ブラインドスポッティングのレビュー・感想・評価
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観たかった!観てよかった!
取り扱う題材やタイトルの意味を考えると難しい映画なのかと思いがちですが、ヒップホップ文化を大胆にスクリーンに投入している、とても面白い映画です。
主人公と一緒に見てる側の心理を追い込む描写の展開も迫力があり、キャラクターもそれぞれ魅力的で、他の映画ネタも入れていたり、映画館で観ていても客席から笑い声が漏れていました。
盲点、というタイトルの通り、ふたつの人種をある意味同列に比較しているところがあると思います。
あまりこういったテーマの映画を観た時になったことのない心理状態になったと思います。
いい映画体験でした。
今年に入ってからグリーンブック、ブラッククランズマンと連続して観たので、この映画もとても楽しみにしていました。
それぞれ違った視点の映画で、見解の深まるところがあると思います。映画を益々好きになりました。
異なる差別問題を強く訴える素晴らしく力のある映画でした
盲点て意味なのね
主人公の2人は昔からの悪友で何をするにも一緒。 たぶん元来の性格も...
安穏として生きられないハードなアメリカ
暗闇の中、ゆっくり巡回するパトロールカーの不気味さとライムの効いたラップが響き渡る場面の落差が凄い。新たな手法でレイシズムを強烈に糾弾する作品。
冒頭のショッキングなシーンの後のラップに乗って繰り広げられるコメディシーンとの落差が凄い。そのシーンの恐怖を語る主人公コリンに”14発撃ち込まれた奴に比べれば4発だっただけましだろう”などというセリフが平然と語られる。
が、時折挟み込まれるレイシズムに対する製作者達の強烈な怒りのシーンの数々には息を飲む。(霊園の墓石の前に何らかの理由で殺された黒人たちが静かに立っている風景・・・)
とりわけ、後半のその4発、撃ち込んだ白人警官と主人公コリンとのラップミュージックが激しく鳴り響く中、相対する手に汗握るシーンには瞠目させられる。そして白人警官が口にしたセリフ。
現代アメリカが抱えるレイシズム問題を新たな手法で描きだし、世の風潮を強烈に糾弾する傑作。
スッと気持ちの中に入ってくる
本当に理解するのは難しいのでは
ラストシーン
ポップな明るさと鋭い洞察
見終わって暫く、眉間に皺を寄せて、ウーン…と唸ってしまった。
人種差別を扱った作品は多いが、本作は、こじんまりとしていながら、深く鋭く人間の本質に切り込んでいる。痛い所を突かれ、ハッと我が身を振り返させる。
黒人側の恐怖や怒りだけでなく、白人側の痛みや困惑をも拾い上げているのが、特に秀逸に思える。
差別問題の根の深さ、扱いの難しさを、誤魔化し無く彫り出す。
タイトルは、作中に出てくるだまし絵を表現した造語から。向かい合う二人の顔と一つの壺、どちらの見方もできるだまし絵。片側しか見えないなら、もう一方は盲点。でも教われば、違った見方ができるだろう?いや、脳の働きはそんなに容易ではない。反射的なレベルの印象や判断は、簡単に変えられるものではない、と。
差別や対立、他人への評価といったものの本質を言い当てている気がする。差別はいけない事、公平に、誠実に、善良に。問われれば理性が倫理的正解を導き出す。しかし、咄嗟に抱く好悪や先入観は強固で露骨だ。自らの心の奥底に、その根が深く絡み付いてはいないか。
粗野で粗暴で無知な黒人という色眼鏡。尊大で気取りやで鼻持ちならない白人という色眼鏡。
俺達の気持ちなんて解るもんか。そりゃ解らないよ、他人になる事などできないんだから。けれど、それではいつになっても相手を理解できない。
どうすれば。向き合い、探り、考えながら、少しずつ距離を縮めていくしかないんだろう。しかしそれには、傷つき、傷つけられる痛みが不可避だ。その覚悟と勇気が、お前にはあるかい?
そう問い掛けられているようで、弱虫の私は、尻込みしながら、ウーン、世界ってムツカシイ…、と唸ってしまうのだった。
主題とは少しずれるかもしれないが、銃社会についても、この作品は問いを投げ掛けているように思う。
自衛の為、家族を守る為。解るけど、容易に殺傷力のある道具が手に入る環境で、事故にしろ故意にしろ、そりゃ人死にが起こらん訳がないよなぁ…。
では、身の危険に曝された時、抗う術もなく倒れるのが善か。身を守る権利は、反撃の是非は。恐怖が武器を取る最大の理由なら、一度許せばもはや際限はないであろうが。
こちらの問いにも、現状のアメリカ社会では、容易に答えは出まい。ウーン、でもでも…と唸りが漏れるばかりだ。
提示される現実は難題だが、決して後味は悪くない。ヒリつくような恐怖感に追い詰められ、どうなってしまうのかと息を飲みはするが、救いのない描き方はされない。軽快なラップのリズムや繕わない軽口が、重い内容を楽しく彩り、下町の日常、平凡でかけがえない人間関係が、舞台を身近な距離感に引き寄せている。
テーマの取り上げ方や切り口はとても好きなのだが、ビジュアル面の表現の仕方は荒削りで、あまり好みではなかった。
舞台に会わせて敢えてとの可能性もあるし、ポップで現代的という見方もできる。あくまで個人的な嗜好の上では、です。
ブラインドスポッティング
トレインスポッティング?
2019年下半期ベストでは
安易に〝判る〝とか言えない話
こんなに感動させられるとは...
観る前までは、黒人差別に焦点をあてたヒップホップ映画かなと思っていたが、全然違った。違ったというか、そんな単純なものじゃなかった。
黒人に対してだけでなく、盲点から生まれる全ての差別について考えさせられる映画だった。
黒人だからといってギャングみたいに見られる人、黒人社会で育ったのに無理して悪ぶる白人にしか見られない人、高級化する街に居場所を奪われる人、逆に住み易くなって喜ぶ人、警察に射殺される丸腰の黒人青年、その青年を射殺してしまった警官。
それぞれの人にはそれぞれの世界の見え方があり、何が正しいとは決まっていない。ただ、相手が自分とは違う世界の見え方をしていることを理解しないと、そこから差別が生まれてしまう。
そんな深そうな反面、主役2人の軽快なノリのおかげで、ものすごくポップなエンタテインメント映画に仕上がっている。
とにかく色んな人におすすめしたい作品。
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