アメリカン・ハニーのレビュー・感想・評価
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よくぞサッシャ・レインを見つけてくれた!
アンドレア・アーノルドはかなり直感的な映画作りをすると思っているのだが、その最も最たるものがこの映画のキャスティング。フロリダのビーチで見かけたというサッシャ・レインを映画の主演にと口説き落とし、スカウトされた当人もまさかカンヌ映画祭の常連監督とは知らずにポルノ映画かと思ったと発言しているくらい、誰も予想してなかったド素人からの起用だった。しかし映画を観れば、サッシャ・レインのよくもこんな生き物がいたものだと驚くほかない野生馬のような佇まいと、旅の仲間である若者たちのどうしようもないバカばっかなのになんかピュアで眩しいという絶妙なさじ加減こそが、この長い映画のストーリーよりも大事な根幹の部分なんだと思い知る。奇跡的な出会いが積み重なって生まれたとしかいいようがない映画だが、撮影の名手ロビー・ライアンや全編を彩るポップソングの数々などがしっかり下支えしていて、アンドレア・アーノルドの監督術にも心から感心する。傑作。
女性監督の作品とは思えない駄作だった
女性監督の作品ならもっとしっかりとした女性の視点から物語を語るのだろうと思った自分がバカみたい。
こんな作品の存在で、性的被害者のことを「全部自分がしたいだけだろ」と言われるんだよ。
親父がクソでセクハラしているにも関わらず何も考えずに男と寝て男と夢語るなんて信じられない。普通ならまず男不信になるんだよ。PTSDって言葉わかる?そもそも「会ってた男みんないい人だから私いい子だからこんな危ない生活送ってもレイプされませーん」非現実的すぎです。本当にテキサスで生活したことあったのか疑う。
また男主人公も賢いわけでもなくただ思考停止していてほかの人を黙って稼いでいるじゃない、これが綺麗に描かれた若さだなんて到底理解できない。ちゃんと普通の道を歩んだ人、乏しくても一生懸命生きようとする人たちをバカにする語りが悪いんだよ。こんな生き方を「若さ」と定義するならこんな若さがいらない。若くても自分の社会に対する責任に自覚すべきだ。
あと全然女性的視点とは言えない。女性主人公に脳みそというものそもそも存在しない、映画の中の男と同じく下半身で物事を考えている。
シャイア・ラブーフ👍
2016年公開のA24作品。
日本では劇場初公開。
ショーン・ベイカー監督のフロリダ・プロジェクトの前だよ!
シャイア·ラブーフ、ライリー・キーオ(プレスリーの孫娘)が出てるもので期待を膨らませて観た。
主人公スター役のサッシャ·レインは監督がフロリダでスカウトしたド素人。しかし、その後に彼女が出演した映画をすでに何本か観ていたことに当然ながら気づいていなかった愚かなアタシ。ド素人には見えない彼女のキモの座った自然な表情とそつない演技。ショーン・ベイカー監督もタンジェリンやDONUTS店の看板娘とAV男優の映画で主役やその他のキャストを現地調達するのが得意。まさに双璧の2人。
父親に性的DVされながら暮らしているスターという名の少女がショッピングモールの裏で幼い異母兄妹を連れてゴミ箱を漁っていたら、イカれた連中の乗った大型ワゴン車を目にするところから始まる。
パンパンに膨らんだお徳用冷凍チキンはもう腐ってる。ヤバいよ。犬も猫またぎだった。
雑誌契約販売というより、あちこちの高級住宅街をまわる詐欺まがいの悪質な嫌がらせによる押売り。ほうぼうからスカウトしたちょっと頭の足りない貧乏青年達から労働搾取する親玉クリスタルがライリー・キーオで、そのヒモ兼アシスタントのジェイク役がシャイア・ラブーフ。負け犬ナイト。毎晩やるのかよ!
シャイア・ラブーフ刺されちまえって思った。
ミア·ゴスも思ったかもしれない😎
アメリカ南部のカーボウイやバーのカウガールたちのカントリーダンスがダサ〜く描かれる。イギリス出身の女性監督もそう思ってるんだなぁと思って、なんだかちょっと嬉しかった。トランプ批判もちょっと匂った。
アメリカン·ハニー。
レディA(レディ·アンテベラムから2020年にBLM運動を期にグループを改名した)の曲。
彼らがセカンドアルバムを出したあとのツアーTシャツを古着屋で見つけて、持っている😎なかなかステキなデザイン。美男美女のトリオだしね。
スターがラッパのみする酒もワイルド・ターキーのアメリカン ハニーだったような。
溺れたセイヨウミツバチを救うスター。
動物や昆虫への愛と
楽曲選択のセンスの良さがこの監督の裏技。
撮影監督のロビー·ライアンも素晴らしい。
そういや、オイラも夢はなんだと聞かれたことないかも。
森の中で静かに暮らしたいとは思うけど。近くにコンビニと病院がないと困る。
アンドレア·アーノルド監督作品「バード ここから羽ばたく」をMOVIXさいたまで観て、どうしても観たくなった今作を渋谷イメージフォーラムにて鑑賞。
"071"
集団で一台のバンに乗り、あるだけの家を一軒ずつアポ無しで叩いたり、出張で1週間ほど地方で物売りの営業したり、そんな日払いのアルバイトが日本にもある?あった?
アメリカに比べたら日本の場合は地味で、本作のようにファンキーな要素は全く無いけれど。
まるでファミリーがコミューンを形成してヒッピーのように洗脳されたかに思える集団。
何でこんな生活を若者たちがしているのか?それは主人公の序盤での生活描写で説明しているような、それぞれの生い立ちや過去には色々あるのだろう。
酒飲んで大麻吸ってパーティー三昧な最近のダラしない風貌の若者たちに見えるが、怪しさはあるにしても仕事はマジメにこなしている感が。
小さい女の子が"IRON MAIDEN"のTシャツ着て、好きな音楽は"Dead Kennedys"ってヘビメタでハードコア・パンクかよ!?って、個人的ツボ。
スプリングスティーンが"Suicide"の「Dream Baby Dream」をカバーした曲が流れるのも良い。
サフディ兄弟「神様なんかくそくらえ」のアリエル・ホームズが出演しているのに注目。
魅力ある主人公に個性的で素人丸出しな若者たち脇役勢、ドキュメンタリー色が強い演出描写や刺激的な映像と長尺ながら飽きずに観られる。
なぜこの作品が無視できるのか
女の子の名前はスター!名字はにしきのか?
カンヌ国際映画祭で審査員賞も受賞した今作ですが、冒頭からすさまじい光景に驚かされます。18歳のスター(サッシャ・レイン)が幼い弟、妹ともにゴミ箱漁りをしている映像。しかも食べ物まで拾っているのだ。家に帰れば、父親(step-fatherぽい)からセクハラを受けてる雰囲気だし、この空間から抜け出したい気持ちがビンビンと伝わってくる。そんな時、スーパーで出会ったジェイク(シャイア・ラブーフ)から誘いを受け、雑誌訪問販売グループの一員となったスター。10数人の男女のチーム“071”がアメリカ中西部を旅して回るというロードムービーとなっているのです。まずはカンザス・シティへ。
テキサス生まれのスターは皆にアメリカン・ハニーだね!と言われるが、その曲を知らないスター。ボスのクリスタル(ライリー・キー)のもとで働く男女は皆出身地が違うところも面白い。2人組になって1ブロック毎に降ろされ訪問販売する彼ら。完全歩合で20%の手取り。仕事よりも旅そのものや余暇の時間を楽しむ20歳前後の若者たち。皆貧困から抜け出そうとするものの、将来のことまでは考えてなさそう・・・
最初のうちはNO1セールスのジェイクの邪魔ばかりして売り上げが上がらないスター。ようやく雑誌を売ることが出来て、アメリカを征したような気分になる。だけど、ジェイクの副業は盗みもあったりして、かなりヤバそうな雰囲気。そして、恋に落ちる2人だったが・・・。
富裕層、貧困層という格差社会のアメリカをわかりやすく描いている作品。しかも、雑誌なんて誰も買いそうにない商品を巧みに売りつける商売なのです。本人たちは金持ちから少し掠め取ろうといった気持ちなんだろうけど、そんなに儲かる仕事じゃない。社会の歪みさえ感じさせる中で、彼ら自身の夢や希望というものまでかなぐり捨てている気もする。若いから楽しいんだろうけど、結局は哀れみ、同情を売りにしているのが痛いところ。
スターを中心にジェイク、クリスタルの感情を中心にして、チーム内の人間関係も興味深いものがあるのですが、もう一つ興味深いのが行間に描かれる虫(ハチ、ハエ、何かの幼虫、ホタルなど)や動物たち(犬、猫、熊、亀など)とスターとの繋がりがとてもいい。生き物はとにかく縛られることなく自然に帰す。閉塞感のある社会から抜け出そうとする若者たちと同じで、良いメタファーになっていました。
レディ・アンテベラムの歌う「アメリカン・ハニー」がモチーフとなってはいるのですが、幼い女の子が歌う「アイ・キル・チルドレン」が気になった・・・すげー。
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