朝が来るのレビュー・感想・評価
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エンドロールの最後の最後までみて!
原作も監督も役者も素晴らしい。
『イイ話』では決してないけれど、色々と考えさせられる良作。娘を持つ親としては中盤からラストシーンまで涙涙で目が腫れた。。
育ての親の目線、生みの親の目線、どちらも丁寧に描かれている。
特に中学生で妊娠し、子をベビーバトンに渡す『ひかり』の感情をとてもよく表現している故、辛く悲しい。若くして妊娠、、というと家庭になんらか問題のある不良の子が想像しやすいかもしれないが、ひかりは何ら普通のむしろ地味なタイプで、両親家族もいたって普通のどこにでもある家庭。(普通の)初恋の相手と恋をして、想い合って体の関係を持ち、結果的に妊娠してしまう。
妊娠さえしなければ、もしかしたら微笑ましいこと(中学生で体の関係を持つことは一般的には早いのでしょうけど)かもしれないのに。妊娠ですべてが一変する。家族との関係、彼との関係、進路、人生。
親は、産んで(気づいたときには既に中絶ができず)里親に出し、高校受験にも間に合うとひかりに言うが、子を宿し10ヶ月の月日をベビーバトンの施設で過ごし、そして出産を経て、子への母性を感じてしまった彼女には、もうそれをなかったことになんてできないのだ。身内との関係も悪化し、家を出て新聞配達するひかり。妊娠がなければ、進学校に進み全く違う人生だったろうに。妊娠させた彼の人生には大きな変化がないのに。
『バカだったから』と一言で言うには辛すぎる現実。
でもひかりには、振り返っても育てることはできなかったのだ。
育ての親(永作博美)は、息子を愛し、また生みの親の愛も子に伝えていく。
けれど、ひかりとの何年越しの対面で、変わり果てた容姿と金銭を要求し脅迫まがいの電話をするひかりに、中学生のときの面影はなく、ひかりではないと断言する。
こうなってしまった背景がまた泣けてくる。
どうして闇金みたいなのに盗んだ金渡しちゃうの(涙)
妊娠騒動を経て、信頼できる大人や周囲との関係が断たれ、また自身で判断できるような経験や知見もなく未成熟。そういった子になってしまったのも、すべてあの初恋の末路からかと思うと本当に心苦しく。
ラストシーンと、エンドロールの最後に、この映画の救いがあるのだけれど。涙がとまらん。
中高生(男女)に見てもらいたい。我が子が中学生になったら見せようかな。
ただし、10ヶ月の妊娠期間にはつわりや苦しいことがたくさんあって、出産は命をかけた壮絶な痛み苦しみが伴うことは、この映画内には含まれていないということ、大好きな相手とセックスをすることが悪ではないということ、そういうこともきちんと伝えていかないとな、と考えさせられた。
『この子が生まれてこなければよかった』と少しでも思う可能性があるうちは、妊娠してはいけない、ということかな。
養子縁組で迎えた子供
希望
途中、ドキュメンタリーのような雰囲気になってちょっと不思議な感覚。ひかりの経験した初恋があまりにも悲しくて胸が締め付けられました。
大好きになった少年との幸せな時間に爆弾が落ちる。
そして盲目に信じていた少年との絆は、不確実なものだっと、永遠ではなかったと徐々にわかってしまう。
悲しくて苦しい…
ひかりの家族も受け入れきれない。どうすれば良いのかわからない。でも愛がないのではないと思う。
一方で、子どものできない夫婦は、悩んで熟考した上で里子を取る。不安を抱えながらもゆっくりと、2人で進んでいる。私には理想の夫婦に見える。
2人の問題も辛いけど、そこにはお互いを信じる絆があるから、本当に大切なものが何なのか経験から知っているから乗り越えて行けるのだと。
最後に、佐都子がひかりの書いた手紙の中に消した言葉を見つけ、彼女を探して会いに行く場面は希望です。号泣です。
どうか、ひかりが自分の生き方を見出せますように。
手を差し伸べる人に気が付きますように。
家族を振り返り、許す事ができますように。
私としては、ひかりの相手の少年を含めて話す場面を見たかった。
だってこれは2人の問題なのだから。
中学生や高校生に見てほしい作品。
永作博美、浅田美代子、蒔田彩珠、井浦新も素晴らしい演技だと思いました!
胸がグググっと苦しい、けどこれは必要な痛み
朝の景色から感じ取ったこと
この映画のテーマはたくさんありすぎてまとめられないんだけども、、
中学生で妊娠
体裁ばかりの家族
好きな人との赤ちゃんを手放してしまったこと
ベビーバトン
ひかりちゃんが消えてしまいそうだった。黄色のスカジャンが悲しく目立つ。
何で私がこんな目に?頭が悪いからじゃねーのか。のやりとり。
言わせておけばいい。
ひかりちゃんは素直で優しかっただけ。その正体の一部は母性だと思う。
私は佐都子さんと朝斗君がこの先ひかりに明るい道を作ってくれる人なのだろうなと解釈した。鳥が気持ち良さそうに飛んでいる早朝のシーンが沢山出てきた。フェリーのシーンでも。ひかりちゃん、あなたもいつか元気になって羽ばたいてね。
なんて、自然と応援したくなるような、佐都子さんにありがとうを伝えたくなるような余韻の残る素晴らしい映画でした。
違和感だらけなのに泣いた
映像・音楽・演技 本当に素晴らしかったです。文句なしで最高でした。
特に印象に残ったシーンは養子縁組の説明が終わってカーテンを開けるシーン。
ただカーテンを開けただけですが、それまでの不妊の暗い話から、一気に明るい展開に向かうことが示唆されていて、本当に上手で素晴らしかったです。光の表現にも強いこだわりを感じました。
若者のベッドシーンも、あえて肌をアップで撮影することで、違和感がないどころか、神秘的な初体験を上手に表現していて、流石でした。普通ならば事後までシーンを飛ばすか、布団をもぞもぞさせて終わることも多いと思いますが、それだと一気に事務所NGだったのかなとか、冷めてしまうところを、撮影手法によって見事に昇華したと感じました。
冒頭の、女性のりきむ声から入って、海を見せて、島に進んでいくところも開始数分で監督の力量が凄まじいことを表していました。本当に上手でした。
他にもいっぱいありますが、とにかく監督の力量に魅せられました。
出産のシーンがなかったのですが、今回の話の流れからはその意図が少し分からなかったです。
妊娠期間は長いです。10ヶ月あります。だんだんと人間の形になって、お腹も蹴ってきます。
そして数時間かけて産んだ瞬間、初めて「声」が聞こえて、命を感じて、「顔」を見て、一気にお母さんの感情が爆発しますよね。驚き、嬉しさ、安堵、不安、、、など。ここで今回の女の子は、さらにその子を誰かにあげなければならない、という辛さがあると思いますので、「え、ないんだ」と思ってしまいました。
脚本については違和感が多く、少し感情移入がし辛いところがありました。原作を読んでいませんが、そもそもそういった話なのかもしれません。
・脅迫をしてきた相手を、なぜ家に呼ぶのか?普通喫茶店とかでは?
・14歳の子供に、出産を許可させた上で、さらに高校受験させる親がいるか?
(絶対に堕ろさせようとしていた母はどうして急に許したのか)
・職場に来ないだけで警察が動くのか(犯罪をしているかと思った)
・警察が見つけられなかったのに、なぜ簡単に会えたのか
何よりも永作さん演じる母親が最後あんなにも号泣するのが違和感ありでした。
金目的かもしれませんが、我が子を奪いに来て、あの風態であれば、二度と関わらないで欲しいと思んじゃないでしょうか。
ましてや会いに行かせるなんて信じられなかったです。
そんな違和感があるのに、演技や演出がうますぎて何度も泣いてしまいました。
産みの親育ての親
中学生で妊娠してしまった生徒
生んで里親に預けることに
…子供を望めない夫婦
子供が望めない夫婦にとって
宝物のような赤ちゃん
愛情たっぷりに育てている
そこに産みの母親が現れてお金を
ゆすりに訪れる
新たな人生を送れていなかった
この夫婦に育てられ
…とってもありがたいことなのに
そして生んだ子供と会わせてもらえるなんて感謝しかない
生んだ子に〈あいたかった〉と言われたら…
永作博美の好演で
いい仕上がりになっている
不妊治療中の人は絶対号泣するやつ
脅迫するならもっとオラつくだろうし、ミステリー文脈は全く感じなかった。そして、2013年でも体外受精は東京であれば全然できたはずなもんで北海道文脈で諦めるパターンはちと消化不良だったけど、そんな些細なことよりも、途中のドキュメンタリー要素により、ただただ家族ってなんだろう、ということを考えさせられた。
みんな演技うますぎじゃない?バーベキューシーンはほんとにリアルバーベキューっぽい中に、演技が入ってくるんだけど、もはや全部リアルにしか感じられなかった。
貧困層ではなくても精神的保全がないと堕ちてしまう可能性があるという現実が多々あるんだろうな、とも。孤独はいかんよね。
私は今、長ーい不妊治療中である。そして、友人は3歳の養子を取った。うちも、もう諦めて養子って手も…というのが現実味を帯びてきたので、ビシバシ刺さった。
もはや、特別養子縁組事業やりたくなってきた。
不妊治療で男性側に原因がある場合の方がしんどいよね。井浦新の居酒屋での演技がまた泣ける…。最後の最後まで涙なしには観れない作品だった。
ドキュメンタリーのようなシーンもありリアルさを感じました。 子供は...
ドキュメンタリーのようなシーンもありリアルさを感じました。
子供は生んで終わりではないというのは当たり前だけど、周辺の大人たちが『なかったこと』として処理しようとしている風景が気持ち悪くて、本当のケアはいったいなんなんなろうと思った。勝手に観賞前に予想した方向(どっちが相応しい親か、どっちが子どもにとって幸せか)とは違っていい意味で覆された気がします。養子縁組された子と産みの親と養父母にとって幸せな世界であることを願っています。
ラストシーンを思い出すと胸がつまって涙が出る。
鑑賞後に止めどなく涙が溢れた
予告から気になってたものの劇場に行くタイミングを逃しようやく今回視聴。
結論見て本当に良かった。
私は母性愛を持つような成熟した者ではないからこそ、永作さん演じる佐都子のような"人間力のある"女性に憧れる。
子が出来ぬ悩める夫婦の養子縁組までの前半パートと、若すぎるゆえの孤独な少女の逃避行である後半パート、全く違った視点で描かれる二人の母親が出会うことで朝日が上るクライマックスで一気に感情が高ぶりました。
ただ、原作があり多少予備知識がなければ河瀬直美監督の映像表現だけでは悟ることのできない画のストーリーは難しく、私には間延びしたテンポに感じてしまった。
電話BOXで彼女がどのような心情で、あの信じられない言葉を発したのか、その背景をもっと描いて欲しかったように思う。
ドキュメンタリー風の台詞回しも少し見辛い印象を持ってしまった。
賛否はあるが様々な人の受け取った主観を聞いてみたいものだ。
世界の裏側で… 少女たちの苦難
いい映画です。
一昨年映画館で観た時よりもWOWOWでの2回目の今回の方がすごく心に響きました。
…なぜだろう?
ストーリーは、子宝に恵まれなかったある夫婦が、事情があって産んでも育てられない親から子供を貰い受ける養子縁組制度を利用して、男の赤ちゃんを迎え入れ家族となるが、産みの親が6年後に現れて… という話。
夫婦の事情、そして13才でボーイフレンドの子供を妊娠してしまった女の子の事情を丁寧に描きながら、『妊婦の駆け込み寺』とも言える広島のNPO法人【ベビーバトン】の存在が軸となる。
その施設長を、浅田美代子があたたかく演じ、夫婦役は井浦新と永作博美。
ドキュメンタリーのようなカメラタッチで淡々と進む話に、夫婦や女の子の回顧録が絡み、妊娠・出産を機に人生がガラリと変わってしまう女の子を蒔田彩珠(まきたあじゅ)。痛々しくも時にみずみずしく演じる。上手い。
世間を見回すと
この夫婦に子供がいたら、最高なのに。
絶対いい親になれるのに。子供は幸せなのに。
という夫婦に子供ができなかったりする。
反対に、ろくでもない夫婦に次々と子供が産まれたり…
「子供は親を選べない』とは言うけれど
神様は時に残酷だ。
この夫婦には愛があり、良識があり、責任感もあり、と同時に産みの母親に対しても敬意を払い思いやる余裕がある。
果たしてこんなに強く優しくいられる? って
永作博美を見て感じた。尊敬に値する。
突然現れて『私が産んだ子供を返して欲しい。無理なら、お金をください』と言われて、動揺するも
相手の目を真っ直ぐに見て、息子への愛を示し、突き返し、後に人違いを詫び、涙する。
息子にもちゃんと会わせてあげるんだね…
そんな妻を優しく、強くしっかりと支える夫を井浦新さんがごくナチュラルに演じてて、とても素敵。
不妊という困難を共に乗り越えた2人は、互いに信頼し合い、絆が強い。なんか羨ましい。
そして何よりも、ベビーバトンの浅田美代子が素晴らしい。
看護師である彼女自身も子宝に恵まれず、過去に思うことがある様子。『不幸な子供を少しでも減らしたい一心で』この施設を広島・瀬戸内の離島に設立。
ベビーバトンに大きなお腹で現れる少女たちを娘のように包み込み、優しく支え、励ます。束の間であっても、ちゃんと受け入れて貰えるあたたかい場所がある事で、どれほど少女たちが救われることか。
牡蠣筏の浮かぶ瀬戸内海の優しい波音が、それぞれ色んな事情を抱え、傷つき、家族と離れ、見知らぬ土地で出産に挑む少女たちを穏やかに癒し、少女たちはほんの少しずつ心の平穏を取り戻していく。
でも、産んだあとはすぐに赤ん坊とお別れ…
「愛情がわかない。生まれた子供の顔を見るつもりもない」と言い放つ子もいれば、この主人公のようにお腹の子にあだ名をつけ、慈しみ、産まれた我が子を愛おしく抱きしめる子もいる。切ないですね。
彼女たちに共通しているのは、複雑な家庭の事情で、たいてい、母親との関係が気薄で、この少女の場合はまるで厄介ごとそのものといった風に娘の妊娠を責めて、ひた隠し、世間体ばかり気にして、辛くあたる。
娘が広島から帰宅した時など、本当にきつくて、なんとも言えない悲しい気持ちになった。
この映画を2回観てあらためて感じたことは
苦難と向き合うことの大切さ。
この夫婦も、少女も、最後にはちゃんと現実をしっかりと受け止め、真摯に向き合うことで、救われたように思う。
逃げずに、目を背けずに。
そうすることで、また一歩前に進めた気がする。
生きていくには、やはり人と支え合うことと
「希望」を持てる環境がいるんですよね。
そういう意味で、世間の裏側で人知れず子供を産んでいる少女たちの存在を知ることができて良かったと思う。この映画のおかげ。
役者さんの演技はよかったけど、ちょっと言葉足らず
映画館でポスターを見て永作博美主演なら観てみたいなぁと思いつつも、コロナ禍で劇場観賞が敵わなかったため、原作小説を読んでから映画は配信レンタルしました。
台詞であまり説明せず映像と役者さんたちの演技で表現しているため、少し言葉足らずかもしれないと思いましたが、
辛い不妊治療を経て特別養子縁組に至るまでの夫婦の心境などすごく伝わってきて、涙が溢れました。
蒔田彩珠さんも、朝斗くん役の子役さんもとてもよかった。
初めて赤ちゃんの朝斗くんを腕に抱いたとき、辛い日々のトンネルの先にやっと光が見えた夫婦が「朝が来た」と思えたように
ラストシーンのあとのひかりちゃんにも「朝が来る」希望みたいなものをエンドロールの最後の演出に感じられたのはよかった。
言葉足らずな印象だったのは、
家出したひかりちゃんがベビーバトンを頼るところ。
原作では浅見さんは実家に連絡した上でしばらく預かり、最後は実家に帰らないというひかりちゃんのために新聞配達の職をなんとか探してきて送り出していたのに、映画ではそのあたりに触れられていないため、ちょっと無責任に感じました。
(頼る人も働き口もなく風俗で働いて望まぬ妊娠をする女の子たちを散々見てきているはずなので)
もう1つは、裏切られて保証人にされて借金取りに追われるところ。
サインもした覚えがない偽造なのに取り合ってもらえない、周りに助けてくれるような人もいない、逃げて遠いところで働いていても借金取りにに追いかけてこられて、困りあぐねて職場のお金に手をつけてしまう。
そうやって追い詰められて、追い詰められて、里親にお金を無心しようとしたのに、
そのあたりの表現が映画ではさらっとしすぎていて、ひかりちゃんが追い詰められていたのがわかりづらい。
(警察が栗原夫妻を訪ねてきたのも、会社のお金に手をつけたのがバレて「この知り合いのところにお金を借りに行きます」って言って消えたからであって、ただ職場からバックレただけでは捜査してくれないでしょ…)
名作ですね、間違いなく。
河瀬直美監督の作品は、おもしろいけど、重い。
そんな印象があります。テンポのいい爽快感のある
作品とは対極に位置する気がします。
う〜ん、と考えさせられるような内容のものが多いので、
見終わった後、すごく疲れるんですよね。
あと、ストーリーの展開があまりなく、静かに時が流れていくような
ドキュメンタリー風の作品ばかり。
そういう映画は、眠くなったり、途中で見るのを辞めたりしたくなるんですが、
この監督の作品は、不思議とそうならない。それが凄さなんじゃないかな
と感じます。
「朝が来る」も、見事に河瀬ワールド。原作は未読ですが、
他の監督がメガホンを取ったら、全然違う雰囲気の作品になると思います。
河瀬監督の作品は苦手だという人にも受け入れられるんじゃないでしょうか。
役者では、永作博美、井浦新という二人が上手いのはわかっていましたが、
蒔田彩珠の才能には驚き。すごい役者になりそう。
なかったことにしないで・・・という抒情詩
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