劇場公開日 2021年6月4日

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「【未完成映画予告編大賞グランプリ受賞作】構成が面白い作品。リアルな「痛々しさ」が残る佳作。」猿楽町で会いましょう 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【未完成映画予告編大賞グランプリ受賞作】構成が面白い作品。リアルな「痛々しさ」が残る佳作。

2021年6月4日
PCから投稿

本作は、「未完成映画予告編大賞」という「未完成映画」の予告編映像(3分以内)でタイトルに具体的な地名が入った作品で競う映画賞において「グランプリ」を受賞した作品がベースになっています。
長編監督デビュー作で低予算での枠組みなので、キャスト陣は知る人ぞ知るという感じです。
つまり、内容が勝負な作品です。
内容は、割とリアルな設定のため、「痛々しさ」がまとわりついています。
思わず「これは実話としてもあり得るな」と思ってしまうなど、荒唐無稽とは思えない映画となっている時点で、「児山隆監督」が誕生した瞬間でしょう。
そして、本作は何といっても構成が面白く、まずは
【chapter1】として「2019年6月~2019年7月」を描いています。
次は、どこに進むのかというと、
【chapter2】として「2018年3月~2019年7月」を描くのです。
これは決して「トリッキーな時間軸いじり」ではなく、あくまで必然性を持ちながらの構成です。
この辺りの時間軸の構成力が上手く、一見すると交わりそうにない人たちがどのように交わっていくのかが自然と追えるようになっています。そして
【chapter3】では「2019年8月~」を描き、物語を進めます。
男女の恋愛模様に加えて、カメラマン、モデルとして業界あるあるな「売れる、売れない」という非常にシビアな世界を痛々しくもリアルに描いているので好みは分かれるかもしれません。
好みの問題はさておき、さすがはCMディレクターでの経験も生きていて、長編監督デビュー作では出来が良いと思います。

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細野真宏