「脚本が秀逸な傑作」Winny 平成モンド兄弟さんの映画レビュー(感想・評価)
脚本が秀逸な傑作
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この作品の主人公、金子勇氏の弁護団が交わす会話などを通じて、見ている側に裁判の争点や、発生した問題点などが、分かりやすく描かれている。
その金子勇氏の何気ない言動(食事のシーンなど)によって、本人の個性や人間性が伝わってくる。
更に、この事件と同時期、こちらも大きな社会問題となったが、一見、本編ととは関係無いと思われる行政機関による裏金作りと、それを正そうとする側のエピソードが、吉岡秀隆演じるベテラン警察官を通して同時進行に描かれているが、それが最後に大きな意味を持ってくるという、物語構成の見事さ。
監督であり、脚本も手掛けた松本優作の才能は素晴らしい。
役者陣も、本人に成り切っていた東出昌大、三浦貴大の抑えた演技が、物語にリアリティさを与えていた。
最も印象的だったのが、あのラストシーン。本編を観て、是非、作り手の思いを感じ取って欲しいと思う。
個人的に、この事件の頃は大手電機メーカーの子会社で、携帯電話の仕事をしており、人一倍注目していた事件だったので、感慨深いものがあった。
最後に、この映画を制作したのはKDDIで、権力の側にあった公社を母体とするDocomoでは、決して作られなかっただろうと納得。
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