劇場公開日 2020年1月11日

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「緩い原始的初期衝動と笑い」音楽 andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0緩い原始的初期衝動と笑い

2020年1月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

音楽楽しいね!
いや、もう、ただそれだけ。音楽の何もかもを知らない不良学生が突然の衝動でバンドを始める、というね。ただそれだけの話なんだけども。
あの音を鳴らしてみたときの「じゃーーーーん」って身体に響く感じね。原始的初期衝動ってやつだよね。ただビートを刻むだけで音楽になるというね。ボボボボボボボ...。
そしてあの、バンド漫画とかにありがちなかっこよさ的なものが全くないのがいい。というか森田くんはフォークソングもロックもできるやつなのか。あんなギター弾かれたらそりゃ人だかりになるわ。全然関係ないのに思い出したのは、昔地元の商店街で相棒の「テンポ保つくん」と共にギターを掻き鳴らしていた、直訳ロックの王様であった(王様めっちゃギター上手いよね...)。
ただじゃんじゃん鳴らしていただけの衝動が、フェスでみんなが結集して、とにかくやばい「音楽」になるあの感じがたまりません。リコーダー吹きたい。というか研二リコーダーうますぎだろ。子どもの頃に祭で笛吹いてたクチか。
音楽の原初の衝動と喜びを存分に感じて笑える71分。
40000枚超を全て手書きで作画という、そのコツコツ感は存分に発揮されており、手作り感がものすごくこの物語の緩さに合っている。日常の動きの少なさが最後のロックフェスに結実されて、私も踊りたくなっちゃう。
ヒロインの亜矢さん、スカートの長さといい、気の強さといい、後ろ姿の髪型が完全にお花スタイルなのが最高じゃないでしょうか。ジャソコに行ってる彼女も見たいわあ。
あとサウンドトラックが欲しい。あのビートとリコーダーをずっとリピートで聴いていたい。
原作は未読なのですが、気になり過ぎるので読みたい。

(蛇足。作品としては最高だったが、やはりプロデューサーである松江哲明氏をめぐる一連の問題のついては、きちんと映画界が向き合っていくべきだなあと思った。正直、観に行くの迷ったのだ。結果的に大変観てよかったけれど...むずかしいね)

andhyphen