「【特別養子縁組を題材に、”産みの親”と”育ての親”の姿との関係性を描いた作品。"家族とは何か"を深く考えさせられる作品でもある。”最後の最後に落涙してしまった・・”】」朝が来る NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【特別養子縁組を題材に、”産みの親”と”育ての親”の姿との関係性を描いた作品。"家族とは何か"を深く考えさせられる作品でもある。”最後の最後に落涙してしまった・・”】
■今作品の魅力
・河瀬監督は、”産みの親”と”育ての親”の姿を、過去と現在とを行き来しながら見せるのであるが、このカット割りが絶妙に上手い。
混乱する事無く、ストーリーが頭の中に入って来る。しかも、観ている側の感情を揺さぶるように・・。
・様々な、太陽の見せ方。それは、木々の葉の間からであったり、山の端であったり・・。
シーンの切り替えの際に、挟み込まれるタイミングの良さ。
そして、あの橋の上での再会のシーン・・。
・”育ての親である栗原家”に、電話ボックスから脅迫電話をかけてくる人物の、数々の映し方・・。ミステリー要素を上手く助長している。
■印象的なシーン
・栗原清和(井浦新)が、無精子症と分かり妻佐都子(永作博美)に"離婚という選択肢もある"と告げるシーンと、柔らかな笑顔を浮かべ”不妊治療はもう、辞めよう・・”と夫に伝える佐都子の姿。
ー辛い筈なのに・・。佐都子を演じた永作博美さんの今作での演技は本当に凄い・・。又、夫を演じる井浦新の一瞬”ホッとしたような”表情も・・。-
・中学生で子を産んだ片倉ひかり(蒔田彩珠:以前から、若くとも、凄い女優さんだと思っていたが、今作の姿は本当に素晴らしい・・。)を、決して否定的なトーンで描いていない数々のシーン。特に、告白された男の子と愛を交わすシーン。
・ひかりを支えようとする家族とひかりとの距離が開いていってしまうシーン。そして、彼女が本当に信頼を寄せていったのはNPO法人代表”ベビーバトン”代表の女性(浅田美代子:柔らかな笑顔で訳アリの女性たちを支える姿がとても良い。)だった・・。
ーひかりの両親は、世間体を優先している・・。それ故に、ひかりの”誰にも言えない”哀しみが募って行く・・。-
・佐都子が自宅に電話をかけて来て、家にまで来た女性の”本当の姿”に気付くシーン。そして、土下座して謝り駆け出して行った彼女を追いかけて行って、愛息子の朝斗に”広島のお母ちゃんだよ・・”と橋の上で紹介するシーン。
◆”広島のお母ちゃん”が栗原夫婦に渡してあった手紙に、密かに書かれていた言葉
”なかったことにしないで・・”
―このシーンは、かなりかなり沁みた・・。
佐都子の”決意”と”優しさ”
そして、漸く我が子に会えたひかりの表情・・。
生みの親と育ての親と、朝斗・・。
雲の中から顔を出す太陽・・。
”新しい家族”の誕生の瞬間だ。ー
<特別養子縁組が前提のゼロ歳児里親委託制度をテーマにし、”家族とは何であるか・・”と言う深淵なテーマを河瀬監督が見事に映像化した作品。
エンドロールの最後の最後に流れた "ちびたん” からの ”会いたかったよ・・”
と言う幼き声に、堪え切れず、落涙してしまった作品でもある。>
こんばんは。
内容が始めから重たいテーマで続いていくので、朝斗に会えた事はひかりが立ち直るきっかけになって!と願うばかりです。ひかりが幸せでないのは朝斗も不幸せと同じ、と栗原夫婦は思ってくれるはず·····一日経っても観終わった余韻に浸れるいい映画でした(*˘︶˘*).:*
NOBUさん、コメントありがとうございます。
朝から嬉しいコメントいただきまして
今日一日頑張ろうという励みになりました。
本当に
「言葉」 ってすごい力を秘めてますよね。
「会いたかったよ」
この一言に
ひかりの心がどれだけ救われただろうか と
思わずにはいられません。
私は、序盤の夫婦編だけで3回泣きました。あとは推して知るべし……です。
一日経っても〝思い出し泣き〟ができるほど河瀬監督とあの夫婦とひかりさんにしてやられました。