劇場公開日 2020年2月7日

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静かな雨のレビュー・感想・評価

全30件中、21~30件目を表示

4.0中川監督の新作に期待して

2020年2月13日
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鑑賞方法:映画館

「わたしは光をにぎっている」「四月の永い夢」にみる中川監督の繊細さが、原作のある作品をどう描くのか  本屋大賞受賞作の著者の作品であるし、とても期待をしていました
主人公の女性は頭部外傷に伴う障害の残る症状である高次脳機能障害の中で、最近の記憶が損なわれる後遺症を持っている   いわゆる高齢者の認知症と異なって本人に「忘れる」という自覚がしっかりとあるので、「忘れる」自分と向き合うことがとても苦しい  何と
か忘れないでおこうと「ブロッコリーが嫌い」というメモをノートに壁に、額の裏に貼りまくっていた場面は、この症状を自分で何とか克服したいというこよみの思いに他ならない
 が、そういった障碍をわかっていても受け止めきれず、行助のように爆発させてしまうことはたくさんあるのだろう  行助も足に障碍があるが、自らの不得意さ、欠点、短所があることを自覚していても、パートナーや相手のそれを受け止めていくことの難しさ  時に嫉妬や自分の知らない相手の過去に苦しみながらも、こよみと一緒に生きていくことに期待を持たせるラストでした  大賀さんは葛藤に苦しむ役がとてもあっていますし、三浦透子さんもいい存在感でした(2月11日 MOVIX堺 にて鑑賞)

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chikuhou

3.5静かな雨でも、地は固まる。

2020年2月11日
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泣ける

悲しい

幸せ

無性に落ち着いた邦画を観たい気分になったので、気になっていた本作を急遽鑑賞。

片足が不自由な青年が、たい焼き屋を営む女性の元に通う内に親しくなるものの、その女性が事故に遭い新しい記憶が1日しか持たなくなってしまう物語。

事故に遭う前から、お互いの事を良く思っていたのが幸いし、同じ朝が始まってもパニックになることはない。

それでも、毎朝同じ事をいう彼女と、それに応える彼。喧嘩をしても、どんなに良い話をしても、また明日には全く忘れてしまう。…やりきれないですねぇ。。

劇中に出てくる何気ない良い話が後半になるといろいろ回収されていく様も良かったし、こうなってしまった彼女が、彼のために健気にできることをやろうとしていた姿には感動してしまった。その他、電話を待っているときのピアノのBGMとか、ホント、しんしんと降り続く雨を表現していてとても心地よかった。

終始哀し気なテンションで進行していき、起伏もないのだが、そんななかにあるささやかな幸せだとか暖かさのようなものをじんわりと感じることのできる良作だった。

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MAR

4.0記憶

2020年2月11日
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昔、僕の友人が、レクレーション中に、誤って頭を強く打って、その前の二日くらいの記憶が無くなったことがある。

どうやってそこに行ったのか、誰とそこに行ったのか。
消失してしまったのだ。

その時、記憶のメカニズムについて少し本を読んだ。
短期記憶が、海馬を経て、大脳皮質にたどり着き、長い長い記憶になるのだ。
僕の友人は、頭を強く打って、海馬にたどり着く前に、記憶の電子が脳から放電してしまったのだ。

それだけでも、僕にとっては衝撃だったが、この映画のストーリーはなんか胸が締め付けられる。

行助とこよみの純愛の行末に不安を感じてしまったからだろうか。

この作品では、行助も、こよみも含めて登場人物の背景はほぼ語られない。

こよみの記憶に沿っているのだ。

人は人の何を好きになるのだろうか。
今だろうか。
過去だろうか。
人そのものだろうか。
取り巻くものだろうか。

行助やこよみに自分自身のことを重ねて切なくなる。
それに、ちょっと寓話のような感覚にも包まれる。

ただ、最近、認知症の初期症状が出た母親のことを思い出し、これは、こよみのような感じではないのかと、ふと思い、更に切なくなる。
短期記憶を司る脳の領域の血流が悪くなってしまったのだ。

でも、記憶って、脳だけではないような気もする。
映画でも腸の話は出てくるが、自分の手も勝手にキーボードの上を動いてるように感じることがある。
猫背を直そうと、一定の姿勢でウォーキングを繰り返したら、数年後にはそれじゃないと歩きづらくなった。
当然、猫背も直った。

まあ、こじつけであることは指摘されるまでもなく分かっているつもりだが、そう思って、行助とこよみには生きていってほしい気がするのだ。

きっと、60冊もの日記より重要なものがあるように思うのは僕だけではないだろう。
前向きだったら、背景なんて、大きな問題じゃない気がするのだ。

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ワンコ

3.5☆☆☆★★★ 『50回目のファースト・キス』&『博士の愛した数式』...

2020年2月11日
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☆☆☆★★★

『50回目のファースト・キス』&『博士の愛した数式』

原作読了済み。簡単に。

原作は100頁強と短編に近い作品で。しかもエモーショナルな場面がまるでなく、僅かに事故に遭う場面ぐらい。それだけに、「これは映画には向いていないのでは…」と思っていた。

短い内容だけに。映画化にあたって、(何で仲野に改名したのかなあ?)太賀の勤め先の様子を入れ。でんでん演じる教授の父親に纏わる《記憶》の話を追加していた。
原作だと、こよみが語る《リスボン》の話による《記憶》に関する話だけだったので。この2つの話と。2人の同居生活が始まり。毎朝繰り返される挨拶によって。より《記憶》に対する意識付けを観客側にもたらす。
もう1つ、原作との大きな違いとして。こよみの過去の彼氏の存在。更には、飲めない酒を飲む村上淳の話等を入れていた。

映画は全体的に暗い場面がやや多く。この監督らしい光の描写は、今ひとつと言ったところではあるのですが。何よりも対象となる2人を中心として捉える、画面の静謐さであったり。余白を活かした台詞の間であったり。
それらの1つ1つの場面に被さっていて、2人を静かに見守っているかな様に、リリカルに奏でられるピアノの旋律が、胸の奥に静かに染み渡って来る思いでした。
こうなると、中川監督の次回作にも大いに期待をしてしまいます。

ところで、これも原作にはなかったと思う人物で河瀬直美が登場。観ていて(お母さん役?)嫌〜な人物を、まるで【素】の様に演じていた。
案外とこの先に需要があるんじゃないの?監督した作品なんかを観ても、根っからの嫌味な人の様に思えるし(u_u)

ラストはもう1つと言ったところ。
ここはやはり、原作にあった〝行さんはブロッコリーが嫌い〟を太賀自身で剥がす場面が欲しかったかなあ〜(´-`)

ちなみに、原作には記憶が直ぐになくなってしまう人の小説の話があった筈で。原作自体が『50回目の…』と、『博士の…』にインスパイアされて書かれたモノなのではないか?…と思ってはいるのですが果たして。

2020年2月10日 シネマート新宿/スクリーン1

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松井の天井直撃ホームラン

3.0リスとザリガニ

2020年2月11日
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幸せ

大学の研究所に勤める脚の不自由な青年と、パチンコ屋の駐車場の一角でたい焼き屋を営む、事故で記憶を一日しか保てない女性の話。

大人しめだけど、どこかちょっと変わってるたい焼き屋の彼女に惹かれた彼が、奥手ながら声をかけ、何とか電話番号を教えた直後…というストーリー。

エロい意味ではない下心から、たい焼き屋に通う彼の良い歳なのに健気な感じや、過去は色々あった様だけど表向きほんわかな彼女との交流が、哀しくもあり優しくて沁みてくる。

最近のジャパムビでありがちな設定だし、そりゃあ彼女はそうしているだろうし、そんな感情になるだろうし、お前は毎朝どこで何をしていたんだ?と感じるところはあったけど、それを無視出来るぐらい優しさと温かさに溢れていて良い話だった。

ただところどころ、シーンの入口や出口にムダな溜めを感じたり、そこはその音!?寧ろキンキンと優しさを煽り過ぎ!?なBGMが邪魔くさかったし、リスとザリガニの件はわざとらしく感じた。

ちなみに。エンドロールはかなり好みだったし衛藤美彩が好みだからまあ良しとしたい…。

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Bacchus

3.5静かすぎる、さっぱり薄味、出汁も薄い

2020年2月10日
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鑑賞方法:映画館

単純

幸せ

全体的にいくらなんでも静かすぎる。
記憶障害の映画は他にもあるので、切ないけど映画の題材としてはありガチかな。50回目のファーストキスよりも、とても日常的で淡々と進みます。
大賀さんはよかった。けど、、、衛藤さんはちょっと魅力にかける。元アイドルとしては思っていたよりも演技出来るのだと思ったけど、キャラが魅力的じゃない。もしかしたら演技の問題では無いのかも。

透子さんが主役の方がよかったかも。
いっそRADWIMPSと歌って欲しい。

あと、独特なのは「間」。無駄とも思えるほど、ひとつのシーンの余白・余韻が長い。重要なシーンなのかと思ったらそうでも無い、、の繰り返しで観にくい。無駄に音楽も着くので、感情移入しにくいので、「何のシーン?」と思ってしまう。音楽そのものは良いと思ったけど、流れるタイミングと長さが気になってしまった。

途中から、どうやって終わるのだろう、、、と思ったら。とにかく優しすぎて。

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だるまん

4.5たい焼きがたべたくなる

2020年2月9日
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静謐で雨に象徴される印象的なシーンが繰り返される
私たちの日常には確かに、主人公たちが出会うこんな場面は沢山あるが、一つ違うのはほとんど二人のこれまでの背景が隠されていること。
それだけ現在の二人の立ち位置が強調されてやるせない思いになる。思い出は切断され日々は新しく始まる。
そこに希望を見出だすか、絶望するか。視点を提示し終わる。
こんな映画が観れたのは久しぶりだ。拍手

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ソルト

0.5雰囲気が過ぎる

2020年2月8日
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この監督の1番の悪い部分が凝縮された世界。

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ビビ

3.0記憶喪失系の話し

2020年2月7日
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記憶喪失系の話しは、韓流映画やドラマではよく使われるシチュエーションなので、似てないか心配でしたが、やはりそうなりましたか…と言う感想です。ま、面白いとは思います。

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バスキア

5.0空気感が良い

2019年12月22日
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主人公のバックグラウンドなどは断片的に語られるものの、大半は画面から溢れる空気感や何気ない日常の会話から感じ取りながら物語が進む感じが好きでした。人によっては退屈に感じる(一緒に行った人は二回ほど寝落ちしてましたが)かもしれませんが、穏やかに流れる日常の時間と、その中で起こる事件をきっかけとして変化する日常が繋がって行く感じが、すごく良かったです。仲野さん、衛藤さんの抑えた演技と静かなピアノの音が、さらにこの映画の空気感にマッチして、なかなかの秀作と思います。

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tan