「物語もいいが、ショットの数々が素晴らしい。」朝が来る shoheiさんの映画レビュー(感想・評価)
物語もいいが、ショットの数々が素晴らしい。
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物語も素晴らしく涙がとまらなかったのだけれど、この映画本当に映像が素晴らしい。それも映像の流れとつながりが観ていて気持ちいい。この作品では河瀬監督自らが撮影を担当しているのだけれど、もともとショットにこだわる監督だったのだけれど、ここまで見事にみせてくれるとは思わなかった。「あん」(2015)の冒頭の桜のシーンあたりから、それまで培ってきたものが一気に熟成しちゃった感じ。前半は栗原夫婦のアップが中心なのだけれど、途中から回顧シーンが挿入されるにつれて、モンタージュ手法の映像の挿入が増えてくる。風、海、遠景の山の稜線、サンセット前の太陽。途中から登場人物たちが心象風景に溶け込んで、映像に語らせているんだよね。今、日本で一番映像で魅せる監督なんじゃないかな。2020年のカンヌ国際映画祭が通常通り開催されていれば、審査員によっては、パルムドールかグランプリが受賞できたかもしれない。栗原夫婦を演じた永作博美、井浦新の演技はさすが。女性の顔だちの変化する表現も素晴らしくて、浅田美代子、蒔田彩珠の「変化」も素晴らしかった。
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