「バート・レイノルズに思いを馳せた事があるなら是非!」ラスト・ムービースター マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
バート・レイノルズに思いを馳せた事があるなら是非!
子供の頃のアメリカの俳優と言うと、かなり上位に出るのがバート・レイノルズ。
ハンサムで明るく陽気でセクシーでアクションもお手の物のタフガイ。ヒゲが似合う、映画の国、アメリカ・ハリウッドを代表する俳優。
「金曜ロードショー」や「ゴールデン洋画劇場」「日曜洋画劇場」なんかで放映されたバート・レイノルズの作品は家族でよく見てて、「トランザム・シリーズ」や「キャノンボール」は大好きな作品。
アメリカのド派手でデカイアメ車は憧れでした。
そんなバート・レイノルズが昨年に亡くなっていたのを知った時はちょっとショックで、晩年はあまり作品には恵まれてなかったイメージ。
なので、バート・レイノルズは70~80年代の頃のあのセクシーなイメージしかない。
でも、自分の中では忘れられないハリウッド俳優の1人なので、そのバート・レイノルズが最後に出演した作品と聞いて観賞しました。
で、感想はと言うと、良かった。
とても良い作品です。
作品はノンフィクションに近いフィクションで劇中ではヴィック・エドワーズと言う名前になってますがまんまバート・レイノルズ。
なのでセルフパロディ的な作品です。
セルフパロディの作品と言えばジャン=クロード・ヴァン・ダムの「その男ヴァン・ダム」を思い浮かびますが、この「ラスト・ムービースター」は良く出来てます。
往年のハリウッドの大スターのヴィック・エドワーズは最近は出演作も無く、身体の衰えから杖をついての歩行が余儀無くされてるが、そんなヴィックの元に映画祭の出演依頼が届く。
勇んで映画祭に行くと想像していたイメージとは大きくかけ離れた町起こし的な手作りの映画祭。
そんな映画祭に落胆し、暴言を吐きまくったヴィックは映画祭中の運転手を担当するパンキッシュな格好のリルと生まれ故郷を訪ねる旅をする。
と言うのが大まかなあらすじ。
バート・レイノルズが晩年に寄せた様々な思いが多分に入っている感じで、劇中には若い頃のバート・レイノルズと共演したりしてます。
度々出る若き頃のヴィック・エドワーズ(バート・レイノルズ)はやっぱりすんごく格好いい!
憧れの国アメリカの夢のスターを体現した感じです。
愛犬が亡くなって、1人寂しく周囲から忘れられてく様に年老いていく。
杖をついて、足腰もままならない姿はやっぱり時間は残酷だなぁ…と感じました。
ですが、悪態をつき、暴言も吐く。
プライドはやはり高くて、バイアグラを常用して、若い頃と変わらねえ!とばかりにハッスルしようとする。
病気を抱え、足腰も立たなくなり、杖が無いと歩けないし、転けまくる。
そんな空回り的な姿を見ると悲しくなる気持ちにはなりますが、かと言って、枯れた様な姿は見たくない。
高慢的な態度がかっての大スターとしてのプライドを辛うじて踏み止まらせています。
ですが、年老いていくといろんなを事を受け入れ、素直にならないと人は離れていく。
若き頃の大スターだった時は常に周りには人がいて、注目されて、女性にもモテまくった。
自分が常に正義で人はそれを褒め称えた。
だが、今はそうではない。
そんな自分を受け止め、過去を振り返るロードムービーなんですよね。
一緒に旅をするリルが意外と良いヤツで、ブッ飛んではいるんだけど、本音でヴィックと接してくれます。途中から可愛く見えてくるけど、最後まで鼻ピアスには合わなかったなぁw
演じるアリエル・ウィンターはぽっちゃりですが、なかなか可愛い感じで気になる女優さんです。21歳にしては落ち着き感が半端ないなぁw
自分の生まれ故郷で出会う周囲の人々はヴィックに尊敬の意を示す。年老いてもヴィックは彼らにとって、往年の忘れられない大スター。
ホテルで調子が悪くなり、休んでいる所に自分を知っているファンの結婚式で急きょサプライズゲストとして、歌を披露するヴィックが格好いいんですよね。
往年のハリウッド俳優の顔つきで歌を歌い上げるのを見ると“やっぱり、大スターなんだなぁ”と思いました。
史実と違うのはヴィックは大きな家に住んでいて、お金には困ってないが、バート・レイノルズは晩年はかなり金銭的には困っていたみたいで、そこまでリアルに描かなかったのは制作サイドのバート・レイノルズへのリスペクトからの配慮と思っています。
でもそういう愛がなんか溢れた作品なんですよね。
映画祭をすっぽかして、リルと生まれ故郷を回るたった2日間の旅ですが、人生を振り返り、これからを思いやる大事な大事2日間だったと思います。
ショートロードムービーだけど、人生のロードムービー。
最後に素直になれたのはお約束としても、良い締め方と思います。
改めて、偉大なハリウッド俳優が亡くなった事にお悔やみを申し上げるのと今までの活躍に敬意を表します。
上映館は割りと少ないミニシアター系作品で、公開から約3週間が経とうとしてますが、機会があれば是非観てもらいたい、良い作品です。
お薦めです♪