劇場公開日 2020年10月23日

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「深い」朝が来る 零式五十二型さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0深い

2021年9月13日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

幸せ

特別養子縁組を題材に。
この、産みの親と育ての親をめぐる映画作品の中に、
八日目の蝉
夕陽のあと
そしてこの朝が来たが同テーマの三大名作になろうか。
それぞれ、展開と結末は違うがそれぞれに伝えたい何かがしっかりと描かれていて考えさせられる。
辻村深月作品は深い悲しみの中に最後は救いのある結末が多く、本作も河瀬直美監督がどう締めるのかに期待を寄せたが、こんなラストを見せられては誰も文句は言うまい。
素晴らしい!!

いつの時代にも子供を育てられないのにデキてしまうという「することしておいて、無責任な!!」という事が繰り返される。
事情も様々あるが表向きは結局そうだ。
いつも苦しむのは女性側であり、この映画でもワンシーンで象徴的に見せた相手の男の高校通学の姿。
この差がホントに辛い。

ついて離れない産んだ子の行く末。
これが気にならない産みの親はそうそういまい。
若干14歳で産んだこの子もそう描かれてストーリーは進む。

2時間19分の重く長い作品だが、各自の揺れ動きが余すとこなく出ている。
何より、単純な時系列で作品を繋がずに、産みの親、育ての親(夫婦)の展開の過去と今を素晴らしく編集して作品全体をまとめたところに私は感動しました。

これは見逃せない一本となりました。

零式五二型