劇場公開日 2023年3月10日

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「不備と発展」Winny N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5不備と発展

2024年6月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

トライは推奨するが、エラーは許すまじ。
そうして裁判沙汰となった主人公が、後世のため無罪を掴み取るまでの人間模様。

不備があればリカバリしてナンボのパラダイムシフト。
セカンドチャンス如何で裁量下すならわかるが、瞬殺、目くじら立てる日本の風潮の典型を見たような気がしてもどかしかった。
道具は使う人間の魂を宿す。
善にも悪にも染まるのはそこが分かれ目。

いわんがための警察裏金パートを挟み込む構成にアッパレ、拍手を送りたい。
挟まることで善か悪かの一辺倒から思考深める余地は生まれ、
本作を裁判劇以上、複雑なものへ変えている。

空から金子氏は今をどう見ているのだろう。
もし躓くことなく開発を続けていたら、日本のネット産業はどう変わっていたろう。
途中、挟まれたYouTube台頭のニュースに思わずにはおれなかった。

ただし、事と次第の大きさに質は違えど似たものがあるなと過ったのは「オッペンハイマー」だった。突き抜けた専門職、識者ゆえに常識が欠如したような側面へは、同じものを感じている。こうした人物が厄介事に巻き込まれず快適に研究へ没頭できるよう、サポートできる何かがあればいいのに。

さて「福田村事件」でしか見ていなかった東出さんの七変化には驚かされている。

N.river