「差別と音楽と青春」カセットテープ・ダイアリーズ ツネミさんの映画レビュー(感想・評価)
差別と音楽と青春
・ボヘミアンラプソディの時にフレディが観客からパキ野郎ひっこんでろ!みたいなシーンがあった。あれが70年代初めくらいの設定だったはずでこちらは87年でずっとその間も続いてるんだ…っていう事実とあからさまに唾はいてたり玄関ポストから小便してきたり、壁に落書きしたり内容が描かれていて酷くて切なかった。全体の作風と親友の英国人や恋人の存在があったからか強く深刻な印象は受けなかったけれど何だか寂しくなるシーンだった。
・小さな町から出るまでの2時間っていうのが凄いなと思った。
・ブルース・スプリングスティーンとの出会いで世界が一変したシーンがとても良かった。文化も国も違うけど、同じことを感じて考えている人がいるって感じることがいかに心強くなれるかと改めて感じた。それを終始全否定する父親がラストで理解を示したシーンは泣けた。
・合間合間にフラッシュモブかミュージカル的なノリで歌を歌うシーンが音楽で世界を一変できるような気持になった。
・80年代ファッションが面白かった。カセットデッキを腰につけて、聴いている様が良かった。良いヘッドホン、良い音質とかよりも、何か大切なものが事があるんだと反省した。
・ムスリムと度々いわれていたけれどどういう意味なんだろうと思った。パキスタン人の事を言っていたのだろうか。
・ブルース・スプリングスティーンがアメリカでとんでもない英雄的存在なんだなと知らなかったので驚いた。歌詞も観ているととても良かった。あんまり覚えてないけど。
・87年が舞台だからライブエイドの後だからシンセの音楽もそんなに悪くないよなとか思った。なので自分があそこにいたら馬鹿にされていたなぁと思った。
・進学したところから話が始まったのかなぁと思ったら違ってて進級したって事だったのか、少しわからなかった。論文の授業で担当教諭から才能を見出されたジャベドがとても羨ましかった。文章書くのが好きで才能があるなんていわれたら最高だなぁと。
・パキスタンの家族関係が父親の権力が強くてとても窮屈そうで女性の立場が弱いから従属するような生活を強いられいるんだろうなと思ったら辛かった。車が動かず家族総出で押して動かすシーンが惨めさをとてもよく演出しているように感じた。
・結婚式の時にパキスタン人へのデモとチケット発売日とかが重複して式を抜け出して買いに行った間に父親がケガをさせられたシーンが苦しかった。
・家族の閉塞感や暗さがあったからジャベドがスプリングスティーンのおかげでどんどん元気になって調子にのっていく感じがとても開放感があって良かった。
・実際に自分があの環境だったらどうだろうと想像すると毎日憂鬱でたまらないだろうなと思った。
・ブルース・スプリングスティーンが感じたことだけを書くと言っていたとジャベドが語っていたシーンが印象深かった。だからその時に、出来る曲は明るものから暗いものもあると。
・親友のお父さんがブルース・スプリングスティーンの大ファンなのが何か面白かった。