「これが金字塔の作品か? う〜ん。」気狂いピエロ いなかびとさんの映画レビュー(感想・評価)
これが金字塔の作品か? う〜ん。
私は名ばかり有名なこの作品を一度も鑑賞していなかった。たまたま、NHKBSで「勝ってしやがれ」放送された時、初めてゴダール作品を観てその新鮮さにえらく感動したことを覚えている。数年前だったと思う。
「気違いピエロ」が2Kレストア上映されると聞き、待ち遠しかった。見終わって、これがヌーベルバーグの金字塔作品とは思えませんでした。「勝手にしやがれ」の方が相応しいと感じる。
60年前の初回上映時、この映画が若者たちに支持された理由は分かる。現状に満足できず、生きている今この時に生の充実感があれば、過去も未来もどうでもいいと気持ちを代弁しているからです。
プロの映画作家にとっては、こんな演出方法もあるのかと、目から鱗が取れたような気持ちでしょう。
役者自身にたぶん即興的な演技をさせる。台本もあるにはあるが、現場で書き換えているような感じがします。
有名な画家や文学者の名前がたくさん出てきます。知的スノッブ達に、この映画の良さがあなたは理解できるのかとエサを与えているようにも思えます。
60年経過しても、カメラアングルやカメラワークは色あせていません。音楽も素敵です。ベルモントは適役ですし、カリーナも美しい。感性だけで作られた映画に思えます。ですが、私に肝心な感動を与えてくれない。金字塔作品には私には思えませんでした。
若い時に観たら、違っていたかもしれない。
66歳のおじいさんには、難しすぎたかも。でも映画館には、高齢の方も多かった。若い時に観たのをもう一度観て観ようと懐かしさもあったでしょう。
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