劇場公開日 2019年8月30日

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「ラップはやっぱりアメリカが本場。勝てない・・・」ブラインドスポッティング kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ラップはやっぱりアメリカが本場。勝てない・・・

2019年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ルビンの壺という心理画が2人の顔に見えたり壺に見えたりすることを、コリンの元カノであるヴァルが教える。一方を見つめると他方が見えなくなることを「blind spot」と言う。そのまんまのタイトル。ルビンの壺の絵が白黒であることから、黒人からの視点、白人からの視点をテーマにした作品ではありますが、他にも貧富の差など色んな意味が含まれているように思われます。

 コリンが服役した原因はケンカにより白人男性に全治1週間の怪我を負わせたことによるものだったが、実はマイルズもケンカに加担したいた!というより、マイルズの蹴りの方がむしろ凄まじかった。こんな時、警察は間違いなく黒人だけを捕まえるという事実に打ちのめされる。さらにオークランドの警官は8万ドルの年収をもらいながら、報復を恐れて郊外に住んでいるのだという。

 そうした人種差別がはびこる中、仲の良い二人は黒人であるコリンが白人のマイルズに対して「ニガー」と呼ぶ。しかし、マイルズはニガーという単語を一度も口にしたことがないのだ。黒人を罵倒する言葉なのだが、不良黒人がよくやるやんちゃなことを問題児マイルズがするから皮肉を込めての呼称。しかし、マイルズは黒人の妻もいるし、差別用語であることは十分承知している差別反対の信念を持っているのだとうかがい知れる。ましてやインド人、ヒスパニック、アジア系など、多種多様の人種が集まる街でもあるから、差別なんて概念すら持っていないのかもしれません。

 根底にはオークランドの町を良くしていこうと行動する、生まれ育った町への愛が感じられるが、いったん銃を持ってしまうと人間性が変わってしまう。この銃規制の甘さなどにも警鐘を鳴らしていると感じられる。また、終盤には黒人殺しの警官と対峙することになるのですが、このコリンの葛藤が胸に響いてくるのです。パトカーに追われそうになった夜と同様、心臓バクバクものでした。その時のコリンの「人は殺さない」という言葉がまたルビンの壺を思い出させる。銃を見て、人を見ないということも盲点の一つなのだろう。

 シリアスな内容ではあるのに、コミカルなシーンも多い。コリンが会話するたびにラップ調になり、ちゃんと韻を踏んでいるところも興味深い。事件の目撃者を語るインド系の青年の語りで、被害者の呼称がころころ変わるところに爆笑。また、ヴァルの着ているトレーナーの文字がひらがなだったことも気になってしょうがない。推測するに「あなたは壺」「あなたは顔」だったんじゃないかと・・・

kossy
Bacchusさんのコメント
2019年10月31日

件の服、良くそこまで読み取れましたねw

あなたは顔だとしたらメッセージ的な意味合いも…何て深読みし過ぎですねw

Bacchus