「その糸に触れると主人公以外皆不幸に…」糸 かんいちさんの映画レビュー(感想・評価)
その糸に触れると主人公以外皆不幸に…
○よかったところ
冒頭の少年期。
主役の幼少期を演じたお二人のキラキラした演技には好感持てたし、映像もきれい。
(でもこのお二人、パンフレットにはプロフィール出てない。脇の役者はしっかり掲載されてるのに。あとスタッフロールも掲載されてるけど、読めないくらい小さい。こういう全スタッフを大事にしない姿勢が、結局映画自体を愛してない証拠だと思う。)
出ている役者さんの演技はよかった。特に斎藤工さんの存在感はすごい。
○気に入らなかった点
大人になってからの展開全般。
あれだけ演技できる役者を揃えていて何故ああなった?途中からイライラしすぎて笑いが出た。いろんな要素詰め込みすぎ、納得できない展開が多すぎる。
「俺んちは工場だから、あんまり勉強はうるさく言われない」と主人公に言わせておきながら、大人になると、なぜか地元で働きたいからとチーズ工場に就職してる。いや、工場継ぎなさいよ。
中盤、ヒロインがシンガポールへ。主人公は何度も国際チーズコンクールに挑戦する。
伏線かと思いきや、それも回収しない。
いやいやヒロインシンガポール行った意味よ…。
主人公は工場の同僚と結婚。
しかし運命の糸は2人を結びつける為に妻を病死させてしまう。友人も離婚。ヒロインのパートナーはリーマンショックに株が暴落、失踪してしまう。まだまだあるが、もはやホラーだよ。
せめてそれぞれのパートナーとそれなりの幸せと共に添い遂げた後、老後再度出会い結ばれるとかならわかるんだけど、さすがにちょっと安直すぎませんか?
もっと中島みゆきさんの歌詞から得た着想だと言うのなら、もっと詞の深さを感じてシンプルな大人の作品にできなかったのだろうか?
骨太な人間ドラマを期待して観に行ったら、小学生向け少女マンガを見せられたような感じ。
あれだけ演技できる役者出してこんな仕上がりって、邦画業界ほんとに大丈夫?