伝わってきた。
ただ、この名作を今リメイクした意図というものは余り見えてこなかった。オリジナル版と一緒であればわざわざ作り直す必要はないわけで、現代に合わせた解釈や改変がもっと大胆にあっても良かったような気がする。もっとも、それをやってしまうと確実に賛否が巻き起こってしまうだろうが…。それくらい名作のリメイクというのは難しい。
しかし、スピルバーグはどうしてもこの企画を成功させたかったのだろう。聞けば、インディージョーンズの続編を中断してまで本作の製作に勤しんだらしい。
では、原作をほぼ変えないまま作られた今回の製作意図がどこにあったか、と想像すると、自分はこういうことじゃないかとおぼろげに考える。おそらくスピルバーグはこの名作の存在を新しい世代の観客に伝えたかったのではないだろうか。
たとえ名作と言えどこれだけ古い作品になってしまうと、今の観客が鑑賞する機会というのはそうそうないと思う。であるならば、リメイクすることで新しい観客に知ってもらおう、と考えるのはありそうな話である。
気が付けばスピルバーグも75歳。もはやハリウッドの重鎮と言える存在にまで登り詰めている。そんな彼がこれから先の映画界のことを考えて、過去の名作を現代に甦らせて今の世代に伝えていく、と考えるのは何ら不思議なことではない。本作にはそんなスピルバーグの”映画愛”が込められているような気がした。
オリジナル版は移民や貧困といった社会問題を取り入れたストーリーで、それまでの華やか一辺倒だったミュージカル映画に新風を吹き込んだと言われている。今回のリメイク版もそこはかなり重視されており、今のアメリカ社会に通じる風刺性が感じられた。60年以上も前の作品が、現代でも違和感なく受け取れてしまう所に、これらの問題の根深さが窺い知れる。
尚、オリジナル版ではプエルトリコ系のシャーク団は白人俳優が黒塗りをして演じていたが、本作ではリアリティを追求するために南米系の俳優に演じさせている。このあたりはオリジナル版にはない本作ならではの”こだわり”だろう。オリジナル版から大きくアップデートされた点だと思う。
もう一つ、本作にはアップデートされたことがある。それはジェット団の中にトランス・ジェンダーのメンバーがいることだ。このキャラクターはメインのドラマにそれほど大きく関わってくることはないが、昨今のハリウッドの潮流である”多様性”を体現するキャラクターになっている。こうした所に目配せしたのも今回のリメイク版の新味だ。
映画自体の出来は、絢爛豪華な映像、ダイナミックな演出、心に響く歌唱の数々など、全てにおいてエンタテインメントとしての完成度が高く、大変満足できた。
特に、前半のダンスパーティーのシーン、中盤の『アメリカ』の群舞シーンは圧巻である。映像の作り込みと迫力はおそらくオリジナル版を超えているだろう。
但し、唯一、ジェット団とシャーク団の決闘シーンの後に挿入される装飾店のミュージカルシーンは、それまでのシリアスなトーンが壊された感じがして興を削がれた。オリジナル版ではどうだったか?随分以前に観たので覚えていないが、ここはカットしてそのまま終盤に繋げてもらった方が、観ているこちらとしては気持ちよく乗って行けたかもしれない。
また、恋愛ドラマとして見た場合、説得力という点でやはり苦しい面はある。元々が古いミュージカル映画であるし、それをそのままリメイクしているのだから仕方がないかもしれないが、トニーとマリアの恋愛感情が上滑り気味で、どこか稚拙さを感じてしまうのだ。愛に犠牲は付き物と言うが、身近な人が次々と犠牲になってもまだ彼らは愛を貫くのか…と。
キャスト陣は実力派揃いで申し分なかった。特に、アニータ役のアリアナ・デボーズは力強い歌声とダンスが大変魅力的だった。ブロードウェイではすでに主演経験もあり、実力は折り紙付きである。
また、本作にはオリジナル版でアニータを演じたリタ・モレノが出演している。しかも、トニーの保護者という重要な役どころで、往年のファンにとっては感慨深いものがあるに違いない。
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