「捕食者と腐食生物」4×4 殺人四駆 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
捕食者と腐食生物
ワンシチュエーション・スリラーとしてはありがちな前半。車上荒らしのために忍び込んだ高級SUVはとんでもない仕掛けがしてあり、いったん入ったら出られなくなるという代物。防弾ガラスだし、ドア付近を壊そうとしても頑丈だし、偏光ガラスによって外からは見えない、助けも呼べなくなった泥棒のシロ。持ってた銃を発砲して怪我はするし、水も食料もなくなるし・・・といった絶望的状況の中、車内電話が掛かってくるのだ。
男は産婦人科医で名前も正しく名乗る。余命1年などと語り始める声には道連れにされそうな恐ろしさも伝わってくるのだ。医師だけあってシロの身体の状況もすぐ理解してるみたいだし、完全に獲物としてからかわれてしまってる。何か突破口はないのか?と、状況も刻刻と悪化するばかりで、意識も朦朧としてくるのだった。
面白さはSUVの車名が“PREDATOR”(捕食者)だということ(マツダ車っぽい)。そして、意識がなくなりそうになったシロが思い出した言葉が“腐食生物”というものだった。生態系を維持するためには重要な存在であるが、人間界における富裕層と貧困層のメタファーになっているのです。車内で見つけた一匹のバッタが全体の構図の中でも存在感があった。
終盤になると、密室を離れた新たな展開となるのですが、集まってくる近所の人たち、やじうまたちが賛否両論のやじを飛ばすところも興味深い。
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