「許すこと。・・・違いを受け入れること。」朝が来る Cookieさんの映画レビュー(感想・評価)
許すこと。・・・違いを受け入れること。
コロナ禍という新作映画公開が困難なタイミングではあるが、公開から2か月を超える本作は、『気になりつつもなかなか手を出せていない作品』であった。
見逃さなくて良かった。。。本当に。。。
ミステリー要素を織り交ぜ、目を離せないストーリー展開
登場人物の心情を目線や動作で巧みに表現する俳優陣
それらを鮮やかにスクリーンへ投影するカメラと照明
時間の経過を忘れるほどとても濃密な139分間だった。
鑑賞後、本作品には、他者への『許し』が多く描かれていると感じた。
無精子症に悩むパートナーへの許し
実子を手放さなければならなかった産みの母たちへの許し
買い物依存症により(たぶん?)、知らぬ間に保証人へと仕立て上げられた友人への許し
そしてラスト・・・産みの母の真意を見抜けなかった育ての母への許し
こうした“日常では出逢うことがない人”、“常識から外れたモノ”を許すことで、前進していくのが本作だと感じた。
※上記“ ”は作品パンフレットの監督インタビューから引用
※当該パンフレットには『承認』という単語を用いていたが、『許し』のほうが個人的に、しっくりくる。別に、登場人物が悪いことをしているわけではないのだが。。。
規律 文化 常識
こうした要素は、社会をスムーズに動かしていく(前進させる)ために、必要不可欠なのかもしれない。
しかし、その外側に存在する人に目を向けることで、歩める未来もあるのではないか。
もしかしたら、そうした『今まで目を向けられてこなかった人々』を受け入れることで、描く未来のほうが、より幸福度の高い社会を築けるのかもしれない。
こんなことを思いながら、終えた2021年一本目の映画鑑賞でした。
追伸
TBSラジオ 『荻上チキ Session』では本作の監督も参加し、
特別養子縁組について特集されました。
下記リンクにてアーカイブ配信もありますので、併せてご利用されるとよいと思います。
https://www.tbsradio.jp/538077