「リアルな現状を映し出し、希望を打ち出す物語」シークレット・スーパースター Chiharuさんの映画レビュー(感想・評価)
リアルな現状を映し出し、希望を打ち出す物語
ムスリムの女性がインターネット上に動画をアップする事が現代社会で物議を醸し出している。
イランでダンス動画をアップした女性が逮捕されたというニュースは、日本に伝えられたので記憶に新しいが、もっと他にもこういった例はあると思う。(この例はヒジャブを付けていなかったことも問題視されていたが)
イスラム戒律に厳格な国や地域の場合、家族だけならまだしも、親戚までもが非難されたりする場合もあるくらい大変な問題に発展すると聞いた事がある。
数年前に観た、ソニータというイランのドキュメンタリーでも、対象者のアフガニスタン人の女の子は全てを犠牲にする覚悟でYouTube に自分の歌をアップする。
今回の主人公も同様に、容易で無いこの問題に立ち向かう。
戒律を守る為のエスカレートするハラスメントなど、ムスリムだからこそ考えられる様々な困難が起こるのがリアルで辛いのだが、本当に辛いのは1番現実を知っている母親だろう。
すべてを捨てる覚悟の母子愛は涙無しには直視出来ないもので、腹がすわった母親のあの表情に拍手を贈りたい。
余談だが、ソニータについて、ドキュメンタリーだけにどこまで本当だったのか?あの戒律の厳しい国でその後はどうなったのか?実は気になっていたので調べてみた。
ミュージシャンとしての彼女のSNSは今も日々更新されて、アフガニスタンの映画祭でソニータが上映されるという近況も確認できた。
こんなニュースから、現実にもムスリム女性の選択肢は増えて、一本しかなかった道は枝分かれしはじめたんだろうと嬉しく思う。
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