「上田慎一郎映画が好きな理由、発見!」スペシャルアクターズ アヤタさんの映画レビュー(感想・評価)
上田慎一郎映画が好きな理由、発見!
開催から初めての土曜日に、池袋のロサ(聖地)で観賞しました。
カメ止めは映画館で3回、DVDでも観て、地上波放送では副音声を聞きながら観ました。
もちろんカメ止めメンバーにもドハマりした身。
ちょっとドキドキしながらの観賞でした。
カメ止めよりも派手さは無いものの、やっぱり余韻が凄い。
そして何より、今回も出演者の事みんなが好きになってしまう。
この日はムスビルチームが舞台挨拶に登壇し、ロビーでサイン会や撮影会をしてくれました。
観てる時から多磨留様役の淡梨君が気になりまくってたので、感激!
次の日は監督とほぼキャスト全員が登壇するとの事で、2日連続で観に行きました。
宏樹の「いけ、ヒーロー」は、1回目よりも泣きそうになったし、全て分かった上で観た決闘シーンは、涙ちょちょぎれながら笑ってました。
2回目の余韻も続いています。
観た方の賛否両論や、ツッコミどころも読みました。
じゃあ私は、なんでこの映画が好きなんだろう…
悶々と考えてみたら、私が好きな上田映画の見処は、実は「大どんでん返し」では無いのでは、と気付きました。
正直途中から、この一連の出来事の「目的」に気付きましたし、それはカメ止めも同じ。
それでも胸が熱くなるし、何度観ても新しい発見がある。
それは、演者ひとりひとりに魅せられるから。
カメ止めヒット時、上田監督が「キャストは不器用な人たちを集めました」って言ってたけど、そこにこそ、既に私が上田映画を好きになる答えがあったのでは…
有名俳優には抱けない、シンパシーを感じるストーリー、バキバキに作り込まれた画面では得られない、現実味。
そして、今回の裏テーマである「なかなか越えられない壁」が、ややシリアスな設定にも思えてきて、より、演者が周りに居そうな人達に感じました。
スペアクではそれが「父親と息子」という関係性に投影されていますが、子のほうは本人にしか分からないトラウマを多少なりとも抱えてたりする。
親が何気なく言った一言も、他人に言われるより影響力が強いと思うのです。
無関心では居られない、愛情があるから離れられない。
他人から観たらチープなヒーロー物語「レスキューマン」も、和人にとっては自分のトラウマ(父親)に打ち勝つ希望の物語で、観客には見えない輝きがあるんだろうな。
初見でレスキューマンの敵が実父だった事を知った時、そう思いました。
それを明かすタイミング(編集)も良かった。
そして、「壁」は和人だけのもので無く、克樹様と多磨留様の間にも感じられる。(実際親子かは謎ですが…笑)
父親に操られているようで、心ここにあらず、のらりくらりとした意志が弱そうな彼が「パパ…!!」と叫ぶシーンは、少しグッときてしまいます。
七海が外したシリコンブラをモミモミしてるところを見ると、どことなく和人との共通点も描いてるように見えました。
淡梨君のコメントにもそのような事が書いてあって、「おお!受信致しました!」って感動しちゃいました。
確かに映画は、その中の世界だけで全てを語り、完結しているほうが優秀なのかもしれません。
でも、世の話題映画が有名俳優を使ってる時点で、映画に対する感心だけで観る事を目的としていませんし、逆に、映画を観て彼らの言葉を聞いてから感情移入するほうが、映画の意味があるのでは…。
上田監督にはこれからも、不器用で、マイノリティに走りがちな人に寄り添った映画を見せて欲しい!
そうそう、結局「スペシャル·アクターズ」は、それ自体が宏樹が作った俳優事務所なの?(克樹様と多磨留様が社員っぽかったから)それとも宏樹はあくまでも依頼人で
スペアクは健在(?)なの?
出来れば後者であって欲しい。
だって、私もいつか陽介の書いた脚本で、鮎に演技指導して欲しいから!!