「映画『ウエスト・サイド・ストーリー』」ウエスト・サイド・ストーリー 凪さんの映画レビュー(感想・評価)
映画『ウエスト・サイド・ストーリー』
スピルバーグが、どう撮るのか?ということを意識しながら観てきました。
ミュージカル特有の、ある種の間抜けさ、馬鹿馬鹿しさ、というものを、苦手とする方にも楽しめるように作られているように感じました。
ミュージカルではなく、映画として楽しめる、バランスの良い仕上がりだったと思います。
ミュージカル(やバレエ)の間抜けさは、音楽とダンスのシリアスさに裏打ちされてこそ楽しめるわけですが、そのシリアスさもまた、本作には不要なものかもしれません。
スピルバーグは、音楽やダンスが、映画よりも前に出過ぎないようにコントロールしていたのだと思います。
もうひとつ気になったのは、不良たち(という言葉もどうか)に、悪い感じがないということ。
マンボのシーンでは、殺気のなさに思わず、”腑抜けかよ!”と、心で毒づいてしまいましたが、現代のダンサーや音楽家が、前作より大きく劣っているとも思えません。
帰宅してサントラを比較してみても、映像で観た時ほどの差は感じられませんでした。
ミックスと映像で、マイルドにされているという印象です。
つまり、映画のテーマからみて、不良を悪くて格好良くは描けないんだなぁということです。
ジェンダーや移民問題などより、こちらの方に現代性を感じてしまいました。
前作とあれこれ比較し、考えながら見るのは、いろんな発見もあり、楽しかったです。
でもやっぱり、見終わった後に指を鳴らしたり、足を上げたくならないのは、ちょっと寂しいですね。
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