Winnyのレビュー・感想・評価
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たった2文字の重み。
この先も挑戦を続ける若き技術者たちに贈る「無罪」の重み。お恥ずかしながら今作で金子勇さんのことを知りました。技術者としての飽くなき探求心が生んだ革新的なソフトWinny。しかし本人の意図せぬところで悪用され、挙げ句開発者である金子氏まで逮捕される事態へと発展する。
日本のITの未来を守るため弁護団が結成され無罪を勝ち取る日までを描く意欲作。非常に臨場感があってまるで再現映像を見ているかのようにリアルでした。同時期に愛媛県警で起こる裏金問題も絡め匿名性の高いソフトの有り方や、不当逮捕により一人の人間が背負う長い道程を私たちも一緒に考えることになります。
金子氏が技術者として失った7年が与えた損失がどれほど大きかったか。ただ最後に無罪を勝ち取ったことは非常に意味があると思います。18kg増量して金子氏本人を演じた東出昌大が素晴らしかったです。
包丁を作った人を罪に問えるのか
2023年劇場鑑賞19本目 秀作 69点
社会派実話ドラマとして期待していた作品
まぁ実話ベースだから、映画的盛り上がりとか脚色は難しいから、映画にするくらいだから現実離れな出来事なんだけど、それはある種現実的な範疇で、この種の盛り上がりがハマらない人には、良いんだけどいまいちしっくりハマらないんだろうなとも思う
昨今の邦画だと罪の声みたいな盛り上がり具合というか、凄い出来事なんだけど、忠実故にもう少しビビットであればなぁと思うところはあったかな
東出の抑揚のない発声や喋る時の首の傾げ具合とかが生理的に無理でしたが、邦画鑑賞が増すに連れて、良いところが見えてきて、それこそその発声や挙動が今作の主人公にピッタシでした
罪の声の小栗旬もそうだけど、今作の三浦貴大の役柄難しいよね
事件を追う、取材する、代弁する、等の色が出しづらいキャラクターで印象を残すのは難しいですが必要十分に演じていました
好きなジャンルなのに正直あまり残っていないなぁ、また観よう
金子氏に勇気づけられたというただの感想
金子勇氏のポジティブさに勇気づけられました。
一連のWinny裁判やこの映画は、政府や警察ら公権力の古い体制に対して、怒りや悔しさ、恐怖、絶望、苛立ちを感じる話であります。それこそVIDEO NEWSの神保と宮台が「どうしようもないね」「オツムが足りない」と徹底的に批判するような(実際してる)話です。全く笑い話の余地はなく、金子勇氏の7年もの人生、立場や気力や名誉が奪われた最悪の話です。無茶苦茶な司法に人生を邪魔された袴田氏の件が映画になるとすれば、ただ苛立ち、無念さと自国の恥知らずさに俯くばかりと思います。
しかし渦中の金子氏自身が、最高裁判決後の記者会見で「できるだけ前向きに。今できる最大限のよいことは何かを考えて、皆さん動くべきじゃないかと思います。」と仰った。怒りで何かを批判したり糾弾するより、よくしていくためにどうしたらよいのか、に脳みそを使おうと思えた。
そんな金子氏が中心にいるからこそ、情熱的で前向きな映画が完成したのでしょう。
警察に対して負の気持ちを抱く気にもならないですよ。
関わった人間全員が敗者だった、とはWinny事件弁護団の言葉ですね。本当に、使わなくていい時間と金と気力体力を使って、何を進めるためでもない争いを7年続けて。そもそもソフト作っただけなのに。
けれど嘆くより、今できる最大限のよいことは何かを考えようと思います。
当時を思い出した
ちょうど、自分がインターネット関係の会社に転職し、仕事に慣れたころの事件でしたね。その時の雰囲気を十分に表現出来ていたと思います。
また、自分はWinnyだけでなくナップスターもセキュリティの甘さだけでなく、ユーザーデバイスへの負荷がかかるだろうということで使いませんでしたし、会社に持ち込まれる数々のP2P関係のコンテンツ配信システムの案件(なぜか韓国系ばっかだったなあ)はことごとく却下していきました。ということを思い出させるほどでした。
東出さんの演技が素晴らしいものでした。彼の演技で評価出来るとは思いませんでした。
本作、面白いとかつまらないではなくて、当時を懐かしむ、なんか同窓会に参加しているような映画でしたかね。
日本版「リチャード・ジュエル」
表題通り、C.イーストウッド監督の「リチャード・ジュエル」を思い出した。
捜査で得る情報より予め書いたプロットを優先する警察、職業意識や探求心から行ったことで標的にされたにも関わらず、市民として捜査に協力しようとする善意を利用される被疑者、そして同業の後進が委縮しないようにと最後まで戦う意思を貫いた登場人物達。
潔白を勝ち取った後の主人公に残された時間の少なさまで重なるとは…。
「リチャード・ジュエル」は家族の訴えやプロ意識に目覚めた記者が主人公に味方することで世間の目が変わり、ドラマチックに潮目が変わったが、本作では弁護団と主人公のチームワークや法廷での駆け引きに重点が置かれ、ある意味シビアな現実が次々と出て来る分、成り行きにハラハラさせられた。
最後に金子氏本人の映像が流れるのだが、それを観て、彼を演じた東出昌大氏の憑依ぶりに痺れた。
罪の道具作りに罪はあるか
これは観て良かった
地味だけれど、丁寧に作られた佳作
面白かったー!
前情報全く無しでこの映画を観ました。冒頭から東出昌大演じる主人公金子勇さんの言動に違和感しかない状態で観てました。東京大学の先生がこんなに何も知らない筈がない、この脚本ひどすぎるとか思いながらに観てました。
が、しかし、最後になってこの映画が実話であることに気付きました。更にエンドロールでご本人登場で、あっ!この人知ってる、こんな裁判確かにあったわと、自分がこの裁判を知っていたことを思い出しました。
当時理系の息子にWinnyって知ってる?凄いの?と聞いたことまで思い出しました。
あの頃テレビで見た実際の金子勇さんは東出昌大さんが演じている程気持ち悪くなかったと思う。オタクっぽさはあるものの気持ち悪い人ではなかった。東出さんの演技はわざとらし過ぎるような…?笑
(ネタバレあります。あらすじ+感想)
開発中のWinnyという画期的なソフトの試験版が2チャンネルに公開され、それを悪用した犯罪が起きてその犯人2人が捕まる所から映画は始まる。
警察はWinnyの開発者の金子勇の所にも行き金子は取調べを受ける。
困るんですよねぇ。こういうものをばらまいて貰っては。貴方が犯罪を起こそうとしたんではないのですか?
色んな質問を受け帰らして貰えない中警察からある提案がなされる。
しょうがない、誓約書書いて貰えますか?もうこんな事はしませんってね。そうしたらすぐ帰って貰えますよ。
刑事は見本を持ってきてこの通りに書いてサインして貰えますかー!
書類の題名は誓約書ではなく申述書になっていて中身も自分が犯罪を助長するためにソフトを作りばら蒔きましたという内容になっているにも関わらず書き写してサインしてしまう。冤罪事件の始まりだ。
ここまで観てああこの映画は冤罪事件がどう起こっていって無罪を勝ち取るまでを描く映画なんだなと思ったがそんな単純な話では無かった。
弁護を受け持った壇弁護士の説明が分かりやすい。
ナイフで犯人が被害者を刺したという事件があって、犯人が悪いのは明らかなんだけど、じゃあこのナイフを作った人も有罪なのか?という問題だ。
世の中の為になると思ってソフトを作った金子。色んな人に試して貰ってバグ等の改良に努めようと2チャンネルにアップしたが、そのバグを悪用した犯罪が起こってしまう。
悪いのは悪用した人で作った人ではない筈。もしこれが罪になるとしたら、日本の科学者は研究できなくなる。それは日本にとって大きな損失だ。世界を変えることが出来るような天才なのに…。
テレビで裁判の報道を見ていた頃、ただの免罪事件だと思ってそこまで深く理解できていなかった。映画は色々と考えさせる作りになっている。
20代の若い監督であるが、言いたいこと伝えたいことがはっきりある監督だと思う。免罪事件を普通に取り上げただけでは弱いと考えて全く別の場所で起こった事件を絡めて描こうと思ったと言う。
その事件もWinny事件を調べている内にWinnyに関連があって見つけたものだったとの監督の映画後のトークショーでのお話が興味深かった。若い監督であるが非常に深く考えて色んな観点から自分の描きたいこと伝えたいことが伝わるように映画を作っておられるのに感銘を受けた。今後注目していきたい監督さんである。
映画後のトークショーが実に面白かった。
吹越満さん演じる弁護士はヘビースモーカーで火のついた煙草を持ったままあちこち指して話すのだがその演技が凄かった、凄いなあと見入ってしまったと東出。
どういうことかと言うと正面1台、左右2台のカメラで撮影しそれを何回か撮影して後で編集して繋ぐのだが、いい加減に手を動かしたのでは絶対に上手く繋がらない、不自然になってしまう。そこを吹越さんは計算して演技されてて、凄いなあと感じたと。もう僕じーっと見入ってしまいましたー!と。
煙草には火が着いていて手を動かす度に煙がすーっと後を引く。あれを後で繋いだ時不自然にならないような演技って凄すぎる。そんなことなど今まで考えたことも無かったけれどこれから見方が変わりそう。
そもそも 僕は 知的財産権法 に疑問を持っている。
Winny を使った事があるし、この問題には浅からぬ興味を持っていたので、映画作品として、どう扱われるか、たいへん興味がありました。
本作は、時系列的にも よく整理されており、ドキュメンタリー以上にリアル感がある、優れた映画にしあがっていました。
作品としてのまとまりも よく
カメラワークも 照明も音響も上手さが光っていました。
日本では、N88ベーシック 、TORON、Winny という 「PCとは何か?」「インターネットはどうあるべきか?」 と言う 社会の根幹さえも変えかねない 新技術が多々産み出されたが、それらはみな 日本国自身の手で葬り去られ、代わりにGAFAが世界の富を集約した。そして新たに日本から産まれた新技術は 仮想通貨 だ。今回は潰されずに、世界の富を集約するためのtrapとして、活躍中だが、その行末を外野から見守りたいと思う。
2010年に映画「ソーシャル・ネットワーク」と言う フェイスブック創設者についての映画があったが、見比べると、
何かを感じる筈だ。
なんのための技術なのか
映画館にて鑑賞しました。
WinnyやP2Pの大まかな仕組み、開発者が逮捕されたこと、最終的には無罪となったこと、そしてそこから間もなく亡くなられた、ということは本作を見る前から知っていました。
ストーリーや展開としては現実を基にしているということから、とても大きなスペクタクルがあるというわけでもないです。可能であれば、最高裁で無罪となる過程やその瞬間を見たかった気もしますが、そうなるととても長時間になるかストーリーの密度が下がりそうな気もするのでちょうど良かったのかもしれません。
自分が一番心動いたシーンは、Winnyの脆弱性から情報漏出が相次ぐ中、金子さんが修正したいにも関わらず、修正できない状況に苦悩しているというシーンです。金子さんの「世の中に良いことをしたい」という純粋な気持ちを持ちながら葛藤している様は胸に刺さりました。
鑑賞直後もそうですが、このレビューを書いている今でも映画自体への感想というよりも、Winnyに関連する社会の動きやインターネットに与えた影響について考えてしまいます。そう考えると、自分にとっては様々なことを考えさせてくれる映画だったんだろうと思います。当時のネットの空気感を知っている人にとっては、懐かしさを感じつつも考えさせられる映画だと思います。
実話の重み。
素晴らしい。
ノンフィクションとのことだが…
失われた30年の、負の遺産
題材も俳優もグッド! 心情の機微がわかるような撮り方も良かった。 ...
子ども向けの六法全書などを、成人になる前に一読した方が身のためだと思った。
この事件のことは、うっすらと記憶に残っている。
最初から大変興味深く、物語に入っていくことができた。
壇弁護士の、ナイフで人を刺した時、刺した人は逮捕されるが、ナイフを作った人
が罰されることはないというたとえ話は、Winny事件の核心を表現している。
道具は、あくまでも無機質で、それを悪用する人が罰されるべきなのだ。
小難しい法律も、こうして話してもらえると分かりやすい。
弁護士と検察、裁判官は、いずれも法律の専門家。
けれど、立場が違えば、人が違えば、行動は変わり、正義も変わる。
もし、この裁判が裁判員制度で私が裁判員なら、金子氏の陳述を聴いて無罪に一票を投じるだろう。
金子氏は、プログラミングが大好きな技術者で、社会テロなんて考えてもいないと感じるからだ。
けれど、裁判官は感覚や感情では動かない、動けない。
金子氏たちが無罪を勝ち取るためには、彼らの正義に訴えかけなければいけないのだ、難しいな。
権力側の政府、警察、検察、メディアが、一個人を社会的に抹殺することは簡単である。
学校もそうだけど、個人の自由意志より組織の論理を優先するようになると、ゆがんだ方向に行く。
一度転がしだすと、止めることは難しくなるので、だからこそ、厳重に組織自身が、そのあり方を厳しく律しなければならないと改めて感じた。
金子勇氏のご冥福を心からお祈り申し上げます。
カッコいい
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