「そうか、ラブストリーだったのか。」フリー・ガイ N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
そうか、ラブストリーだったのか。
こういう物だろう、と想像していた内容の斜め上を行っていた。
「レディープレイヤー1」をひねって、ひとつ足したような、
ナルホド、な設定がまず面白い。
そんな物語はリアル世界のサスペンス進行と、ゲームとして存在するバーチャル世界での主人公の自我の目覚めが交互に描かれている。
この双方、ごっちゃになりそうだがならず、むしろ絡みがみごとだ。
終盤になればなるほど双方の駆け引きにハラハラさせられる。
ありがちなのがリアルとバーチャルがシームレスな面白味なるも、
そういう意味で本作ははっきり分かれてこそ面白味が増すのだから、
斜め上をゆくそれが理由と、意外で目新しさを感じた。
ゲーム世界を仮想と片付けてしまわず、仮想だけれど日々成長し、
詰め込まれたいわゆるモブキャラクターたちだろうと、生活があるひとつの世界なのだ、という設定の優しさがいい。
そんな優しい世界は守りたくなるし、
住まうキャラクターたちを背景でなく個人と知れば、
なんだか他人事に思えず、がぜん応援したくなる。
けれどその優しさこそリアル世界でゲームがプログラムされた時の名残なら、
さらにどんでん返しと、意外にもこれは遠回りなラブストーリーなのだと知れて、
とんでもない温かさを覚えた。
ゲームは悪だと言われがちだけど、やっぱり物事は何事もとらえ方次第。
その不意打ちが心地よい一本だった。
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