「Transgender ≠Mental illness. ➡ Transgender = Gender incongruence」WEEKEND ウィークエンド Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
Transgender ≠Mental illness. ➡ Transgender = Gender incongruence
3日間だけの二人だけの世界。トランスジェンダーの2人の会話が、成立していて、ある意味、その内容が、今、彼らが感じられていることを生で見ているようで、シスジェンダーの者に対しても心地よくも感じる映画として捉えることが出来るが......? しかし、美形男子が演じているハリウッド映画とは一線を画す映画作りがなされている。
友人の家でのパーティの帰り、ワンナイトスタンドの相手を見つける為に、ナイトクラブに立ち寄ったラッセル。グレンとの出会いが待っていた。その出会いが、2人の会話の始まりでもあり、この映画のメインと呼べるもので、ラッセルの3日間の切ない中に、自分のジェンダーの世間に対しての後ろめたさや改めてグレンからトランスジェンダーとして、生きていく自信を与えてもらう、いい感じの物語となっている。
1夜を共にしたラッセルとグレン。ベッドで急に顔を近づけ、彼を見つめるグレンに対して、ラッセルが恥ずかしそうに
Have I got morning breath?
-No, quite the contrary.
-Have you brushed your teeth?
No.
-I can smell toothpaste.
So?
Now you've broken an unwritten rule,
because now you smell all minty fresh
and I smell of c〇ck and bum!
偽りという言葉の潜在しない、また衝動的なのか計算されているのかグレンの行動が興味をそそる。”It's for an art project.” なんて言ってラッセルとの会話をテープに録音しようとしたりもする。ラッセルが戸惑っていると、グレンが外に向けて大声を出して怒り出す。
"I'm going rape your holes" ?
グレンこの人大丈夫か? と視聴者に思わせておいて........?
Do you ever think about finding your parents?
世間に向けて、自分がトランスジェンダーだと公にできない、こころの弱さからか? ただ単に後ろめたさからか? それとも自分で築いてしまっている恥ずかしさからか、知人以外には、言えないでいるラッセル。お父さんの代わりに受けとめるから、グレンに実際に父親に言うみたいに告白してみらと彼がラッセルにアドバイスする。 勇気づけられるラッセル。グレンのその優しさや彼の雰囲気が、後々、つらさが増すこととなる。
Dad? I've got something that I need to tell you.
I'm gay. I like guys, not girls.
-Well. You know what, son? It doesn't mater to me.
-I love you just the same. I couldn't be more proud of you
”than if you were the first man on the moon.”
家庭でのパーティの場面でウィードを吸うシーンが登場するが、個人的には、子供が目の前にいないにしろ、イギリスの他の西欧諸国から比べると狭い住宅環境を考えるとその独特なにおいが残り、子供たちの好奇心や、薬物Cクラスとしての立ち位置を考えるとどうかと思うし、仮に男性同士が、駅や人目の多いところで、抱き合うという光景は、違和感の何物でもない。あくまでも個人的意見なので聞き流すように。逆なでか? それなら書くなってか? 関西のSci-Fi小説界の雄である筒井康隆という作家の作品の中に......も人前で禁忌とされるものがあったような。実際にグレン役のクリス・ニューは2006年ごろにゲイであることを告白しているが、その時に、”gay actor” と彼の芸歴にどのように作用するかわからないので”bisexuality actor”と知られるアラン・カミングに相談したと聞く。
高々140年前までは、同性愛は死刑の対象となっていたイギリス。その100年後、人の前以外なら、屋内ならOKとなった成人男性間の性交渉。いわゆるソドミー法というものがイギリスだけでなく多くの国で施行されていた歴史がある。
ローカルの無料日刊新聞で、月曜日から金曜日にロンドンでタブロイド形式で発行。
London Evening Standard 2011年10月4日の記事より
「監督のヘイ。彼の主題を現実的なリアリズムで扱っている映画”WEEKEND”。これが英国映画シーンの新しい声であるなら、それはさわやかな大人の映画である。」
シアトル・タイムズ はワシントン州シアトルで発行されている新聞。シアトルの日刊紙の中で購読者が最も多い。 Seattle Times 2011年10月27日
「トム・カレンとクリス・ニューの両役者は、映画の経歴ががほとんどないイギリスの舞台俳優で、監督のヘイに至っては、唯一の映画とされるものは、前作のドキュメンタリーであった。おそらく、彼らはルールの物差しに縛られていると感じることなく、今年の最も楽しいサプライズの1つを作りあげている。」
一般公開の映画としては、ごく限られた予算で制作され、2011年にSouth by Southwestという映画と音楽の祭典にプレミア上映され、また日本では2012年レインボー・リール東京という性的マイノリティーの映画祭にも短期上映されていたものを何故、今更上映する段取りとなったのか? そこまでのいい映画かという問題に突き当たる。