「平成を生きてきた人の心に刺さる」糸 柊さんの映画レビュー(感想・評価)
平成を生きてきた人の心に刺さる
運良く先行上映で鑑賞できたので感想を書いておきたい。
ストーリーはわかりやすく、平成史を絡めながら男女二人のであい、それぞれの歩み、そして再会を描いている。原作の中島みゆき「糸」の歌詞をよく表現していると言える。
その内容から、主人公と同じ時間軸で平成を生きてきた30歳前後の方は特に心に突き刺さるものを感じるのではないだろうか。確かに、平成の大きな出来事をはじめ、暴力、金、出産、病気、死別など、多くの「泣かせ要素」を詰め込みすぎていることは否めなかった。しかし、各キャストの演技力が軒並み高いため、各シーンに感情移入がしやすく、とても濃厚で見ごたえのあるものとなっていた。
そして、このような要素の詰め込みは平成に一時期流行したケータイ小説を想起させるものである。個人的には、「要素の詰め込み自体が平成を感じさせる要素」という多重構造を形成していると考えている。もしこれが意図的なものなら、折り重なる糸を表現した秀逸なプロットではないだろうか。
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