Winnyのレビュー・感想・評価
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秀作だ。でも私には合わない…。
重要な作品と思われつつ、もっと面白くなるはずの惜しさも
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい)
Winnyの開発者に対する刑事裁判は当時も非常に重要な裁判であって、題材としても非常に興味深く、名作になる予感が鑑賞前にはしていました。
しかし、予想に反して名作あるいは傑作までは届かなかった作品の印象を鑑賞後には持ちました。
その理由は、この映画において対立構造がきちんと構成されて描けていなかった点にあると思われました。
例えば、本来検察は、容疑者の取り調べなどの捜査を担当する検事と、裁判において公判を担当する検事は、分かれています。
しかしこのWinnyの開発者である金子勇さん(東出昌大さん)の刑事裁判では、取り調べを担当した伊坂誠司 検事(渋川清彦さん)が裁判(公判)も担当するという検察の力の入れようが描写されます。
しかし、伊坂誠司 検事はその後の裁判では登場しなくなり、ここでも伊坂誠司 検事との対立構造は雲散霧消しています。
例えば、その後の裁判において、北村文也刑事(渡辺いっけいさん)に喋らせ過ぎたと、壇俊光 弁護士(三浦貴大さん)らが林良太 弁護士(池田大さん)を責める場面があるのですが、それによってその後の裁判がどのように不利に働いたかは描かれません。
逆に主任弁護士の秋田真志 弁護士(吹越満さん)が、北村文也 刑事の嘘を裁判での証言でピン止めする場面が描かれますが、それによってその後の裁判がどのように有利に働いたかも描かれません。
例えば、この裁判において、プログラム開発者vsあくまで金子勇さんは犯罪を犯したと主張する警察・検察、という対立の構図で警察・検察側の主張がきちんと描かれていた訳でもありませんでした。
つまり、映画としては、しっかりとした、金子勇さん・弁護団vs警察・検察の対立構造の裁判や描写にはなっていないのです。
確かにリアルな裁判においてはそんな対立構造がある訳ではなく、淡々と物事は進んで行くのかもしれません。
しかし映画において対立構造は(もちろんリアリティある範囲で)必要です。
そして、この映画『Winny』は、対立構造はどの場面も肩透かしを喰らうのがほとんどだったと思われました。
いじわるな言い方をすると、映画『Winny』においての対立構造の頂点は、壇俊光 弁護士(三浦貴大さん)が「この逮捕勾留は正しかったと胸を張って言えますか?」と検察に対して声を荒げる予告映像だったと思われます。
もっと警察・検察、あるいはプログラム開発者に無関心だった世間などに対して、対立構造を示す脚本構成はあり得たのではないか、もっとこの映画は面白くなる余地はあったのではないかと、その点では残念には思われました。
(弁護団と、警察・検察とのがっぷり四つの対立を描けないからこその、仙波敏郎 愛媛県警巡査部長(吉岡秀隆さん)の裏金告白を、金子勇さんの刑事裁判と並行して描いた、今回の映画の作品構成であるとも思われました。)
しかし、この映画を通して金子勇さんの少し一般とは違う人柄の魅力を伝えることに関しては成功はしていたとは思われました。
また、金子勇さんのプログラム開発者としての時間を奪った刑事裁判の罪深さと、今後は開発者に対する刑事事件化のハードルは歴然と上がっただろうこの裁判の意義深さも、十分伝わる映画だったと思われました。
それらの点も加味して今回の評価になりました。
大衆はクリエイターの意図など気に留めない
作成・公開したアプリが悪用されたことから、警察が無理筋を通して開発者を逮捕した事件を描くドキュメンタリー映画。
本作では主題とは関係が薄い仙波巡査部長のエピソードが挟み込まれている。
この仙波氏について調べてみると、経歴や言動に賛否両論ある人物であることがわかるが、映画内では仙波氏の「否」の部分には一切触れられていない。
仙波氏を徹底的に「賛」として描くことにより、観客が本作の主人公である金子氏に対しても映画内で描かれていない「否」の部分があるのではないかと視聴者に錯覚されかねない造りになっている。
警察という巨大な権力の「否」を示す本作にとしては、この構造は潰されずに公開するための苦肉の策ということになるのだろうか...。
予想をはるかに超えた良さ。ストーリーも面白い
Winniy事件の真相を知ることができた。
より善い社会を作るために戦った人々の記録
金子さんが逮捕された当時、私はまだ中学生だったので「何かすごいことが起こっている」というくらいの印象だったが、こんな壮絶な舞台裏があったとは。
日本の技術者の未来を、より善い世界を守るためにたくさんの人が(2ch住人も含め)戦っていたことを痛烈に感じた。
金子さんの純粋な想いもさることながら、檀さんはじめとする弁護団の正義感や使命感にもグッとくるものがあった。
金子さんと檀さんの関係性が被告と弁護人という関係から、互いを理解し合える友人に変わっていくところも素敵だと感じた。(思い出して目頭にくる)
あの弁護団じゃないと勝ち取ることのできなかった結末だったんだろうな。
新しいことに挑戦することの苦労と意義をとても感じるとともに、金子さんと檀さんに敬意を抱いた。
技術者や研究者には是非観ていただきたい作品。
今も尚、国家権力による検察警察へ圧力はあるのでは。
Winny が流行った当時、利用してた友人が音楽CDを買う私にもったいないって言われたが違法に取得して著作権もあったもんじゃないと思い、嫌悪感すら覚えていたことを思いだし、興味が湧いて見に行ったが、開発者を不当逮捕、違法な取り調べに調書と滅茶苦茶だし拘束されたら何でもどうにでもなる現実と争う被告と弁護士団との裁判での戦い。
開発者を強いたげることは良くない事だが、開発者も世に出す前に悪用される事への想像が出来てなかったことに問題あるとさえ思う、プログラミングすること以外の一般常識に疎いというのは、この件でなくても怖い事だし彼の周りにそういったリスクマネジメントする人が居なかった事が不幸だった。
愛媛県警の裏金問題の顛末、告発者のその後が描かれなかったのが残念。
裁判の描写、検察vs弁護団が大半を占めていてそのストーリーは楽しめる。
映画を観るまでwinnyと開発者、利用者には嫌悪感しか無かったが、開発者への見方は変わったものの悪用されることを想像出来ず、ある意味未完成のソフトウェアを世に出した落ち度は開発者にあるわけで、一審の判決は納得するものかな。
こういうものは何であれ便利性だけでなく反対にあるものも想像しなければ、ただの開発者の押し付けになってしまう。
人として利用する側も判断できる頭と心を待ち合わせなければと今更ながら思い知らされた。
ウィンナーじゃないほう
東出君が不倫で人民裁判に…ではなく、著作権法違反幇助で刑事裁判にかけられる話。国内の法廷ものとしては珍しく裁判のようすを時間を使ってしっかり見せている。阿曽山大噴火が傍聴席にいたのがリアル(笑)。権力を敵に回す姿勢も個人的には好ましく、警察の意向に沿ったマスコミ報道や組織内での空気読みなど、日本のクソな部分に対する吉岡秀隆の告発にはグッときた(その後どうなったのか気になったけど)。
一審有罪で終わり?と思いきや、続きはCMの後で…という締め方もよかった。警察の言うなりにホイホイ陳述を書いちゃう常識のなさとか、実際の金子勇を見て、この人はホントにただのギークだというのが伝わった。
ただし、2000年代前半の話なのに警察車両がY31型セドリックとかディテールの時代考証が雑でちょっと残念だった。予算がないのだろうけど。せっかく東出君や三浦貴大が増量までしてがんばっていたのに(三浦は素かも)。
似非科学では飛行機は作れない
Winny
著作権が脅かされている。好きな作家の権利が侵害される。普通の感覚で妨害する。しかし普通の感覚でいるので、そのことで恩恵を受けていることには終ぞ気づかないで終わる。
(自分も末端ながら医学に携わっていて思うが)無論監視機関は必要かもしれないが、科学を含む学問というものは元々一枚岩などではなく、専門家の議論の中で組み上がっている。それどころか一人の専門家の中にも議論がある。修正、改良は、似非学者がやるよりも専門家が集まって行った方が早い
Winny事件については恥ずかしながら無知であった。友人が使っていたのを白い目で見ていたのを覚えている。メディアの発信は有罪の第一報しか覚えていない、罰金で済んで許せないとすら感じていたかもしれない。確かに弁護側一点からの視点ではあったが、単なるドキュメンタリーを超えた描写力、そして展開は、、つまり事実は小説より奇なりか
振り返って、幇助の意味等を一々解説するところに、裁判官に対するデジタルの解説との入れ子構造のようなものを感じた、意図的であろうか?映画を含め、何かを伝えることは難しい。
眼鏡の件など、東出さんは役の懐に入っていくのが上手い人だと感じた。遺族の方々の反応もあり、作られる意義があったと心から感じる映画だ。
キャスティング良し!
自分はこの事件のリアルタイムの記憶がない。まずそのことがショックだった。愛媛県警の裏金事件も並行して描かれる。こちらの方は記憶にあるけど、巧みな並走エピソード。
モデル出身のカッコいいオーラを封印してオタクプログラマーに寄せた東出昌大、熱血弁護士・本当にこういう人いそうな三浦貴大、横山やすし似?のカミソリ弁護士・吹越満、、、その他役作りに好感!皆んなが使命感に燃えて撮影に臨んだのではと思わせる。
主人公・金子勇の部屋のセットのリアリズムが彼の短命をすでに予感させていて、終始哀しかった。
秋田弁護士の刑事事件弁護士としての勝利への極意も非常に参考になりました。
今日は奇しくも袴田さんの再審請求が確たるものになりましたが、組織を守るために一体全体どれくらいの人々の人生、どれくらいの質と量の国力の源が葬られたのだろう。
大人のすることへのアンチテーゼ
金子さんと言う人は本当に子供。
後先考えず、やりたい事をやる。
そこに山があったからは言い得て妙である。
立場は違うが、私も設計者である。
その私から見て、金子さんは羨ましい。
自分の考えであれこれできるのだから。
大体の技術者は、会社勤めだから
良いと思っても、結局、頭の堅い
上司と言う大人に言いくるめられる。
教授なんて変態だからできる商売
だからこそ新しい考え方、ものができるのだと思う。そこには純粋な気持ちしか無い。
今回の逮捕は、そんな子供と大人の
言い争いかな。
『そんな事いいから勉強しなさい』
大人は子供にあーだこうだ言うけど
言われてる本人は良かれと思い
純粋にやっている。
日本は放置国家だ。法治国家ではない。
放置してる癖に、いざ困ったことが起こると
子供を自分の尺度に従わせる。
警察の汚職事件も並行してなぞってるが
監督はそう言う事を述べたかったのか?
これは前述に記したことと重なる。
何れにせよこれは大人に対しての
教材だ。
今騒がれてる人達。議員のあの人。
こう言う純真な気持ちありますか?
そんな組織人間の大人達への
一考になるのではないのかな?
日本社会における憂い
ソフト「Winny」の軌跡を辿る物語。日本という閉鎖的な社会で起こる開発者の問題を描く。
新しいことへ挑戦する者への尊厳と意欲を後押しすることをこの映画から魂の叫びの如く感じる。
そしてこの映画から挑戦する意欲と地位を獲得することに尽力された方々への賛賞を禁じ得ない。
新しく作ることの大切さを理解し、先に進めることの大事さを人々の心に届くことを願わずにはいられない。
もっと面白くなりそうなのに
もっと闇ありそう
天才プログラマーのドキュメンタリータッチ作品
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