「貧困と欲望」PROSPECT プロスペクト kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
貧困と欲望
粉が舞い続ける不思議な森の惑星。地平線の向こうには巨大な星が浮かぶという幻想的な風景があった。空気はあるが、汚染されているため防護服は欠かせない。そんな辺境の惑星で鉱物採取する父娘であった。
トレジャーハンターみたいな人間もかなり住んでいて、人生を諦めたかのような宗教コミュニティやいかにも悪っぽい奴らもいる。宝石は植物の胞子の中?みたいなところにあり、傷つけると台無しになってしまう。ちょっと暗くて、早く逃げ出したくてしょうがない世界でもある。
宇宙船、ポッドの内部の詳細な描写がかなりさび付いた古臭い機械。この父娘も貧困から抜け出そうと必死なのだが、ゴールドラッシュ時のように人の心は荒んでいる。宇宙服に統一性もなく、中古品で間に合わせたといった寂れた雰囲気も一層盛り立てるし、ガラスケースに入った赤鬼みたいな囚人の存在もいい。
それにしても父親を殺した男とともに・・・という手塚治虫の「火の鳥」にありがちなテーマがあるかと思ったけど、そこまでの人間の本能までは描き切れてない。テーマがどこかに行ってしまって、雰囲気だけが残ったといった作品になりました。
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