劇場公開日 2022年2月11日

「リメイク作品なので物語自体には目新しさは少ない。ただ、それを補って余りある「歌」と「映像」のパワーがある!」ウエスト・サイド・ストーリー 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0リメイク作品なので物語自体には目新しさは少ない。ただ、それを補って余りある「歌」と「映像」のパワーがある!

2022年2月11日
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まず、これまで「ハリウッド映画の歴史」を作り続けてきたスティーブン・スピルバーグ監督にとって本作が「初のミュージカル映画」となっていることに驚きました。
時代背景を踏まえつつもセンス良く色鮮やかな衣装デザイン、CGなどの最新技術に頼るのではなくライティングで影を巧みに操ってエッジの効いた映像表現を効果的に使う撮影手法など、とても初挑戦と思えないほどクオリティーの高い「ミュージカル映画」でした。
そして、それらの演出が功を奏し「トゥナイト」「クール」「アメリカ」「サムウェア」など数々の「名曲」とダンスシーンなどの「映像」にのめり込むことができました。
そもそも「ウエスト・サイド物語」における設定に1950年代のニューヨークのウエスト・サイドでのヨーロッパ系移民「ジェッツ」とプエルトリコ系移民「シャークス」で起こっている若者の対立があり、その対立構造がある中で、「ロミオとジュリエット」をモチーフにした切ないラブストーリーが展開され本作でもそれを踏襲しています。
移民や民族などの問題を中心に世界では「分断」が今でも日常化しています。そのため本作のように時代背景を変えずにリメイクされても、映像表現などが進化していて、この普遍的な物語がより響くようになっていました。1961年版の「ウエスト・サイド物語」の良さを活かしつつ、「現在の私たちが見たい作品」に昇華させることに成功していたと思います。

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細野真宏