「強制的に考えさせられる」ウエスト・サイド・ストーリー ハムカツ太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
強制的に考えさせられる
今作は複数の社会問題を考えるきっかけをくれる作品でしたね。そのため、内容だけを抜き取ると暗くなりすぎるところを、ミュージカルを通すことぇ側が重い気持ちになりすぎない構図がとられており、これこそミュージカルでやる内容であると感じさせられるものでした。
本編には「人種問題」「土地開発問題」「トランスジェンダー問題」「子供と大人」の4つが映画を通して取り上げられているように感じた。
トニーとマリアのような人種が違う2人が恋をすることは今でこそ受け入れられる方向に向いてはいるが、根強くのこる人種差別問題ですよね。
また、土地開発によって都市が生まれ変わることは、一見素晴らしいことのように思うかもしないが、実際にその場に住んでいる人にとっては、立退を強制されるため、どうなのか。お金と権力がなければ抗議すらも聞き入れられない、そんな社会的弱者の立場が考えさせられるものでした。
トランスジェンダー問題では、劇中ひとりだけ、アイリスという、自身を男性だという女性がいました。心は男性であっても、体は女性という理由だけで、初めからジェッツのメンバーからハブられていました。現代でこそ、受け入れる方向に世界が向かっているが、当時の世界は理解できないものとして、除け者の扱いを受けていたことがわかる。しかし、最後のシーンでは、努力を認めてもらうことができ、チームの一員として迎えてもらえ、人は変われると見せてもらったと感じました。
もう一つは、大人と子供の目線です。本編で登場した大人は主に3人です。「バレンティーナ」、「クラプキ警官」「バーのおじさん(名前忘れましたすみません)」の3人です。大人たちは3人とも、「お前たち早く大人になれ」と言わんばかりの言動を常に取り続けてきました。俯瞰で見ている私たちは、子供たちに対して、同じ感情を持つかもしれない。実際に本人たちの年齢、立場になった際、自分達の育った街を守りたい、ただそれだけなのになぜこんなに責められなくちゃならないんだと反発する気持ちもわかります。それは、常に子供目線で話が進んでいるため、子供の話す言葉に説得力が加算されているためである。大人の言うことは、正しいかもしれないが、成長することを戦うこと諦める事のように見せていると感じた。
劇中ラスト、チノには思いとどまって欲しかった。だか、あの行動によって、暴力では何も解決しないと、常に言い続けた女性陣の言葉が刺さりましたね。力がある男はなんでも、拳で力でねじ伏せようとするが、なんの解決にもならないことを、アニタやリフの彼女は常に発し続けた。女性が常に先をいっているようにもみえた。
考えることが多すぎて、全然まとまっていないですが、今回の感想はこんな感じです。強制的に社会問題を考えさせられるような映画であり、今の人が見るべきものであると感じました。