「「あなたの人生の主役はあなた」という明確なメッセージがバシバシ伝わる一作。」フリー・ガイ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
「あなたの人生の主役はあなた」という明確なメッセージがバシバシ伝わる一作。
『ナイト・ミュージアム』シリーズや『リアル・スティール』(2011)などの傑作で名高いショーン・レビ監督と『デッド・プール』シリーズにてようやく『グリーン・ランタン』(2011)の呪縛から解放されたライアン・レイノルズが送る、人生全肯定映画。オンラインゲームのモブキャラ(NPC)が自意識を持ったら、という(結構誰でも考えつきそうな)アイデアと『レディ・プレイヤー1』(2018)的設定を混ぜ合わせたポップコーン・ムービーかと思っていたら、観客に人生について考えさせてくれる、味わい深い作品でした。しかもライアン・レイノルズが演じるから、「あなたは脇役なんかじゃない」というメッセージに説得力がありすぎました。レイノルズ自身もこの作品に強い思い入れがあるのか、主演(二役)だけでなく、製作にも名を連ねています。
舞台は、どう見ても「GTAオンライン」にしか見えない、どんな悪事もやりたい放題のオンラインゲーム空間。レイノルズ演じる主人公「ガイ」も、それ以外のNPCも、それなりの人生を生きているんだけど、全てはプログラミングされたもので、毎日同じ行動の繰り返しに過ぎない。彼らNPCと、ゲームに参加する現実の人間(プレイヤー)とは、同じ空間を共有していても、完全に異なった存在となっている。「ガイ」がアルゴリズムのくびきから脱するきっかけとなるのが、一人の女性との出会いなんだけど、その出会いは全くの偶然ではなく、ある種の必然性をはらんでいました。その理由が明らかになる過程は(ある程度作中で示唆されてはいたものの)、非常に感動的。
一度でもオンラインゲームを体験したことがある人は、この仮想空間と現実世界の繋がりを理解することはそんなに難しくないだろうけど、裏返していえばその種のゲームを体験したことのない人が本作の設定を理解するのは難しいんじゃないだろうか、と余計な心配をしてしまいました。もしZ指定のゲームができる年齢の方で、これまでオンラインゲームを経験したことのない人は、できればちょっとだけでも「GTAオンライン」を試してみることをおすすめします。年齢的に難しい人は、「原神」でも!