「管理下の閉鎖空間SF好きにおススメ!」アイ・アム・マザー よんしんさんの映画レビュー(感想・評価)
管理下の閉鎖空間SF好きにおススメ!
まずロボットのディテールがすばらしい!
今現在実際に実在しそうなデザインのロボットとその動き。
そして、ロボット(AI)が人間の子供を育てるというありそうでなかった設定が斬新!
他作品にもあるかもしれませんが、私の知る限り「火の鳥2772」以来です。
観る人はたいていこの母ロボットに何かしらの利己的な意思があるんじゃないかとか、だまされているんじゃないだろうかと思ってみると思います。
しかしほかの映画なら色などでロボットの感情を表しそうなものを、今作ではほぼ表情からは母ロボットの思惑は感じ取れません。そのため母ロボットが娘を精一杯愛情を注いで育てようとする姿に感情移入しつつ畏怖の念も感じさせます。
この、AIが何を考えているかわからない微妙な緊張感というのは「2001年宇宙の旅」や「2010年」を彷彿とさせます。
そういうこの母ロボットを信じていいのか?いけないのか?という疑念を抱かせつつ、新しいキャラクターを登場させることによって、観る者は、母ロボットを信じるか信じないか?この人物を信じるか信じないか?そして娘の選択は?というシンプルかつやや複雑な焦点に集中できます。
大量のSF作品があるなか、全く新しい作品を作り出すことは非常に難しいことだと思います。
そんななか、"母ロボットが子供を育てる"というなかなか斬新な設定と「I Am Mother」というセンセーショナルなタイトルが、映像だけ見れば今まで多く見てきたような映像であるにもかかわらず、先の読めない展開に仕上がっています。
人がある意図の中、閉鎖空間で管理されながら生活するというSFには「月に囚われた男」や「アイランド」などがありますが、そういう作品の好きな人にならきっと楽しめると思います。
ヒラリー・スワンクのギャラ以外はおそらく低予算で作られた作品だと思いますが、ハズレの少ないネトフリ映画の中でも個人的にはなかなかの良作だったと思います。
(ストーリーが面白いというより、設定と展開がうまい、という意味ですが…。)