「愚かな若者は人類そのもの」ウエスト・サイド・ストーリー Pocarisさんの映画レビュー(感想・評価)
愚かな若者は人類そのもの
クリックして本文を読む
スピルバーグの近年の作品を見ていれば、「ウエストサイド物語」をリメイクするのも意外というより「なるほど」という印象でしょう。
もともと分断をテーマにした作品ですが、今回のリメイクでは、移民の排除の問題は原作のまま、高級住宅地化のための再開発が進んで貧困層の行き場がなくなるニューヨークという点では現代と同じ問題に触れています。
その再開発のために建物が壊されていく光景は、明らかに戦争で爆撃を受けた街の二重写しになってます。分断の果てに引き起こされる戦争というところまで射程とした作品であることがわかります。
そしてこれは愚かな若者を通して人類そのものの愚かさを、なおかつホモソーシャルな人間関係や発想がもたらす罪の害悪の部分にも目を向けていますね。(冒頭で倒されるものに書いてある言葉に注目)
それと、主役の俳優の外見にあれこれケチをつけている人がこのサイトに限らずいますが、そうした精神がこの映画のメッセージや願いとは逆行するものであることは、最低限理解すべきでしょう。
コメントする