「『世界に一つだけの花』の歌詞を思い出しました」だれもが愛しいチャンピオン りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
『世界に一つだけの花』の歌詞を思い出しました
プロ・バスケットボールチームのサブコーチを務めるマルコ(ハビエル・グティエレス)。
トップコーチと対立して短気が故に退場をくらう。
やけ酒を呷(あお)っての飲酒運転、チームは解雇され、刑務所への収監の替わりに90日間の社会奉仕が命じられる。
奉仕先は、知的障がい者のバスケットボール・チーム「アミーゴス」への指導。
はじめは嫌々だったが、徐々に互いに理解を深めて行き・・・
という物語で、東京パラリンピック開催イヤーのオープニングに相応しい。
とにかく、各人のキャラクターが立っています。
マルコは、まぁ、ステレオタイプだけれど、ステレオタイプということは蛮人に通じるということ。
そんなマルコの視点は、我々の視点。
多くの場合、「障がい者」としてひと括りにしちゃうことも多いが、人それぞれに事情がある。
癲癇の持病があるので発作によりフリーズしてしまう者、
棄てられた動物の保護施設で住み込みで働いているが、幼い頃に溺れた経験から水恐怖症でシャワーにも入れない者、
航空機の運航をやたら気にする者・・・
最後に挙げた彼に関連して、劇中「鳥を一日中観察しているひとは博士として尊敬されるのに」とも言われる(このあたりは可笑しい)。
で、そんな彼らとマルコは一丸となって快進撃を続けていき・・・と話は展開するが、印象的な台詞がふたつある。
子どもを望む妻の意に反するマルコに対して、チームメンバーのひとりが言う台詞。
「ボクだってボクみたいな子どもは欲しくないが、あなたみたいな父親は欲しいよ」
チームを通してマルコが成長したことを示す台詞だが、これには前振りのような台詞がある。
これもチームメンバーのひとりが言う台詞だが、徐々に怒りを抑えられ、コーチングができるようになってきたマルコを評して、
「彼の抱えている障がいは治らないけれども、わたしたちは対処方法を教えているんだ」
この台詞は、結構、胸にこたえました。
身に覚えがあるからね。
快進撃を続け、決勝戦にまで進んだ「アミーゴス」。
その結果は・・・
『世界に一つだけの花』の歌詞を思い出しました。