「闘う女性への応援歌」シークレット・スーパースター 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
闘う女性への応援歌
後半まもなくのレコーディングのシーンでインシアの歌声に触れた時、前半描かれた理不尽さや閉塞感のすべてがインシアと共鳴し、思ってた以上に涙が溢れてしまいました。後はアミールのユーモアと怒涛のラストで思う存分‼️、心地良く感極まる状況に身を委ねてればいい、そんな至福の時間を過ごせます。
インドにおける歴史的な因習に囚われた差別、特に女性の人権の軽さや生き辛さは映画を通じてしか知らないのですが、インシアの母親の世代の多くは、自分で選んだわけではない配偶者と一緒になり、そのことについて疑問を抱くことができる程度の教育すらも受けることができなかったのだとしたら(もしかしたら今でも地方ではそうなのでしょうか?)、言葉にできないほど痛ましいことだと思いました。
そんな環境で娘を守ってきた母親であっても、追い詰められて心に余裕のない時のインシアからみれば 旧弊に縛られて発想の転換ができない、弱くて自分の夢の妨げになる存在に見えてしまう。
そんな母親やいつも自分に寄り添ってくれるボーイフレンドに声を荒げてしまった時の自己嫌悪(きっと心の中で私って最低‼️と叫んでいたはず)も上手に描かれていました。
『アラジン』のジャスミンと同様に、男性の作ってきたさまざまなしがらみと闘う女性への力強い応援映画だと思います。
男性は、慣習的な社会システムに依存した根拠の無い権威や暴力的な威圧で女性に対して優位に立とうとすることがいかに惨めで、周囲に害毒を撒き散らすのかをしっかりと認識させられます。
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