ラスト・ムービースターのレビュー・感想・評価
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世代間化学反応
バート・レイノルズさんの映画は随分見ているがワンパターンの大根役者といった印象だったので正直あまり気乗りがしなかったのだが、観てびっくり、唸ってしまった。
老成して脂ぎった部分が無くなったせいもあるだろうが最高の名演技、もしかして演技を超え、本当に自身を重ねていたのかもしれないと思ったりもしました。
本がまたいい、監督・脚本のアダム・リフキンさんはバート・レイノルズありきの当て書きと言っている。昔の主演作の本人と2ショットというCGマジックの活かし方も秀逸。
セリフも良いですね、性質の悪いボーイフレンドに見切りを付けろと説教するヴィクに「5回も結婚に失敗している奴に愛を語って欲しくない」とため口で返すリル、かってのビッグスターだからといってちやほやせず、イカレタ姉ちゃんだからと言って馬鹿にもしない、おそらく亡くした娘への想いもあるのだろうが御爺ちゃんと孫のような二人が化学反応を起こしてゆく過程が見どころですね。
最初の妻へのプロポーズのエピソードと再会の描き方、ベタすぎるけれどなんてロマンティックなのでしょう。老犬との別れで始まり、子犬を笑顔であやすラスト・シーン、老いへの悲しみと希望への再生のメタファーなのでしょう。
昔を懐かしむ、故郷へ帰ろう的なロード・ムービはよくあるが映画祭招聘を転機として描くという構想は新鮮でした。バート・レイノルズさん、図らずも遺作となってしまいましたがこんな素敵な幕引き、俳優冥利に尽きるでしょう、ご冥福をお祈りします。
魂が舞い戻る場所。
ダダ泣きの三分。
老いる哀しさにに打ちひしがれる日々。って言う程でも無いけれど、すっかりと隠居生活に慣れ切って、まるでお迎えでも待ってるかの様な生活のヴィック・エドワーズ。
ナッシュビルの超田舎ローカル映画祭、と言うか同好会の定例会程度のイベントに出向いたレジェンドは、その貧相な様や待遇にヘソを曲げ、一晩だけで帰ろうとしますが、車で三時間走れば、生まれ故郷のノックスビル。うつ病を抱える案内役兼ドライバーのリルと共にノックスビルを訪れる物語。
ヴィックが若かりし頃に出演した映画の中に、老いたヴィックが登場し会話します。「何故、お前はそんな生き方をしているのか?」って言ってる様な気がしてならない。
5回結婚したヴィックは老人ホームにいる最初の妻の元を訪れ、過去の自分の行為を謝罪します。ナッシュビルの映画祭の会場に戻って懺悔のスピーチ。そのバックには、痴呆症の妻を強引にホームから連れ出し、プロポーズの再現をするシーンが流されるんですが、そこが泣けてしまい。もうね、ダダ泣き。久し振りに。
あの頃が一番幸せだった。そんな事は、わかってるよね。わかってたよね、もっと前から。ずっと前から。自分の魂が舞い戻るべき場所に、帰れなかった理由があるとしても、「帰れない理由」にしてしまってるのは自分自身。
リルが幸せを掴めそうになったのもまた、幸せになれない理由を作ってるのは自分自身だった事に気付いたから。
そんな物語。良かった、とっても。
パート・レイノルズ最後の主演作だそうです。名優に合掌。ホントに滲みる映画、演技でした。
バート・レイノルズに思いを馳せた事があるなら是非!
子供の頃のアメリカの俳優と言うと、かなり上位に出るのがバート・レイノルズ。
ハンサムで明るく陽気でセクシーでアクションもお手の物のタフガイ。ヒゲが似合う、映画の国、アメリカ・ハリウッドを代表する俳優。
「金曜ロードショー」や「ゴールデン洋画劇場」「日曜洋画劇場」なんかで放映されたバート・レイノルズの作品は家族でよく見てて、「トランザム・シリーズ」や「キャノンボール」は大好きな作品。
アメリカのド派手でデカイアメ車は憧れでした。
そんなバート・レイノルズが昨年に亡くなっていたのを知った時はちょっとショックで、晩年はあまり作品には恵まれてなかったイメージ。
なので、バート・レイノルズは70~80年代の頃のあのセクシーなイメージしかない。
でも、自分の中では忘れられないハリウッド俳優の1人なので、そのバート・レイノルズが最後に出演した作品と聞いて観賞しました。
で、感想はと言うと、良かった。
とても良い作品です。
作品はノンフィクションに近いフィクションで劇中ではヴィック・エドワーズと言う名前になってますがまんまバート・レイノルズ。
なのでセルフパロディ的な作品です。
セルフパロディの作品と言えばジャン=クロード・ヴァン・ダムの「その男ヴァン・ダム」を思い浮かびますが、この「ラスト・ムービースター」は良く出来てます。
往年のハリウッドの大スターのヴィック・エドワーズは最近は出演作も無く、身体の衰えから杖をついての歩行が余儀無くされてるが、そんなヴィックの元に映画祭の出演依頼が届く。
勇んで映画祭に行くと想像していたイメージとは大きくかけ離れた町起こし的な手作りの映画祭。
そんな映画祭に落胆し、暴言を吐きまくったヴィックは映画祭中の運転手を担当するパンキッシュな格好のリルと生まれ故郷を訪ねる旅をする。
と言うのが大まかなあらすじ。
バート・レイノルズが晩年に寄せた様々な思いが多分に入っている感じで、劇中には若い頃のバート・レイノルズと共演したりしてます。
度々出る若き頃のヴィック・エドワーズ(バート・レイノルズ)はやっぱりすんごく格好いい!
憧れの国アメリカの夢のスターを体現した感じです。
愛犬が亡くなって、1人寂しく周囲から忘れられてく様に年老いていく。
杖をついて、足腰もままならない姿はやっぱり時間は残酷だなぁ…と感じました。
ですが、悪態をつき、暴言も吐く。
プライドはやはり高くて、バイアグラを常用して、若い頃と変わらねえ!とばかりにハッスルしようとする。
病気を抱え、足腰も立たなくなり、杖が無いと歩けないし、転けまくる。
そんな空回り的な姿を見ると悲しくなる気持ちにはなりますが、かと言って、枯れた様な姿は見たくない。
高慢的な態度がかっての大スターとしてのプライドを辛うじて踏み止まらせています。
ですが、年老いていくといろんなを事を受け入れ、素直にならないと人は離れていく。
若き頃の大スターだった時は常に周りには人がいて、注目されて、女性にもモテまくった。
自分が常に正義で人はそれを褒め称えた。
だが、今はそうではない。
そんな自分を受け止め、過去を振り返るロードムービーなんですよね。
一緒に旅をするリルが意外と良いヤツで、ブッ飛んではいるんだけど、本音でヴィックと接してくれます。途中から可愛く見えてくるけど、最後まで鼻ピアスには合わなかったなぁw
演じるアリエル・ウィンターはぽっちゃりですが、なかなか可愛い感じで気になる女優さんです。21歳にしては落ち着き感が半端ないなぁw
自分の生まれ故郷で出会う周囲の人々はヴィックに尊敬の意を示す。年老いてもヴィックは彼らにとって、往年の忘れられない大スター。
ホテルで調子が悪くなり、休んでいる所に自分を知っているファンの結婚式で急きょサプライズゲストとして、歌を披露するヴィックが格好いいんですよね。
往年のハリウッド俳優の顔つきで歌を歌い上げるのを見ると“やっぱり、大スターなんだなぁ”と思いました。
史実と違うのはヴィックは大きな家に住んでいて、お金には困ってないが、バート・レイノルズは晩年はかなり金銭的には困っていたみたいで、そこまでリアルに描かなかったのは制作サイドのバート・レイノルズへのリスペクトからの配慮と思っています。
でもそういう愛がなんか溢れた作品なんですよね。
映画祭をすっぽかして、リルと生まれ故郷を回るたった2日間の旅ですが、人生を振り返り、これからを思いやる大事な大事2日間だったと思います。
ショートロードムービーだけど、人生のロードムービー。
最後に素直になれたのはお約束としても、良い締め方と思います。
改めて、偉大なハリウッド俳優が亡くなった事にお悔やみを申し上げるのと今までの活躍に敬意を表します。
上映館は割りと少ないミニシアター系作品で、公開から約3週間が経とうとしてますが、機会があれば是非観てもらいたい、良い作品です。
お薦めです♪
バート・レイノルズの為の物語
私は古典名作映画には全く詳しくないし、どちらかというと物語の筋や役柄に注目してしまって、俳優の名前と顔をなかなか覚えない性質。
バート・レイノルズに関しても殆ど知らないし、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドも見ていない。
一人の名優の老いや斜陽を描く作品として、全くのフィクションとして鑑賞した。
冒頭、手の施しようがないと獣医に診断された愛犬を安楽死させ、空の首輪を独りの自宅に持ち帰る。その喪失感が、この老俳優の現在を象徴している。
勘違いで出向いた映画祭は、映画オタクの若者達の貧相な手作り映画祭だった。腹を立てて飛び出したヴィックは、運転手役の鬱なパンクギャル、リルを引っ張り回して、自分のルーツである故郷を巡り始める。
中身のない首輪の如く、失ったものを回顧し、懐かしみ、後悔しながら、別れを告げる為の道程は、コメディタッチで描かれているが、常に寂しさと哀しさを漂わせる。自分や身内になぞらえてその寂しさが理解できる年代になった今、このシチュエーションはどうしたって涙腺にくる。
孫のような年齢のリルに、時に助言し、時に助けられ、今は失った身内であるかのように、距離感を縮めていく二人。
最後に二人は映画祭の会場に戻り、数十年振りの謝罪だと、映画祭を侮辱した事を謝り、手作りの功労賞を受け取る。
いつだって、過ちを認めやり直すのに遅すぎる事はない。訪れる最期の時まで。自宅に戻った彼の傍らには、新たな相棒(犬)の姿があった。
この作品が、バート・レイノルズの遺作となったらしい。その事実にに思いを馳せると、この結末も殊更感慨深い。
スターの回顧と後悔、老いの哀しさ。テーマとしては昨今よく見掛けるタイプ。キャラクター達の立ち位置や心情変化の説明も十分とは言えず、全体にザックリした印象は否めない。
多分、バート・レイノルズやその作品に思い入れがあるかどうか。大スターとして時代の寵児となりながら、全ての選択を誤ったと感じる男の物語と、彼を演じる俳優の人生を重ねて見られる素養があるかどうかが、評価の分かれ目になる気がする。
映画オタク達の暴走ぎみの情熱と、どこか憎めない雰囲気がいかにもで、いい味を出している。リルとヴィックのバディが、クレイジーな今時の若いもんと、気難しく説教臭い年寄りの対比かと思いきや、時に常識人と悪ガキの関係に反転するのも面白い。
私の好みでは、レイノルズは、昔の濃ゆい男臭さよりも、年取ってからの方が断然カッコイイと思った。熟練したベテランの演じる姿を、今後も見せて欲しかった。
続編だね!
「ワンスアポンァタイムインハリウッド」を観てからの本作!
リックはヴィックとなり(どちらも元はバート・レイノルズ)、火炎放射器のあいつが何年か後にヘソ出し姉ちゃんと珍道中する、という連作となっているのですね!!
バート・レイノルズ、すごいぜ!
往年の大スターの心温まる晩年映画
バートレイノルズ演じるの元大スターの老俳優にナッシュビルのフィルムフェスティバルから招待状と功労賞受賞の知らせが届き訪れる話が思っていた映画祭とは程遠く、扱いも元スター俳優としては有り得ない飛行機もエコノミー!場末のホテルとオンボロ送迎車!運転するのはいい味出してる場末のピッチ感満載の女の子!というお話なんですが、最初は有り得ない!とブチ切れるレイノルズですが途中から近くの幼少期を過ごした街に行ったり、老人ホームに暮らす認知症の最初の妻に会いに行ったり、自分探しの旅をして心境の変化となり、、なかなか最後はハッピーエンドで良いお話でした。
イーストウッド、ロバートレッドフォードと往年のスター俳優達もシニア世代となり、あのイケメンの青春ヒーロー役の大スター達が老人役を演じるのを観ていると感慨深いですよね。
過去の栄光と過ち・・・
若くて感情むき出しのリルが
老いに対してネガティブになってしまっているヴィックに良い化学反応を起こしてくれた!
しかもリルって結構いい子で(*´`)ヵヮィィ❤︎
第一印象は最悪だったけどね
過去を振り返り、
今の自分とキチンと向き合って
また明日を生きていく
あれだけ名前も知れ渡ってて
栄誉ある人生だったんだから
もっと堂々として良いのに
自分の存在価値は自分では分からない
周りの人からの評価も殻に閉じこもってしまっては分かるはずもない
マイナー映画祭だけど
ポリシー持って開催している彼らに感謝
外に出るキッカケを作るのも歳をとると大変ですから
私も仕事以外で外に出るキッカケは
映画館での映画鑑賞くらいなもので...
いい作品をもっともっと沢山観たいと思います
けっこうよかった
バート・レイノルズのファンだったことはないのだけど、『脱出』はとても面白かった。劇中のトランザムで爆走する『トランザム7000』がとても面白そうで見てみたい。
そこまでの老人ではないのだけど、オレも50で血圧を下げる薬を飲み始めており、あんなふうに歩くことすらしんどい生活になったらと思うと憂鬱だ。ヒロインが堂々とお腹の肉を突き出しており、入れ墨だらけで、病んでいる絵を描いているにも関わらず彼氏がいて幼馴染にもモテている。みんな考えが甘いのではないだろうか。そうそう手におえるタイプではない。
映画祭の連中も、いくらなんでももうちょっとまともな待遇でバート・レイノルズを扱って欲しい。しかしそんな彼らに非礼を詫びて仲良くなるバート・レイノルズが寛大だ。
初めは、Dog Yearsという題名だったのかな?
人は、努力して名を残さなければならないが、この映画の主人公ヴィックは努力して映画で名を残す。しかし、虎はそのままでも.........? 故事より。
タランティーノ監督の今年公開の映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に出演をする予定だったもののバート・レイノルズ氏は、2018年9月6日に亡くなっている。心からご冥福をお祈りいたします。
アメリカのカントリーミュージックとカントリーライフに特化したウエブサイト、Wide Open Countryの記事によると”ローリングストーン誌が選ぶ最も偉大なシンガー100人”にも選ばれているカントリーミュージックの歌い手であるウィリー・ネルソンが映画「Dog Years」の挿入歌として”To Get Here”という曲を制作したことを発表している。この映画の舞台となっているノックスビルに93年前に創刊した日刊新聞紙、Knoxville News Sentinelの見出しから"Knoxville-filmed 'Dog Years' receives new name, 'The Last Movie Star'" 動画配信サービスに映画を提供しているアメリカの映画配給会社”A24”がツイッターでこのことを発表をしている。それに加え、映画ファンからはおおむね題名の変更に関しては、受け入れられているとのこと。
シナリオとしては、主人公のヴィック・エドワーズは、年を取り1人豪邸に住んでいるが、寄る年波には勝てず毎日いろいろな薬を飲む生活が続いていた。最近、ただでさえ数少ない友の中の1人の愛犬もなくなり、寂しくなる一方なところに映画フェスの招待状が来たが、一度はごみ箱に捨てた彼だったが、招待状をとって、思い直して出席することにした。しかし、現地の空港に着いて出迎えの人間を待っていると、おんぼろの車を運転し、鼻には牛につけるような鼻ピアスをしてポッコリ出たお腹丸出しのタンクトップに下着が見えそうなぐらい小さなホットパンツをはいているリルという女性がだるそうに遅れてやってきた。映画フェスなんて名ばかりで、自宅に直ぐに帰ろうとするが、気が変わって、ヴィックが、学生の頃まで住んでいたノックスビルにリルの運転で寄ることにした。いわゆるごく狭い地域のロードムービー的なノスタルジック映画のシナリオとなっていて、しかも若き日のバート・レイノルズとご本人が共演するシーンも登場する。その道中、お互いのことがわかっていなかったヴィックとリルが旅をしていくうちにお互いを理解していく過程が、この映画のメインと呼べるものとなっている。そして、最後には映画フェスのゲストの仕事をやり遂げるヴィックおじさんでした。映画フェスに出席の皆さん。拍手、パチパチ。
この映画の腰を折るような発言を載せることを許していただきたいのだけれどもバート・レイノルズの人生振り返りの行脚に付き合う若い女性リルを演じていたのが、"IMDb(インターネット・ムービー・データベース)"のバイオグラフィにも載っていた、才能があり、また未来を嘱望されている女優さんのアリエル・ウィンター。しかしながら、彼女の私生活では、母親の度重なる精神的・肉体的虐待行為のため2012年には裁判所が彼女の母親に対して接近禁止命令を出し2014年には、保護者責任を母親から彼女の姉に移行している。彼女自身もポートレイトなどを見ているとスリットの入ったスカートやスケスケのワンピースや胸元ザックリの服など体の線の強調された服を公で身に着けている。しかもダコタ・ファニングやクロエ・グレース・モレッツといった女優さんが体重の増減を繰り返すようにアリエル・ウィンターも似たようなことをしていて、また追い打ちをかけるように整形疑惑もよく話題にのぼる。そんな事、別によくはない?と思うのだが.........!
YAHOO! LIFESTYLEというサイトより、
”Modern Family' Star Ariel Winter Explains
How Childhood Abuse Shaped Her As an Adult"
2年近く前の映画でしかも、トライベッカ映画祭出品後、限られた映画館で公開されたらしいのだが、はっきりとしない。その後、ネット配信された映画で、amazon.comではすでにプライムビデオとして無料配信されている。レビューからわかることは、いい映画で見ても損はしない映画であることは間違い無しと言う事ができる。
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