ウエスト・サイド・ストーリーのレビュー・感想・評価
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懐古趣味
約半世紀前に白黒テレビで観た「ウエストサイド物語」には、当時子供だったせいか、物語にも歌や踊りにも新鮮な驚きがあって感動した記憶だけが残っている。
だから期待しすぎてしまったのかもしれない、スピルバーグ監督のリバイバル作品に。
音楽は色あせないけど、映画自体はつまらなかった。
たぶん主人公の二人に魅力を感じなかったからかもしれないし、現在の差別問題とかに寄せてきたせいでは無いかと感じもする。
そして自分自身が歳をとって、愛に冷めてしまったせいかも。
結局最初のカメラアングルと音楽とアニータだけが記憶に残る作品となった。
音楽が大好きだから+0.5ポイント
こんなリメイクならあり!
「ウエストサイド物語」といえばミュージカル映画の傑作というのが世間の評価。だから、衛星放送でやっていたのを観た記憶はある。そんな名作を今さらリメイクするってどうなのと懐疑的だった。スピルバーグが監督していなかったら観ていなかったかも。
アップタウンの不良とダウンタウンの不良の対立だと勘違いしていたから、プエルトリコ系移民との対立に設定を変更したのかと思っていた。前者は「アウトサイダー」だった。設定は前作と同じ。記憶はおぼろげだが(不良の設定を勘違いしているくらいだから)、話は結構前作に近い気がする。
でも、とてもよかった。懐疑的だった自分を叱りたい。とにかくダンスと歌が素晴らしかった。そして、カメラワーク。こんなところから、こんな見せ方するんだと驚くシーンがいくつもあった。2人の出会いのシーンなんてとてもかっこいい。
いや、正直話はどうなのよとは思う。出会ってから恋に落ちてともに生きていこうとするスピードが尋常じゃない。ベースがロミオとジュリエットだから、それが昔のラブストーリーといえばそれまでなんだけど。
そして今回気になったのがセクシャルマイノリティと女性の自立の描き方。時代の変化を感じたが、大筋の話を損なうことなくさり気なく入れてるのは上手かった。こんな感じで不朽の名作をリメイクする流れがあるんだろうか。こんなリメイクなら観てみたい。
映画『ウエスト・サイド・ストーリー』
スピルバーグが、どう撮るのか?ということを意識しながら観てきました。
ミュージカル特有の、ある種の間抜けさ、馬鹿馬鹿しさ、というものを、苦手とする方にも楽しめるように作られているように感じました。
ミュージカルではなく、映画として楽しめる、バランスの良い仕上がりだったと思います。
ミュージカル(やバレエ)の間抜けさは、音楽とダンスのシリアスさに裏打ちされてこそ楽しめるわけですが、そのシリアスさもまた、本作には不要なものかもしれません。
スピルバーグは、音楽やダンスが、映画よりも前に出過ぎないようにコントロールしていたのだと思います。
もうひとつ気になったのは、不良たち(という言葉もどうか)に、悪い感じがないということ。
マンボのシーンでは、殺気のなさに思わず、”腑抜けかよ!”と、心で毒づいてしまいましたが、現代のダンサーや音楽家が、前作より大きく劣っているとも思えません。
帰宅してサントラを比較してみても、映像で観た時ほどの差は感じられませんでした。
ミックスと映像で、マイルドにされているという印象です。
つまり、映画のテーマからみて、不良を悪くて格好良くは描けないんだなぁということです。
ジェンダーや移民問題などより、こちらの方に現代性を感じてしまいました。
前作とあれこれ比較し、考えながら見るのは、いろんな発見もあり、楽しかったです。
でもやっぱり、見終わった後に指を鳴らしたり、足を上げたくならないのは、ちょっと寂しいですね。
リアルであるがゆえに
歌と踊りは圧巻でした。どのシーンも素晴らしかったです。また、映像や舞台もリアリティのある世界になっており、この点も良かったです。
ただ、だからこそ、こんなシーンで歌い出すのかなぁ、不良の人たちがこんな息のあった踊りを踊れるのかなぁとか、リアルじゃないところが気になってしまいました。
ミュージカルなんだからそんなものと思えばいいのですが、個人的にはすごく気になってしまいました。
ただ、繰り返しになりますが、歌と踊りは素晴らしいので、ぜひ大きなスクリーンがあり、音響機器もよい映画館で見てほしい映画です。
娯楽として楽しめる構成と迫力
オープニングから圧倒させられる映像美
ダンスから伝わる漲るエネルギー
シンプルで汲み取りやすい構成
ミュージカル映画は正直あまり好きではなかったのですが、本作はとても楽しめました。
スピルバーグはすごいね
スピルバーグのスリリングな演出のうまさは、やはり天才的。
過去作見ても分かると思う。
絵作りや演出、カメラワーク、光の陰影、色使いなどなど、映画の面白さを知り尽くしている。
それに加えてヤヌス・カミンスキーの撮影の素晴らしいこと。
本作でもその才能が遺憾なく発揮されていて、ダンスシーンの迫力は圧巻。
スピルバーグの映像作家としての力量にバーンスタインの楽曲のクオリティーの高さ、そしてダンサー・シンガーのパフォーマンス素晴らしさが加わり、スクリーンに釘付けになった。
それにトニーとマリアの純愛が切なくて、胸が苦しくなる。男女が恋をして愛し合うことの尊さが痛切に伝わってくる。
非常に質の高い作品を見せてもらって、貴重な映画体験であった。
リメイク映画の障害は○○な映画ファンのせい
今回は作品の感想よりも映画のリメイクについて色々書いて行きます。
で、上記タイトルの○○の中身は“歳より”でも“マニアック”でも“こだわり派”“頑固”“頭の固い”でも何を入れて貰ってもかまいません。要するに元ネタを知らない人はリメイク作品を嫌がったり反対することはまずありませんから、反対する人はその映画に何らかの思い入れがある人だけということです。
そしてリメイクに対して(特に映画ファンは)過敏に反応するし反対派が多くなる傾向にあり、逆にテレビドラマやゲームなどは歓迎される傾向にあります。昔の歌のカバーなども嫌がる人はそれ程いませんし、特に映画ついては何故リメイクし難く、嫌がる人が多いのか、ちょっと考えて行きたいと思います。
まず、テレビドラマやゲームや軽音楽などの主なユーザーはほぼ若者なので、名作などと言われてもテレビドラマなら今の時代で今の人気俳優で観てみたいという要望の方が多いでしょう。
ゲームなら最新技術のクオリティで見てみたいしプレイしたいと思うのは自然だし、歌などはオリジナルを歌っていた人はもう高齢であったり亡くなっていたりしているので、今人気の歌手のカバーで十分楽しむ事が出来るでしょう。
では映画はどうなのかということですが、映画の客層は老若男女わりとバランスよく存在し、旧作も年配の娯楽という訳でもなく、ソフトがちゃんと残っていて若い人達にも観やすい環境にあり、古い名作でも若いファンも最初からそれを観る事が可能であるということ。
で、これは映画に限らずですが、特に感受性の鋭い10代20代の頃に鑑賞し影響を受けた作品については死ぬまで記憶に残り、自分の宝石の様な存在になってしまうということ。
本来ならどんな分野に於いても10年単位で技術は大きく変化し、20年単位で客層は入れ替わり、20年毎に名作がリメイクされても全く問題ない筈なのですが、映画業界に於いてはそれは殆どないのが実情です。なので、本作は映画界ではまさに奇跡の様な出来事なのですよね。
いや厳密に言うと映画業界でもリメイク作品は数多く存在しているのですが、リメイクし易いタイプとし難いタイプの作品があり、全般的にリメイク作品の成功率が低いので、余計に危惧されがちなのだと思います。
その辺りをもう少し分類していくと、まずリメイクされやすいのは大半が娯楽作品で、アート系の作品や作家性の強い作品、映画賞を取ったような作品、巨匠の作品などは殆どリメイク対象外の様な気がします。それは、観客のニーズもオリジナル超える可能性も非常に低く、リスクも高いので敬遠されがちなのだと思います。
更に大スター映画の名作も敬遠されがちです。時代が変わってもオリジナルを先に観て、作品にもスターにも魅了されたり印象が強すぎる場合、まさにその作品が唯一無二の作品となってしまいます。
例えばオードリー・ヘップバーンでない『ローマの休日』、ビビアン・リーでない『風と共に去りぬ』、ピーター・オトゥールでない『アラビアのロレンス』、マーロン・ブランドでない『ゴッドファーザー』などを想像してみて下さい。あり得ないと思うのが普通でしょうからね。
それを観ていない人、そのスターの存在すら知らない若者には、私等年配の映画ファンはまずとりあえず観ろって勧めてしまいますしね(苦笑)
逆にリメイクしやすい場合をもう少し分類すると、例えばサイレン映画からトーキー映画の様に映画の技術や表現方法自体が変わったとか、外国映画のヒット作を自国に変換するとか、アニメを実写化(その逆も可)するなどが、今の映画界の一般的なリメイクだと思いますが、(こういう場合、観客側は期待こそすれ文句は殆ど出ませんが)しかし大ヒットしたケースは非常に稀な様な気がします。
と、長々と映画のリメイクについて書き綴りましたが、事程左様にリメイクには高い壁が立ちはだかっており、今回の『ウエスト・サイド・ストーリー』のリメイクって、そういう意味で事件であり、想像するだけでも凄い冒険だったことでしょう。
しかし(もう成功と言ってしまいますが)私が本作を観て、いつも思っている「映画は絶えず進化し続けている」ということを確信したし、本来はこういう冒険をもっともっとやるべきだとも思ってしまいました。
しかし、今回のリメイクもかなり計算があってこその成功だったと思います。
まずはミュージカル作品を選んだこと。本来ブロードウェイミュージカルという舞台版がオリジナルであり、映画版以前から知る人は知る作品であり、舞台というものは公演毎に役者や演出家が違うのは普通であり、旧映画版も決して上記した様な大スター映画ではなかった事が本作の大きな勝因だったと思います。
前作と違うと言われても本来舞台ってある脚本に対して、その時々の演出や役者の違いを楽しむという文化がある程度浸透しているし、70年以上前の作品を現在社会に対してどのように適応させるのかの興味も湧かせてくれました。
更に監督が現代映画の巨匠と呼んでもよいスピルバーグであり、彼のフィルモグラフィーを要約すると、リメイクという形でなくとも古典作品を現在の表現方法で楽しませる為の作家活動であり続けていたので、ある意味本作はそれを本人の口から宣言された様な気がして、彼の本領が最大限に発揮された作品となり、新たな若い『ウエスト・サイド・ストーリー』ファンを獲得出来たことは大きな功績だと思います。
だけど、これが映画界では大冒険であることに違いはなく、もし私が一番好きな『サウンド・オブ・ミュージック』をリメイクすると聞いたなら、やはり拒絶してしまうのかも知れません(苦笑)
亡くなった母に観せたかった。
1961年版を観たのが何故か1971年頃。リバイバル上映でも田舎のオリオン座(懐かしい)でやってたのだろうか。とにかく小学校で指を鳴らして足を高く上げるのが流行り、ジョージチャキリスの名前を覚えた。一生懸命に指を鳴らす練習をした。さて、口コミの星が少ないのでは?と、思う。今の若い人には人種差別問題を提議する現代版ロミジュリは旧くさく写るのか?スピルバーグ監督で音良し、踊り良し、イケメン揃い、ボンキュッボンのお姉さん揃い、映像良しで文句無い。ミュージカル、洋画大好きだった亡くなった母に観せたかったなぁと思う。色々考えないで映像を楽しめばいい。
歌とダンスに完全に魅了される!
ウエストサイドの内容知らないまま鑑賞。
ストーリーや展開的には、なぜ?他のやり方がなかったのか?という思考が最後まで拭えなかった…
それは私が平和な日本に生まれ貧困も偏見も移民もほとんどない人生だったからなのかなとも思う。
それは置いといても演出、ファッション、色彩、音楽、歌、ダンスが本当に素晴らしい!
主演のマリア役はオーディションで選ばれただけあって歌った瞬間魅了された。兄のベルナルドと彼女のアニータのダンスは終始必見!
他の出演者も全て歌もダンスもカッコ良すぎでした!
大画面で見るダンス、そして良い音響で聴く歌!
是非映画館で見てほしい!好きなミュージカル映画がまたできて嬉しい!
ちょっと残念
ウエストサイドストーリーのミュージカルも、以前の映画も大好き!
だからこそ、ちょっと最新の映画観で、違いがあることを多少期待していたからがっかり。
でも、世界観は壊れてないし、ストーリーもいいし。
だからこの点数
人間は、世界は、変われていない
61年のオリジナル版は子供の頃に見た気がする・・・程度です。記憶の片隅に残っている印象は「悲恋を扱ったかっこいいダンスミュージカル」です。ですからこれといってリメイク版を見たいとは思っていなかったのです、スピルバーグ作品じゃなかったら。
ですが、見てよかった・・・。スピルバーグ作品だからというわけではなく本作がまさかこんな社会風刺の物語だと知らなかったからです。素晴らしい楽曲やダンスで描かれているのは悲しい社会現実。僕はこの風刺的なものはスペルバーグが加えたのかな?って思っていました。時代を反映した作品にリメイクしたんだなぁ〜、アメリカ社会をきつくディスってるなぁ〜って思ってたのですが、、、、大違いでした。観賞後にオリジナル版の鑑賞や批評を見たら、オリジナル版と変わらなかった!!!幼い頃の記憶なんてそんなもの・・・。60年くらい前に描かれている社会状況やテーマが今でも十分通じるってことに驚き、人間の本質や社会の根本は何も変わっていないという事実を突きつけられたようで哀しくもなりました。リメイクした理由がわからなかったのですが、鑑賞して合点がいきました。このようなテーマだからこそ、何度も描かれるべきなのかもしれません。
オリジナル版の記憶が定かではないので比較はできませんが、ダンスシーンは圧巻の一言でした。あまりミュージカル映画は見ないのですが、すごくゴージャスで躍動感と拡がりを感じるものでした。大画面で見るべきだなぁって思いました。ただ、個人的にはキャストの俳優さんたちがちょっと印象に残りづらかったです。トニー、リフ、ベルナルドが弱かったなぁ〜。ですが女優陣が素晴らしかったですね。マリア役の歌声は素晴らしく、とにかくアニタ役の方がよかったなぁ。とってもとっても!ダンスはめちゃめちゃカッコ良いです。
そしてそして・・・(もちろん調べてわかったことですが)オリジナルのアニタ役の女優さんの役どころとセリフがとっても良いのです。オリジナルのアニタを演じた彼女だからこそとっても重みがあり意味が何十倍にもなるんじゃないか?って思えるほどです。
これはオリジナルを見直してから再鑑賞だな!
スピルバーグは映画の達人だった‼️
『ウエスト・サイド物語』('61)は私の好きな映画ランキングの上位に挙がる作品。
スピルバーグがリメイクするというニュースに、今その意味があるのか疑問に感じた。あの名作ミュージカル映画は完璧である上に、スピルバーグにミュージカルもラブストーリーも結びつかない気がしたからだ。
しかし、スピルバーグに頭を下げねばならない。
構図とカットのスピルバーグ魔術が、ダンスシーンはスピーディーかつダイナミックに、ラブシーンはよりロマンティックに美しくリニューアルさせていた。
人種間の対立や縄張りをめぐる争いという物語の背景についても、半世紀以上隔てた現代も存在し続けている黒人やアジア人差別の実態を憂いて今一度問いかけたのだろう。更に、純愛がその犠牲になることの悲惨さをより強く明確に訴えかけている。
やはり、スピルバーグは映画(エンターテイメント)の達人だった。
「体育館でのダンス(The Dance at the Gym)」連曲のクライマックスとなる「マンボ(Mambo)」、アパートメントからストリートに繰り出して展開される「アメリカ(America)」、この2つの集団ダンスシークェンスには身震いさえした。
前者は、それぞれに衣装の色調が統一された2つのチームの男女が踊る真っ只中にカメラが入り、ダンサーたちの高い身体能力を圧倒的な迫力で見せつけて、いよいよ沸騰していくジェッツとシャークスの対決ムードを駆り立てる気配だ。
後者は、計算し尽くされたカメラワークと演者のパフォーマンスが見事にスウィングしていて、プエルトリカンの女性陣と男性陣の掛け合いに街の生活者を巻き込んで愉快だ。そして、アニタ役のアリアナ・デボーズをセンターにした褐色の女性たちの迫力あるダンスシーンには、アメリカで理想の生活を手に入れようとする女性たちの力強さが溢れていて圧巻だ。
トニー(アンセル・エルゴート)とマリア(レイチェル・ゼグラー)の究極の一目惚れシーンは、二人が視線を交錯させるその時、それぞれの視点で相手を捉えたショットのライティングによる色使いが美しい。そしてお互いに操られるように体育館のスタンド裏に回り込んで急接近するが、そこには人目を避ける奥ゆかしさがありながらも、大胆な女性主導で進展するところがスピルバーグらしさか。
トニーがマリアと再会して二人で「トゥナイト(Tonight)」を歌う非常階段の最も有名なシーンは、二人の間を遮る障害物をトニーが越えられず、トニーの無力さを暗示しているともとれる。二人に距離があるため、デュエットに映画的な動きが加わってもいる。
'61年のロバート・ワイズ版とは一部で曲順を変えている。もしかすると舞台版の構成に戻しているのかもしれないが、歌い手が変わっている曲もあるので、意味合いも変わっている。
最も大きな変更は「クール(Cool)」と「サムホエア(Somewhere)」だろう。
「Cool」は、ワイズ版では決闘後に復讐に気がはやるジェッツのメンバーに、No.2のアイス(タッカー・スミス)が「落ち着け」と、それこそクールに歌い踊る。
本作では決闘前に拳銃を手に入れたリフ(マイク・ファイスト)に対してトニーが「冷静になれ」と思い止まらせようとするが、拳銃を奪い合う激しいバトルに発展する。床板の穴を使ったスリリングな振り付けを、絶妙な構図のカット繋ぎで見せる演出はサスガとしか言いようがない。
舞台版でも決闘前に歌われるが、リフがメンバーを落ち着かせようとする場面…だったはず。
「Somwhere」をドラッグストアーの女主人ヴァレンティナがソロで歌うのには驚いたが、彼女こそワイズ版でアニタを演じてオスカーを手にしたリタ・モレノその人だった。彼女は製作総指揮としても名を連ねている。
どこか遠くへ行けば平和に暮らせる場所かあるはずと希望が込められたこの曲は、ワイズ版では、事件後にトニー(リチャード・ベイマー)とマリア(ナタリー・ウッド)が自分達の未来に望みを託して歌う。
舞台版も同じだったと思う。
本作では、とてつもない不幸に見舞われた若い恋人たちを慮った老婆ヴァレンティナが、ひっそりと祈るように歌う。この曲の位置を変えたことで、マリアの部屋でアニタとマリアの間で交わされる「あんな男に〜私は愛してる(A Boy Like That/I Have a Love)」が引き立っていて、涙を誘う。
メインキャラクターたちがそれぞれの「今夜」を歌い上げる「トゥナイト/クインテット(Tonight /Quintet)」が、このミュージカルのクライマックスナンバーだと思うが、先に述べた集団ダンスのシークェンスが凄すぎた分、このシーンの盛り上がり方はワイズ版に軍配を上げたい。
若者が、自分達が道を踏み外すのを社会や大人たちのせいにしたがるのは、時代も洋の東西も問わない。ある面において正しいのだろう。
「クラプキ巡査への悪口(Gee, Officer Krupke)」でジェッツのメンバーは、親が悪いの、社会が悪いの、自分は病気だのと歌う。
軌道を外れてしまった若者たちを制止することは容易ではない。決闘での惨劇すら、彼らにとって教訓にはならないのだ。
更なる悲劇の引き金となるアニタへの暴行騒ぎを止める役回りをリタ・モレノ演じるヴァレンティナに置き換えたことには、皮肉が込められている気がする。
ヴァレンティナはプエルトリコ移民で、白人のドラッグストアー店主と結婚し、ジェッツのメンバーもシャークスのメンバーも赤ん坊の時から見てきた存在だった。
彼女はジェッツの面々に「リフに恥ずかしくないのか」と言って諭すが、60年前に自分が演じたアニタからは「裏切り者」と罵倒され、言葉をなくす。
ラストシーンで、拾った拳銃を警官に渡すヴァレンティナとそれを受けとる警官の図は、大人たちの無力さを示しながらその先に、元凶が大人たちに(歴史に)あることを示唆していないだろうか。
バーンスタインが産み出した名曲の数々に対する新アレンジは、オリジナルの魅力を崩さずオーケストレーションがスケールアップしている。
どうやら、発売されたサウンドトラックアルバムにはジョン・ウィリアムズによるライナーノーツがセットされているらしい。
これは、お宝度が高い。
この作品は映画館の大スクリーンで是非
居場所のない人間のやるせなさを歌とダンスで見事に表現できていた。
美術と衣装デザインは秀逸です。
追記
スピルバーグはさすがに金かけてるなと一目でわかります、まさにハリウッド映画って感じで、
城定秀夫にこの映画の予算をあげたら何本映画撮れるだろうか(笑)
分断が続く今こそ公開されるべき伝説のミュージカル
画面を縦横無尽に駆け巡るダンスシーン、華がある!
そして、ミュージカルって凄いなぁ、名曲Tonight、鳥肌が出た。
それと、対立するジェッツとシャークスを服装(寒色と暖色)で視覚的に分かりやすく分けていたのが良い。
個人的には、対立するチームがが倉庫で向かい合う姿を上から捉えたシーン、大きな影が交差するのが好き。
内容としては綺麗事で終わらないのが意外だった。
ここまでいかないと、対立というものは解決に向かわないのか、こんなくだらない対立は今も続いているのかと辛く悲しくなった。
ただ、主演二人に感情移入できなくてちょっと合わなかったかなぁ。
一目惚れするかなぁ?展開早すぎ!とか思っちゃった。
あと、後半の事件の後マリアがそれでもトニーを愛していることをアニータに歌いながら言うけど、アニータの立場からすると辛い、慰めのシーンがないと…
がっかりはしないけど…
オリジナル映画はうろ覚え状態で観ました。
主人公2人が出会う瞬間とかは恋に落ちた感じが伝わってすごく素敵だった!
…けどその後の展開についていけない。。
なんでこんなにも惹かれ合うのか、2人が永遠とか語る度にうーん?となるのは役者さんが童顔なのもあるのか?
スピルバーグがラブストーリー苦手説を他の口コミで見ましたが、私もとにかく2人の気持ちをもう少し丁寧に描いて欲しかったと感じました。
すぐオリジナル見直したら、やっぱりこっちがいいな、と思ってしまいました。
華やかだし、当時のアメリカの空気感や活気が伝わるエンタメとしてはありかな。
決闘シーンは結構痛々しかったので、ラブストーリー、ミュージカル好きな私の軸とずれてるのかも。
少なくともスピルバーグの最高傑作とは違う
この映画の背景にあるものは深く複雑な問題を孕んでいると思う。
しかし映画のストーリー自体は至って単純で、最終的は救いようがない悲劇である。
ミュージカルとしての歌と踊りについてはそれなりなのだろうが、スピルバーグ監督が辣腕を振るった作品とは呼べないだろう。
エンドロールを含めとても長く感じた。
残念な気持ちの方が強い。
これが現実
原作やオリジナル版の内容も知らずに鑑賞。
最初はポップに、だんだんとシリアスな話になっていく。
ツッパリヤンキーなノリでライトな作品かと思いきや結構重めなテーマ。
話に関しては既視感のあるというか、これが元になったんだろうけど、簡単には分かり合えない現実を表していて、今見ても興味深いです。
主人公トニーは背が高く、イケメン、惹かれるものがあったが、ただ、ヒロインに関して歌声はすばらしいが、どうしても魅力的にみえず、あまり感情移入できなかった。
歌ももう少し短くして、テンポよくしてもよかったかなあ、というところ。
絵面がいい
音楽はあまりいじってないみたいだけど、照明や撮影方法がバラエティに富んでいるので、絵はすごく良い。ダンスも60年経てば、キレ味が増してる。全体に技術の進化がうかがえる。配役もこだわっているだけあり、どこ系移民かきちんとわかる。
マリア役の子は可愛いねぇ。高い声がきれいで、アニータとのデュエットはかなり好き。白いワンピースに赤ベルトがベリーキュート。アニータは黒地に赤い模様で対称的。この衣装が、踊ると裾がひるがえって、群舞になると花が咲き乱れるように見えてすてき。
トニーがムショ帰りとか、ベルナルドがボクサーとか、設定にはリアリティ満載。掘り下げ方があっぱれ、スピルバーグ監督! だけど、ちょっと途中眠気が…。なんでしょうねぇ、オリジナルと長さはそんなに差がないのに、このリメイク版の方が長く感じた。話の進行も同じなんだけど、少し説明的なのかな? でも、ミュージカルの作りだけど、ちゃんと映画なんだと思った。とても良かったです!
すごくちゃんとリメイクされた感じ
前の作品をそこまでハッキリと覚えている訳では無いけれど
今だから可能な表現をふんだんに使用しつつ当時を偲ばれる映像
良い映画が良いままでよかったよ
ついでと言ってはなんだけど舞台も観たくなる作品
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