「スピルバーグが込めたモノ」ウエスト・サイド・ストーリー bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
スピルバーグが込めたモノ
スピルバーグが、1961年に映画化されたブロード・ウエイの名作『ウエスト・サイド・ストーリー』を、60年の時を超えて新たな命を吹き込んだ。ミュージカルは、それほど好みではないが、2時間40分の長さを感じさせずに、一流の歌とダンスを堪能した。そして、ストーリーの結末は分かっていても、十分楽しめる作品となっており、数多くのアカデミー賞候補に挙がっているのも頷ける。
オリジナルを大切にしながらもスピルバーグがこの作品に込めた思いが、随所に感じられる演出となっている。彼自身もユダヤ系ということで、迫害の過去を受け継ぐ者として、本作を単なる当時の若者の島争いとしてではなく、現代社会の中で渦巻いている、宗教や思想の違いによるテロ、国益を巡る抗争、未だ残る人種差別問題、そしてジェンダー問題までにも、警鐘を突き付けてくる内容となっている。
ストーリーは、夢を追いかけてニューヨークに移民してきた、プエルトリコ系のジェッツとポーランド系のシャークスの若者達が、互いのプライドと自由を賭けて、対立し合う物語。しかし、その対立の基盤には、移民に対する社会的差別や貧困が根強い、アメリカの黒歴史が横たわっている。
そんな、シャークスの嘗てのリーダー・トニーとジェッツのリーダーの妹のマリアが、禁断の恋に落ち、その過酷な運命に抗いながらも、真実の愛を貫こうとする究極のラブ・ストーリー。1950年代の『ロメオとジュリエット』といった内容。
マリア役のレイチェル・ゼグラーは、3万人のオーディションから選ばれたシンデレラ・ガール。スピルバーグ自らが、彼女のところに出向いて、「僕のマリアになってください」とお願いしたというだけあり、その歌声は見事で、プエルトリコ系の愁いを湛えている黒い瞳が印象的。これからの活躍も期待できる新人女優である。そして、61年版の映画を愛する人にしてみたら、当時のアニータ役だったリタ・モレノが出演しているのも、懐かしさが増すだろう。
本作では、当時のニューヨークを再現するかのように、道を走るクラッシックカー、レンガ造りの街並み、当時の衣装から全ての小物に至るまで、オールド・ファッションで埋め尽くされており、スピルバーグの細かなところまで行き届いた演出が際立っていた。
今晩は。
イロイロと、昇進じゃなかった傷心のNOBUです。
簡潔にして、的を得た、この映画を観たい!と言う気持ちを呼び起こす素晴らしいレビューですね。
ハア。私、マダマダダナア・・。
では、又。返信不要ですよ。
私もミュージカルはイマイチ入り込めないでいますが、本作は、どの曲も馴染みのある曲で、楽しめました。やはり、スピルバーグにかかると、オリジナルとは違う面白さを醸し出しますね。
こんばんは。イイねありがとうございます😊😊😊明らかに現在の実績知名度とも世界No.1のスピルバーグですから、潤沢な資金も優秀な人材も集まりますから、私は、大作、合格点当たり前の前提で見ました。ちなみに私のベスト映画から「シンドラー・・」と「プライベート・・」「ジョーズ」は永遠のトップテン維持です。本作に関しては、全ておっしやるとおりですね。納得します。ただミュージカルに馴染みのないど素人の私には他の監督の「ララ・ランド」の小洒落たミュージカルの方が若干上かと・・・すみませんど素人ですので。🙇♂️🙇♂️🙇♂️ありがとうございました。長文すみません。