劇場公開日 2020年12月11日

「スガ総理みたいに中身がスッカスカの作品」新解釈・三國志 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0スガ総理みたいに中身がスッカスカの作品

2020年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 不出来なコントか漫才みたいな作品である。コメディというものは、登場人物が大真面目にバカを演じるから面白い訳で、俳優が面白がっていると観客は白けるだけだ。本作品はコメディの悪い見本みたいだった。
 大泉洋やムロツヨシといった芸達者の悪ふざけが多すぎる。本人たちはさぞ楽しくやっているのだろうが、観ているこっちはちっとも笑えない。賀来賢人のひとりボケツッコミみたいな演技も疲れる。橋本環奈の演技が一番それらしかった。
 コメディだから笑わせようとする演出をしたいのは理解できるが、求める笑いが安っぽいのだ。例えばチャップリンの映画はいずれもシリアスな演技で、偶然や失敗や誤解などでおかしなことになってしまうことで笑いを取り、その一方で社会や政治の批判にもなっているという深くて面白い作品ばかりである。チャップリンと比較するのは可哀想だが、それにしても出来が悪すぎる。ストーリーの中で笑いを取るのがコメディであり、役者が漫才をして笑わせるのは、もはやコメディでもなんでもない。
 福田雄一監督は今年の2月に観た映画「ヲタクに恋は難しい」のレビューで「金返せのレベル」と酷評したが、本作品は豪華な役者陣、特に大泉洋とムロツヨシの演技を信じて、いい作品であることを願いつつ鑑賞した。しかし「ヲタクに恋は難しい」と同じレベルの駄作であった。スガ総理みたいに中身がスッカスカの作品だ。もう今後はこの監督の作品を見ることはないと思う。

耶馬英彦