「チームも社会全体もみんな同じなのかもしれない」だれもが愛しいチャンピオン ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
チームも社会全体もみんな同じなのかもしれない
ハンディキャップを題材に扱う映画はその描き方が難しい。少しでも偏見が挟み込まれると非難の対象になりうるし、だからと言って変に気を使い過ぎると逆に現実から乖離し本質が見失われてしまう。だがこの映画はどうだ。ハンディキャップをその人の個性として捉え、誰もが各々の音色を精一杯に響かせながら、いつしかチーム全体で一丸となってゴールへなだれ込んでいく。
バスケリーグで勝利の手応えを味わうにつれ、チームメイトの表情は生き生きと変わる。だが最も変わるのは、それまで人生どん底の日々を過ごしていたコーチのマルコだ。自己中心的で煮ても食えないプライドを持つ彼の方が、彼らとの日々の中で恐らく人生で初めて人間らしく羽ばたく。そして何かを伝えるためには、しっかりと目と心で通じ合い、相手と真正面から向き合うことが大事なのだと知る。何も特別なことなんてない。このチームも、我々が暮らす社会も、すべてはみんな同じなのだ。
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