「平成版フォレスト・ガンプ?」糸 サブレさんの映画レビュー(感想・評価)
平成版フォレスト・ガンプ?
平成元年生まれの漣とあおいが、別々の道を歩みながらも時折交差し、互いに思いをはせた30年間を描いた物語。作風はフォレスト・ガンプに似ている。「新しい元号は平成であります」に始まり、9.11テロや東日本大震災がなど平成の大事件を挟むことで映画に引き込まれ、そして令和の始まりと共に締めくくることで、彼らの求める夢や生きる希望を間近に感じることができた。
非常に美しい構成だった。
彼らの物語は13歳から始まり、悲痛な別れを経て20歳になり、再会する。しかし漣、あおいは互いに失恋を味わい、自分の人生を歩むべく気持ちを切り替える。
まず、ここがいい。13歳の無敵で無謀な恋、逃避行。大人になって再会したものの、お互いにもう一度恋愛はできないと思い悩み、あきらめるさまがいい。20歳は大人と言うには若すぎる。それを教えてくれた。
20歳になり失恋を味わってから、彼らは各々幸せになろうとする。地に足をつけて生活したり、とにかく大きく羽ばたこうとしてみたり。そこで見せられたのは山あり谷ありの人生。彼らの浮き沈みが交互に映し出されていく様は、まさに織り合わされる縦糸と横糸を思わせた。
この映画は中島みゆき作詞作曲の「糸」をベースにして作られたという。鑑賞時に初めて聴いたので、鑑賞後に改めてじっくり聴いた。確かに、抽象的ながらもどことなく情景が浮かびそうな歌詞をきれいに映画に落とし込んでいた。彼らがまさに「逢うべき糸」だったことがラストシーンで証明されるその瞬間を、ぜひ劇場で観ていただきたい。
劇場で観る小松奈々の美しさもすごいし。
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