「バーチャル世界設定でも独自の色を出す作品」フリー・ガイ Ko Fuさんの映画レビュー(感想・評価)
バーチャル世界設定でも独自の色を出す作品
正直、ハリウッドもバーチャル世界ものの作品が一挙に造られすぎてマンネリ感が出始めているのだが、本作はそんな中でも独自の色を出しており感心できる内容だった。
まず主人公がモブみたいな奴ではなくてホントにモブのバーチャルキャラであり現実世界には存在しないこと。ゲームあるあるをコミカルに描くにあたり、これは正解といえる。変に脚色しなくていいからだ。
次にあえてバーチャル世界を現実に寄せていること。VRだとか意識をダイブだとかARだとか小難しい設定ではなく、単なるネトゲにしている。そのため、よりゲーム世界であることが強調され入り込みやすい。逆にいえばネトゲの知識がなければ意味の分からないギャグや皮肉になってしまうのだが、そこは下手に分かりやすくせずに分かる人間にだけ分かるようにしておりブレていない。製作がわの拘りなのだろう。
そしてなにより主人公のぱっとしない感じが徹底されていること。頑張ってお洒落してもシャツが変わっただけでほぼそのまま。変にかっこよくしないことでモブのバーチャルキャラが主役だという設定に歪みが出ないため、共感をそのままに安心して観ていられる。
ゲームの映画化やドラマ化が増えている昨今、あえてゲームはゲームとして描きつつ、メッセージ性のある作品に落とし込んでいる傑作コメディ。
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