「残念ながら自分にはハマらなかったなぁ……」音楽 といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
残念ながら自分にはハマらなかったなぁ……
めちゃくちゃ評価が高かったのでアマゾンプライムで鑑賞。
事前知識は全くありませんでした。
結論ですが、様々なアニメ技法が見られるところはアニオタとして興味を惹かれますが、それ以外は正直ハマりませんでした。プロの声優ではなく俳優さんが声を当てているため演技に違和感があるし、音楽をテーマにした映画でしたがその音楽も私の好みではなかったし、ストーリーも面白いとは思えなかったです。
アニメ版『惡の華』を彷彿とさせるロトスコープ技法とか、カラーリングがまるで水彩画のようなシーンから色鉛筆のようなシーンから通常のアニメ塗りのシーン、そして色のないラフがそのまま動いているようなシーンまで、作画や配色などにはこだわりが見えて非常に楽しかったと思います。「良かった」と思えたのは映像だけだったので、多分私は本作を無音で鑑賞していたとしても評価は変わらなかったと思います。
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楽器に触ったこともない不良学生の研二(坂本慎太郎)、太田(前野朋哉)、朝倉(芹澤興人)。ある日思い付きで楽器を手にしてバンド活動を開始する。彼らの音楽に感化された音楽サークルの森田(平岩紙)の後押しもあり、地元のロックフェスへの出演が決定する。
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本作は、岩井澤健治監督が7年間を費やして4万枚を超える作画により手書きで製作したアニメーションです。その執念は素晴らしいと思います。様々なアニメーション技法を取り入れることで、視覚的に感動できる、素晴らしいアニメーションだったと思います。
しかし私は全く刺さりませんでした。本作の良かったところは圧倒的な作画と71分という短くて観やすい尺だけです。
私はあまり楽しめなかった映画ほど、他の人のレビュー(特に高評価を付けているもの)を積極的に漁るようにしています。自分がその映画を観るのに費やした時間とお金が、無駄なものではなかったと言い聞かせるためです。
しかし本作のレビューはどれだけ漁ろうが、自分を納得させられるほどの面白さが見いだせない。私はコメディシーンで全く笑えなかったし音楽も全然自分の好みではなかったため、本作を高評価している人のほとんどが「コメディシーンで爆笑した」「ライブのシーンで感動した」って言っているのを見て、「この作品は俺に向けた作品ではなかったんだ」と理解することにしました。
自分の中の認知と外の認知が異なっている時に強烈な不快感を感じる現象のことを「認知的不協和」と言うのですが、本作はまさにその典型です。自分は全く面白さが見出せないのに、他の人たちは口を揃えて「面白い」と言う。この状態は非常に居心地が悪いのです。
映画を数多く鑑賞するようになると必ずいくつか出てくる「認知的不協和映画」がまた一作増えました。