「世代間化学反応」ラスト・ムービースター odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
世代間化学反応
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バート・レイノルズさんの映画は随分見ているがワンパターンの大根役者といった印象だったので正直あまり気乗りがしなかったのだが、観てびっくり、唸ってしまった。
老成して脂ぎった部分が無くなったせいもあるだろうが最高の名演技、もしかして演技を超え、本当に自身を重ねていたのかもしれないと思ったりもしました。
本がまたいい、監督・脚本のアダム・リフキンさんはバート・レイノルズありきの当て書きと言っている。昔の主演作の本人と2ショットというCGマジックの活かし方も秀逸。
セリフも良いですね、性質の悪いボーイフレンドに見切りを付けろと説教するヴィクに「5回も結婚に失敗している奴に愛を語って欲しくない」とため口で返すリル、かってのビッグスターだからといってちやほやせず、イカレタ姉ちゃんだからと言って馬鹿にもしない、おそらく亡くした娘への想いもあるのだろうが御爺ちゃんと孫のような二人が化学反応を起こしてゆく過程が見どころですね。
最初の妻へのプロポーズのエピソードと再会の描き方、ベタすぎるけれどなんてロマンティックなのでしょう。老犬との別れで始まり、子犬を笑顔であやすラスト・シーン、老いへの悲しみと希望への再生のメタファーなのでしょう。
昔を懐かしむ、故郷へ帰ろう的なロード・ムービはよくあるが映画祭招聘を転機として描くという構想は新鮮でした。バート・レイノルズさん、図らずも遺作となってしまいましたがこんな素敵な幕引き、俳優冥利に尽きるでしょう、ご冥福をお祈りします。
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