劇場公開日 2022年2月11日

「悲劇が消化不良?」ウエスト・サイド・ストーリー ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0悲劇が消化不良?

2022年2月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1961年に映画化されて誰もが知る「ウエストサイド物語」。(自身は古い映画だと割り切って見ていないが)なるほど、これだけ強いテーマなら当時の人々の共感や絶賛を得るのは分かる気がする。時代性はあるものの、テーマ自体はいつの時代も共通するものがあるから、今見てもとても新鮮に伝わる。巨匠のこの作品への愛着も強く感じる。エネルギーの有り余った若い連中の対立と恋愛物語に過ぎないが、背景には現代にも通じる奥深い問題が潜んでいてとても興味深い。しかし「真実の愛は敵対関係を乗り越える事ができるのか」というロミオとジュリエット的な関心は解決されたとは言い難い。悲劇が起こってしまった後で、自分たちの愚かしさを悟ることにより「昇華」が起こり、感動を呼ぶのではないか。ラストシーンは、悲劇のやりっ放しで後味が悪いと思うのだがその辺はどう考えているのだろうか。(原作通りなら文句を言ってもしょうがないが)
いずれにしろ、躍動感あふれるストリートダンスやタイミングよく心をつかむ名曲の数々を堪能できただけでも単純に見てよかったと思う作品でした。

ガバチョ