「上田監督の次作に期待」スペシャルアクターズ だるまさんの映画レビュー(感想・評価)
上田監督の次作に期待
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低予算ながら社会的ヒットを記録した「カメラを止めるな」の次作品の制作ということで、上田監督が感じたプレッシャーは半端なものではなかっただろう。パンフレットに記載されていた、深田プロデューサーが監督へ送ったメッセージは素晴らしいものだ。上田監督にはこれからも自身の可能性を追求して頑張っていただきたい。それはそれとしてこの映画はつまらない。
序盤は個性の強いキャラクターや余分な要素のない展開を純粋に楽しんでいた。役者にそれぞれあて書きしたというだけあって、演技が生き生きしているのがわかる。しかし宗教団体の話に入っていくと、徐々に設定の杜撰さが目立つようになる。
そもそも宗教団体の描写がとことん陳腐だ。低予算だからと言ってしまえばそれまでだが、もう少し専門用語や現実に近い演出を織り交ぜて魅力を出してもよかったと思う。コメディだから自重したのだろうか。あるいは偽物教団だからあえて安っぽい演出にしたのか。
後者だとしたらあまり機能していないように感じる。そもそも伏線回収にイマイチ爽快感を感じなかった。脚本の構成もあるだろうが、主人公の成長がリセットされたように思えてしまったのが大きい。もちろん最初の頃に比べれば成長したのだろうが、結局全てが茶番で半分くらいの人間関係が嘘だったことを考えるとガックリ感は否めない。裏教典も引っ張った割に大したインパクトのある産物ではなかった。
お世辞にも面白かったとは言えない。しかし現在名監督として知られる人物も、常に名作を連発しているわけではない。上田監督の今後に期待し続けたい。
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