「内気だった少女のあまりに悲しい復讐劇。」マー サイコパスの狂気の地下室 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
内気だった少女のあまりに悲しい復讐劇。
閉鎖的な田舎町で過去の初恋といじめの記憶に苦しみながら、憎悪が醸成されていったのだろうか。
結婚して築いた家庭も長続きせず、母子家庭でひっそり暮らしていたスー・アンはある時自分をいじめ蔑んだ同級生の子供であるマギーたちと知り合いになる。それをきっかけに過去のいじめに対する復讐心がふつふつと湧き上がってくる。
理解ある大人のふりをして自宅の地下室をパーティーのために提供するスー・アンをみなが親しみを込めてママと呼ぶ。彼女もまるで過去のつらい記憶を上書きするかのように彼らとのパーティーの日々を楽しむ。しかし、情緒不安定な彼女の振る舞いに次第にマギーたちは警戒感を抱く。
本作では彼女が始めから復讐を実行するつもりで計画的にマギーたちと親しくなったのか、あるいはいまだ自分を侮辱するベンの態度をきっかけに復讐を決意し、実行に移したのか。その辺がとても曖昧で、この点は脚本に問題があるともいえるが、オクタビア・スペンサーの存在感と橋本愛似のマギー役の女優さんがとても美しくて最後まで楽しめた。
いまだに彼女を蔑む地元の人間たちは彼女を負け犬呼ばわりするし、子供だったからというベンの言い訳も通用しないだろう。
「サイコパスの狂気の地下室」などと邦題についているがスー・アンの狂気よりも彼女の不憫さが伝わってくる悲しい復讐劇だった。
それにそもそも狂人になりきれてないし。黒人少年の顔をペンキで白く塗るだけって。結局子供たちは殺さなかった。
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