「里親から観た「朝が来る」」朝が来る Yoshinori Asakawaさんの映画レビュー(感想・評価)
里親から観た「朝が来る」
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特別養子縁組で2人の子どもを現在進行形で
育てています。また、辻村深月さんの原作も
読んでいました。
河瀬監督作品はあまり多くは観てませんが、
ドキュメンタリータッチの映像作家のイメージが
強かったので、この原作を映画化すると
聞いた時はかなり意外で驚きました。
映画を観ての感想は、想像以上に原作に忠実
だと思いました。そして里親としては佐都子
夫婦にどうしても感情移入してしまいます。
不妊治療から里親へとつながる葛藤、苦悩は
多くの里親に共通する体験であり、共感できる
ものだと思います。
ベビーバトンなる養子縁組斡旋のNPO団体も
里親なら知らない人は居ないのではないか
というほど有名な団体がモデルですが、私も以前
この団体の面接を受けたりしたことがあるので
かなりリアルというか、そのままだったので
正直驚きました。
原作同様、後半のひかりのストーリーに
より多くウェイトが置かれて、原作よりかは
マイルドになっているとはいえ、転落して
いく悲惨さがかなり痛々しいながら、
なんとか踏ん張っているひかりの姿を
好演していたと思いました。
(個人的にはひかりがお腹の子どもにちびたんと
名付けて呼んでいたところは泣けました)
最後、原作のラストで佐都子、ひかりが
朝斗の存在により結びつき浄化される様を
どのように演出するかと思いましたが、
エンドロールの最後の「会いたかった」の一言で
表現したのは見事でした。
映画としても素晴らしいのですが、この作品を
通して特別養子縁組や社会養護への
理解が深まるよう願っています。
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